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焦点:追い詰められる銀行、商業銀行モデルが転換点

[東京 14日 ロイター] - 大手銀行グループの商業銀行モデルが転換点を迎えている。預金者から集めたお金を貸出などで運用する従来型のビジネスモデルは長引く低金利の影響で、もはや国内での運用は逆ザヤ状態に陥った。大手銀行は海外ビジネスの展開や、収益の多角化を進めているが、本業の貸出不振が、銀行を追い詰めている。

 5月14日、大手銀行グループの商業銀行モデルが転換点を迎えている。写真は都内で2009年8月撮影(2014年 ロイター)

<国内の運用は逆ザヤに>

14日に出そろった三菱UFJフィナンシャル・グループ8306.Tなど大手行の2014年3月期決算で、国内での資金運用が限界に直面していることが明らかになった。

資金調達利回りと運用利回り差を表す「総資金利ザヤ」は、三菱UFJ傘下の三菱東京UFJ銀行が0.3%の逆ザヤに陥り、みずほフィナンシャルグループ8411.T傘下のみずほ銀行はゼロになった。

ある銀行アナリストは「総資金利ザヤが逆ザヤになるとは、象徴的な出来事だ。単純に資金運用だけでは、銀行が存在できない状態を表している」と評した。

邦銀は、預金者などから調達した資金を貸出や有価証券投資などで運用している。日銀による低金利政策で、短期金利はゼロの下限に達し、調達金利は低位安定しているものの、新規貸出の約定金利も下落を続け、預貸金利ザヤは縮小の一途。

有価証券運用でも、頼みの綱だった日本国債による運用は、日銀の量的・質的緩和による国債の大規模購入で困難な状況に直面している。国債保有残高を減らすとともに保有年限の短期化も進めており、有価証券運用の利ザヤも急降下している。その結果、調達コストを賄いきれない局面になった。

みずほの佐藤康博社長は「住宅ローンなどは、過当競争だ。低金利で、余剰資金を貸したいため、1つの案件にどっと集まる貸出で儲けるのは難しい」と話す。その上で、ストラクチャードファイナンスなどの新分野での貸出強化を図る必要があるとした。

<手数料ビジネスの強化、連単倍率拡大へ>

貸出を含めた国内での資金運用が、大きな壁に直面する銀行業界。打開策の1つが、金利収益に頼らないビジネスだ。佐藤社長は、みずほの収益源を「金利から非金利に転換」させるとした。将来的には、グループ収益の半分を非金利収益で賄う計画だ。

三井住友フィナンシャルグループ8316.Tは、傘下の証券やリース、消費者金融などの各子会社の強化に努める。連結当期利益から銀行単体当期利益を差し引いたグループ連単差は14年3月期に2000億円を超え、3年前の4倍に達した。

<鍵を握る海外ビジネス>

国内の貸出ビジネスが低金利で苦境に陥る中、大手銀の収益をけん引するのは海外ビジネスだ。3グループとも海外で積極的に貸出金の増加に取り組む。

三菱UFJは前期にタイの商業銀行、アユタヤ銀行を買収。今期の減益決算見通しの中で、フルに寄与させることを狙う。平野信行社長は「連結効果として数百億円を見込んでいる」と語り、「海外業務は逆風でも増益を図る」と強調する。

三井住友は14日に発表した3カ年の中期経営計画で、アジアでの業務拡大を強調。宮田孝一社長は、3年間に5兆円規模で海外貸出を増加させる方針を示した。

ただ、海外業務の拡大には、世界的に厳しさを増すコンプライアンス対策や国際的な金融規制対応など、掛かるコストも膨大だ。

国内での総資金利ザヤ縮小スピードと、海外ビジネスや収益多角化のスピードのどちらが早いかが、今後の銀行収益の浮沈を握りそうだ。

布施太郎 編集:田巻一彦

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