April 8, 2016 / 10:16 AM / 4 years ago

訂正:アングル:「カリスマ退任」で揺れるセブン、経営新体制の方向見えず

[東京 8日 ロイター] - 企業統治の模範例か、お家騒動悪化の予兆か──。「カリスマ経営者」だったセブン&アイ・ホールディングス (3382.T)の鈴木敏文会長兼CEO(最高経営責任者)が7日発表した突然の退任で、同社の先行きに不安が広がっている。

 4月8日、「カリスマ経営者」だったセブン&アイ・ホールディングス の鈴木敏文会長兼CEO(写真左)が7日発表した突然の退任で、同社の先行きに不安が広がっている。7日撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)

同会長の人事提案を否決した取締役の採決には、企業ガバナンスが機能したとの評価も聞かれる。同時に、「長老支配」を引きずる同社の古い体質も浮き彫りになり、今後の経営立て直しを遅らせるとの懸念もでている。

鈴木会長の退任表明から一夜明けた8日、セブンの株価は前日比で上昇して終わったが、強力な後継者候補を欠く同社の経営展開に波乱を予想する声は少なくない。

<ガバナンス面からは一定の評価>

日本の小売業を大きく変えたコンビニエンスストアの台頭。業界をけん引してきたセブンイレブン・ジャパンの成長の歴史をひも解くと、現在83歳の鈴木会長の先見性を示す逸話がいくつもある。

今では主力商品となっているおにぎりや弁当を店で販売するという決断は有名な話。最近では「もっと美味しい食パンを作ろう」という会長の一声で開発した「金の食パン」が大ヒット商品となったことも広く知られている。

しかし、成長を謳歌してきたセブンイレブンで、今年3月末から井阪隆一社長の交代をめぐる混乱が続いた。

これまでなら鈴木会長の「鶴の一声」で決まるはずの人事だが、人事案を検討した指名委員会での社外取締役の反対、取締役会では社内取締役からの反対票も出て、鈴木会長は自ら主導した案を実現できなかった。

野村証券シニアストラテジストの西山賢吾氏(訂正)は「日本のガバナンスが良い方向に変わってきた。上場企業と非上場とは決定的に違う」と述べ、上場企業ならば当然起こりうることとの見方を示す。

多くの人が指摘するのは、好調な業績を収め、グループ拡大のけん引役ともなっていたセブンイレブンのトップを交代させるに十分な理由がなかったという点だ。

西山氏(訂正)は、経営トップの選出や解任をガバナンスの最重要テーマとしたうえで「トップを変えるには納得できるような理由が必要。上場会社である以上、合理的な説明ができなければならない」とする。

鈴木会長による井阪社長交代の動きをけん制していた米ファンドのサード・ポイントは7日深夜、ダニエル・ローブ代表が「7&iHDの取締役会が実績と株主の最善の利益に基づき選考したことを嬉しく思う」とのコメントを発表。「日本の将来にコミットしている投資家として、7&iHDのコーポレート・ガバナンスが、安倍晋三首相が進める第3の矢に沿って進化を遂げたことを大変喜ばしく思う」と強調した。

<混乱の早期収拾は可能か> 

「戦略なしの暴走としか言いようがない」。流通業界に詳しいプリモリサーチジャパンの鈴木孝之代表は、同会長の辞意表明に手厳しい。「責任を取って辞めるのは潔さそうに見える」ものの、内外ともに認める後継者がない現状では、混乱するメッセージとしかならない、という指摘だ。

同社の今後に影を落とす大きな不安は、セブンイレブンの生みの親である鈴木会長と祖業であるイトーヨーカ堂を創業した伊藤雅俊名誉会長との確執だ。今回の人事騒動では、その対立が表面化し、取締役会でも票が割れた。社内がひとつにまとまることができるかは、今後の体制作りにとって重要な問題。ある市場関係者は「社内でのさらなる混乱が表に出るようだと、業績や株価にも悪影響を及ぼしかねない」と懸念を示す。

7日の会見では、鈴木会長と村田社長の他に2名の顧問が同席。井阪社長の交代の際に、同社顧問が井阪氏の父親を訪ねたり、「伊藤名誉会長の部屋と鈴木会長の部屋を行ったり来たりする役柄」(後藤光男顧問)などという、「長老」に左右される同社の古い体質も浮き彫りになった。

同社としては、新体制作りを急ぎ、市場が持つ変化への期待をつなぎ留めなければならない。関係筋によると、同社は、5月末の株主総会に間に合わせるためにも、19日の通常の取締役会で決議することをめどに、辞任する鈴木会長の後任を含むホールディングス、セブンイレブンなどグループの新体制作りを急ぐという。

8日、7&iHD株は前日比3.7%上昇して取引を終えた。混乱が長期化しないとの期待感や7日に発表した業績予想が評価されたという。

内藤証券投資調査部長の田部井美彦氏は、「競争が激しいコンビニエンス業界のなかで、商品展開力を強め既存店売上をしっかりと積み上げていくということが、株価には一番影響を及ぼす」とする一方、「鈴木氏が、このための施策をいつまでも続けられるという訳でもない」と指摘。カリスマながら、高齢だった鈴木氏の存在というリスクが消えたことも株価にポジティブに作用したとみている。

*8段落目の「西村賢吾氏」を「西山賢吾氏」に訂正し、それに伴い10段落目も訂正しました。

清水律子 取材協力:浦中大我 長田善行 編集:北松克朗

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