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セブン&アイHD、井阪社長続投へ 米ファンドの提案を否決

[東京 25日 ロイター] - セブン&アイ・ホールディングスが25日開いた定時株主総会で、井阪隆一社長の退任を求めていたアクティビスト(物言う株主)の米投資ファンド、バリューアクト・キャピタル・マネジメントの提案が否決された。会社側の取締役選任案は全員可決され、井阪社長は続投する。

 5月25日、セブン&アイ・ホールディングスが開いた定時株主総会で、井阪隆一社長(写真)の退任を求めていたアクティビスト(物言う株主)の米投資ファンド、バリューアクト・キャピタル・マネジメントによる取締役選任案は否決された。写真は都内で2016年5月撮影(2023年 ロイター/Issei Kato)

井阪社長の取締役選任案に対する賛成比率は76.36%(前年は94.73%)だった。バリューアクトが提案していた4人の取締役候補の賛成比率は25.52―34.13%で、否決された。会社提案の取締役は、独自提案の5人を含めた15人全員が選任された。

井阪社長は総会で、高齢化社会や単身世代の増加に伴い「これからの時代はスーパーマーケットとコンビニのシナジー(相乗効果)は大きく花開く」と主張した。身近なコンビニでの生鮮産品などの調達は今後の日本の消費社会にとって重要になるとし、引き続き「食」の強みを生かして両事業を強化していく意向を示した。

百貨店事業のそごう・西武の売却手続きに関しては「合意形成に向けて努力を続けている最中で、今の段階でプロジェクトを中止する考えは持っていない」と語った。

取締役会は総会後に発表したコメントで、株主がガバナンス体制の変革を評価したと指摘。「コンビニ事業に今後も注力する成長戦略に支持があったことをうれしく思う」とし、今後も戦略委員会を通じて事業の変革を加速させると表明した。

株主提案が否決されたバリューアクトは、セブン&アイHDの取締役や株主と「次のステップについて議論することを期待している」とのコメントを発表した。

定時株主総会は午前10時からセブン&アイHD本社で行われ、集計時間を含め3時間10分(前年は1時間46分)で終了した。出席者は436人(同259人)と前年を大きく上回った。

バリューアクトはセブン&アイHDの株式4.4%を保有し、コンビニエンスストア事業のスピンオフ(分離)や井阪社長らの退任を要求している。バリューアクトのサステナビリティ責任者ブリットニー・レビンソン氏ら4人を取締役候補として提案。両社の間で委任状争奪戦(プロキシ―・ファイト)が過熱する中、米議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)、グラスルイスはバリューアクトの提案への賛同を推奨、会社提案には反対推奨していた。

セブン&アイHDが4月に発表した23年2月期の営業利益は前年比30.7%増の5065億円と、過去最高を更新した。売上高は同35%増の11兆8113億円と、日本の小売業として初めて10兆円を超えた。好業績のけん引役は円安のプラス効果を含めた海外コンビニ事業で、百貨店事業の売却やスーパーマーケット事業の立て直しが課題となっている。

(佐古田麻優 取材協力:清水律子 編集:石田仁志、橋本浩、田中志保)

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