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訂正-国際海運の運賃、来年も高止まりか 排出削減遅れる業界に融資手控え

(8段落目の「5億ドル」を「5000億ドル」に訂正します)

 12月22日、国際海運の運賃は来年も高止まりする公算が大きい。投資家や規制当局が海運業界の脱炭素化を加速させようと躍起になる中で、各社とも銀行融資などの「グリーン」基準厳格化に直面するからだ。シンガポールで2020年11月撮影(2021年 ロイター/Edgar Su)

[ロンドン 22日 ロイター] - 国際海運の運賃は来年も高止まりする公算が大きい。投資家や規制当局が海運業界の脱炭素化を加速させようと躍起になる中で、各社とも銀行融資などの「グリーン」基準厳格化に直面するからだ。複数の関係者がこうした見方を示した。

海運業界は世界貿易の約90%を運ぶ。温室効果ガス排出量が世界全体の排出量に占める割合も看過できない比率で、環境団体などからは炭素税への課金といった、より具体的な対応策を求める声も強まっている。

国際海事機関(IMO)は、短期的な排出量削減策はそれなりに進ちょくしていると主張している。しかし、環境団体だけでなくIMO加盟国からも達成の時間軸が遅すぎるとの不満が聞かれる。

海運大手マースク・タンカーズのマイケル・インガースレブ最高経営責任者(CEO)は「来年6月に開く(IMO傘下の)海洋環境保護委員会(MEPC)会合では、各国・地域当局が意見の不一致だか交渉術の一環だかで問題を先送りするのでなく、確実に解決策の交渉に向けて用意を整えるよう、当局に強い圧力がかかることや紛糾が予想される」と述べた。

今年11月の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、米国など複数の参加国がIMOに、2050年までの温室効果ガス実質ゼロ目標を採択するよう圧力を強めた。IMOが現状で掲げる「温室効果ガス削減戦略」は、国際海運の総排出量を50年までに08年比で半分にする内容だ。

環境団体トランスポート・アンド・エンバイロメントのフェイグ・アバソフ氏は「IMOに関しては、来年の交渉プロセスは非常に長引く可能性が高く、面倒なことにもなりそうだ。175カ国も加盟する国連組織が一堂に会することができて、ある経済セクターまるごとの脱炭素化に厳しい決断を下せると信じていることにそもそもの問題がある」と指摘した。

IMOには排出削減目標実現のための技術開発を目指し、50億ドルの調査研究基金を創設する案が提出されているが、この行方も難航しそうだ。排出削減策を巡る途上国と先進国の姿勢の相違も問題を大きくするとみられる。

具体的な取り組みに向けては海運各社の資金調達がもう1つのハードルだ。アナリストの試算によると、海運業界が50年までに排出量実質ゼロを実現するためには2兆4000億ドルが必要で、30年までに5000億ドル(訂正)前後を要することになる。

海運関連資産運用を専門とするマリーン・キャピタルのトニー・フォスター最高経営責任者(CEO)は「少なくとも欧州の銀行勢は、さらには米国の銀行勢にもほぼ言えることだが、融資に際しては持続可能性の基準を守る義務が出てくることは間違いないだろう」と指摘する。「持続可能性の基準に満たない先に新規融資するのはますます難しくなっていくだろうし、既存資産への追加融資でもそうした基準がさらに厳しくなるはずだ」という。

有力資産運用会社ピルグリム・グローバルの創業者ダレン・モーパン氏によると、海運業界は融資に対する環境・社会・統治(ESG)圧力の増大にどう対応しながら調達を確保していくかについて頭を悩ませるようになっている。銀行勢にしてみれば、向こう5年のIMOの進展が読めないのに期間25年の投融資など怖くてできないだろうという。

そのため海運業界の船舶建造能力は大きく下がっており、船舶建造のための資金調達も限られていると指摘。「単純な需給関係から考えて、海運運賃は上昇していき、海運業界は自分たちで資金をもっと用意する必要に迫られていく」との見方を示した。

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