[東京 18日 ロイター] - 昭和電工4004.Tは18日、日立化成4217.Tを株式公開買い付け(TOB)により買収すると発表した。TOB価格は1株4630円、買付代金は総額9640億円となる。昭和電工は、今回の買収よって、5G、半導体、自動車電動化などに注目した7事業領域での成長を目指す、としている。
TOB開始は2020年2月中旬ごろを予定。日立化成は同TOBに賛同している。日立化成株を51.2%保有する親会社の日立製作所6501.Tは全株をTOBに応募する。TOBの下限は1億3881万3300株(議決権の3分の2)。買収資金の調達で、普通株式の新株発行は行わない。
森川宏平社長CEO(最高経営責任者)は、今回の買収を「さらに高い山を目指す歴史的な一歩」と位置付けた。世界で戦うには、ある程度の規模が必要になるという。
また「GAFAの存在により、これまでとはサプライチェーンの考え方が変わってくる。これからは、サプライチェーンを垂直統合することが必要」と述べた。
原料や間接材の共同購入や製造プロセス・拠点の統廃合などによる間接費の削減や事業ポートフォリオの再編、コスト構造改革を進めることで、買収によるシナジーとして、買収完了3年後をめどに年間200億円以上の効果を見込んでいる。
具体的な事業ポートフォリオ再編については「何か決まっていることはない。選択と集中は聖域を持たずにやることで一致している」とし、事業売却も辞さないとしている。
日立製作所は、予定している株式全ての売却が行われた場合、2020年3月期の個別決算で特別利益として、関係会社株式売却益約4780億円を、連結決算でその他の収益として事業再編等利益約2780億円を、それぞれ計上する予定としている。
*内容を追加しました。
清水律子 田中志保
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」