June 3, 2014 / 4:52 AM / 5 years ago

焦点:米国の保険会社、高利回り求め代替投資に着目

[ニューヨーク 2日 ロイター] - 史上最低水準の利回りで投資リターンが抑え込まれた米国の生命保険各社は、プライベートエクイティ(PE)やインフラ債などのリスク性資産や低流動性資産への投資に目を向けている。

 6月2日、史上最低水準の利回りで投資リターンが抑え込まれた米国の生命保険各社は、PEやインフラ債などのリスク性資産や低流動性資産への投資に目を向けている。写真はメットライフのビル。ニューヨークで2008年10月撮影(2014年 ロイター/Lucas Jackson)

低金利のために生保の投資リターンと利回り保証付き保険商品の収益性は低下している。金融調査会社SNLファイナンシャルによると、生保の昨年の投資リターンは平均で0.8%のマイナスだった。

こうしたリターンの低迷に加え、米国の社債市場で民間の年金基金との競争が激化していることもあり、生保会社は給付を充実させるためにリスク戦略の再検討を余儀なくされた。

北米アリアンツ生命の投資管理担当副社長のトッド・ヘツキ氏は「我々の重点分野は利回り競争だ」と話す。ドイツのアリアンツ・グループが保有するアリアンツ生命は有料道路やスタジアム、風力や太陽光などの再生可能エネルギープロジェクトに投資実績がある。アリアンツ・グループは昨年初め以降にこれらの投資に世界で累計20億ドルの実績があり、このうちアリアンツ生命が4億ドルを占める。

米国の生命保険会社は昨年末時点で約3兆5000億ドルの投資可能資産を保有していた。これは米国の保険業界全体の64%に相当し、最大の投資資本の一角を占める。

ブラックロックのグローバル金融機関グループ責任者、デビッド・ロマス氏によると、過去5年間に保険会社の資産に占めるヘッジファンドやPE、不動産の割合は約10%増加した。

代替投資への進出の動きは、主要投資家が低金利に対処するためにいかに方針を変更しているかを示している。不動産に代表される長期の資産は一般的に経済の先行きが不透明な時に価値が維持されるが、流動性が低いため保有にはリスクを伴う。

メットライフのグローバル・ポートフォリオマネジメント・グループのマネジングディレクター、リチャード・ライスト氏は「証券化不動産などの証券型資産に投資すれば、30年、40年、50年後まで満期が来ない当社の長期負債に非常に良くマッチする」と話す。

メットライフは不動産市場に対する最大の投資家の1人で、保有する不動産は550億ドル近くに達する。ことし初めにメットライフとノルウェーの政府系ファンド「ノルゲバンク・インベストメント・マネジメント(NBIM)」は、ボストンとワシントン、サンフランシスコの合計推定資産額17億ドルのオフィス不動産に共同で投資した。

ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの調査によると、グローバルな保険会社の最高投資責任者(CIO)233人のうち、3分の1以上に当たる35%が今後1年間に全体のポートフォリオのリスクを増やす意向で、8%がリスクを減らすと回答した。

このうち29%のCIOはインフラ債を増やすと答え、28%はPEを、26%が商業用不動産ローンを、26%が不動産を増やすと回答した。

アリアンツのヘツキ氏は、今後3─5年の間に伝統的投資対象以外の資産の割合を10%に増やすことを目指すという。「やや商品構造が複雑になりがちで、期間が長く流動性の低いタイプの資産は、我々が焦点を当てている分野になりつつある。インフラや再生エネルギー関連などの民間プロジェクトは、保険会社の間で新たな取り組みがあり、再び注目が集まっている」と話した。

インフラ債の場合、デフォルト率は低く、長期のプロジェクトが完了に向かうにつれて時間とともに信用度も改善する。

とはいえ、流動性の低い投資には固有のリスクがある。売買が活発ではないため、割引なしにはすぐに売却できないためだ。多くの生命保険会社の現在の経営は金融危機以降で最も健全な環境にあり、リスクを取る価値はある。

メットライフのライスト氏は「一般的に言って、低流動性投資の大半はあらかじめ厳しい条件と契約を投資家に課す傾向があるという点を指摘しておくことは重要だ」と話している。

<供給枯渇と低リターン>

伝統的に生命保険会社は社債の大口保有者で、全米保険監督官協会(NAIC)によると、昨年末時点で資産に占める社債の割合は約6割に上る。

ことしの米国の30年満期の社債発行は堅調だが、企業年金基金などの他の機関投資家が同じ量の供給を増やしており、利回りは押し下げられている。新たな競合相手の登場によって米国債との利回りスプレッドはタイト化した。

米連邦準備理事会(FRB)が債券購入を段階的に縮小するとの見通しが強まった昨年5月以降、国債の代わりに社債を保有する需要が強まった結果、国債と社債の利回り格差は0.36%ポイント縮小した。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの米国債マスター指数によると、高格付け債のスプレッドは1.1%と2007年以降で最もタイト化した水準。ジャンク級の社債のスプレッドはさらに劇的にタイト化し、5月30日時点で3.75%ポイントとなり、2013年5月1日に比べて0.75%ポイント縮小している。

ブラックロックのロマス氏は、昨年は米国債利回りが上昇し、保険会社の資産に組み込まれていた含み利益が圧縮されたと指摘する。

SNLファイナンシャルのデータによると、昨年の投資成績は0.8%のマイナス。昨年までの3年間のリターンは4.67%のプラスだった。長期利回りの上昇によっても、保険会社が好む30年債の発行残高は減少し、新規発行債に対する競争も激化している。

GSMAの保険資産管理グループで確定利付き債のグローバルヘッドを務めるジョン・メルビン氏は「金利が上昇した場合、企業にとって調達コストの魅力が低下するため、長期の社債供給はさらに減少すると見込んでいる」と指摘した。

保険会社が新しい投資先を模索するのも無理はない。

(Gertrude Chavez-Dreyfuss and Richard Leong記者)

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