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焦点:「骨太方針」議論尽くせず簡素化、債務膨張でも財政再建手つかず

[東京 23日 ロイター] - 目先のコロナ対策に明け暮れたことで、今年の骨太方針はウィズコロナ時代の経済財政の新たな方向性への議論が尽くされないままの内容となりそうだ。昨年同様、経済社会のデジタル化一色の成長モデルが政策項目の大半を占める見込み。コロナ対策で膨張した債務と今後どう付き合っていくのか、財政目標や考え方の見直し議論は時期尚早と先送りされ、財政収支の目標年次が維持されることになりそうだ。

 目先のコロナ対策に明け暮れたことで、今年の骨太方針はウィズコロナ時代の経済財政の新たな方向性への議論が尽くされないままの内容となりそうだ。国会議事堂と政府庁舎。2026年7月撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)

<議論尽くせず大幅簡素化>

来年度に向けた経済財政の基本方針は、コロナ禍で経済社会の在り方が大きく変わる局面を方向付けるものとなるはずだった。だが、ここまで経済財政諮問会議の議論は目先のコロナ対策に追われ、今年の骨太方針はページ数も例年から半減する大幅な簡素化を図ることになる。

政府関係者は「今年は来年度予算の概算要求も簡素化される見通し。来年度の経済財政方針である骨太も、従来のような予算陳情を並べたような形にはならない」としている。

テーマもウィズコロナ時代の経済戦略として、昨年とほぼ変わらず「デジタルニューディール」だ。デジタルトランスフォーメーションの推進を掲げ、行政や医療など、経済社会のあらゆる分野でのデジタル化を掲げる。

このほか、経済安全保障の観点を盛り込んだ国際経済体制や国際協力、医療や介護分野も含めてサプライチェーンの多元化、「人」への投資、スマートシティー拡大による東京1極集中の改革などを盛り込んだ。

ただ、こうしたデジタル化の議論はすでに何年も前から行われてきたものだが、普及への具体的方策の推進力につながらず、最近の経済財政諮問会議でも、日本の取組みの遅れと利便性の悪さが社会全体で認識されているとの指摘があった。

<歳出圧力強まり膨らむ財政>

今回の骨太簡素化の大義として語られているのが、2001年の小泉政権下での当初の骨太の趣旨への回帰だ。当時も不良債権問題に苦しむ経済の再生がテーマだったため、状況は今と重なる部分もあった。

ただ、財政再建への姿勢は当時と大きく異なる。当時の骨太では、「メリハリのある予算実現」を掲げて非効率な資源配分の是正を大きな目標としたが、国・地方を合わせた政府の長期債務残高の対国内総生産(GDP)比は128%。現在の190%超を大きく下回っているものの、元利払い以上の借金を新たに行わないことが必要条件だった。

一方で、今年度はコロナ対策に伴い、新規国債の追加発行が60兆円超にものぼる。2次補正予算では10兆円もの予備費が計上されたように、政治サイドによる歳出増圧力は強い。

コロナを巡る自民党内での議論では当初から「財政赤字の問題を指摘する声はなかった」と財政再建派の自民党議員は嘆き、党内では世論に押される形で議論が進んできたという。

ある政府関係者は「予備費も10兆円におさえるのがやっとだったのではないか」として、より巨額化しかねない雰囲気だったことを明かす。そして今年は税収も上がらない見通しであり、「財政再建に関しては、今前面に押し出す局面ではない。控え目な記述となる」と話す。

これに対し、財務省幹部は「(財政収支の)ワンショットの悪化は、その年の財政収支は急激に悪化するが、翌年以降は改善するはず。(しかし)ワンショットにしないと日本の経済はすべて補助金漬けだということになってしまう」として懸念を示す。

こうした中で、22日の経済財政諮問会議では、民間議員から「財政の質を高める改革を推進する中で、中期的には財政健全化を確実なものにしていくべき。20年年末までに取り組み具体化を図るべき」との提言がようやく出てきた。

<PB黒字化目標も変えられず>

ただし、基礎的財政収支(PB)の黒字化目標年度を2025年度とするという従来の方針は変えない。麻生太郎財務相も国会答弁で変える必要がないと明言している。

財務省でも「PB黒字化目標は、市場の日本に対する財政運営信任につながっている。これが失われると財政のタガが外れてしまい、将来的に日本売りということになりかねない」と、目標維持は欠かせないとみている。

しかし、現実問題として25年度の黒字化の実現は困難となっている。歳出改革に欠かせない社会保障費は、今年の骨太方針に改革に取り組むはずだった医療費改革についても、基本方針先送りとなりそうだ。

政治評論家の伊藤惇夫氏は「財政再建は先のまた先まで行ってしまった。緊急事態だからというエクスキューズが理由付けだが、このつけはいずれ将来に回ってくる」と懸念する。「財政がここまで崩壊した状況は、簡単に立て直せるものじゃない。次の政権が誰になろうが、その政権の座に就いた人はある意味地獄を見ることになる」と指摘する。

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