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焦点:シンガポールの81億円ペントハウス、市場復活の試金石に
2017年7月13日 / 07:13 / 4ヶ月後

焦点:シンガポールの81億円ペントハウス、市場復活の試金石に

[シンガポール 13日 ロイター] - シンガポールで新たに売りに出される超高層マンション64階にあるプール付き3階建てペントハウスの希望価格は、7200万ドル(約81億円)という目もくらむような金額に達している。

 7月13日、シンガポールで新たに売りに出される超高層マンション64階にあるプール付き3階建てペントハウスの希望価格は、7200万ドル(約81億円)という目もくらむような金額に達している。写真右は、同ペントハウスの入る超高層複合ビル「タンジョン・パガー・センター」。昨年2月撮影(2017年 ロイター/Edgar Su)

今年後半に正式に発表される予定のウォーリックレジデンスのペントハウスは、シンガポールで最高層となる建物の中に入っている。裕福で安定した同国は、東南アジア周辺諸国の超富裕層や中国本土の大富豪を引き寄せている。

グオコランド(GUOC.SI)が建設した超高層複合ビル「タンジョン・パガー・センター」内にあり、「空中のバンガロー」とうたわれるこのペントハウスは、シンガポールで最も高額なマンションとなる可能性が高い。同物件はまた、シンガポールの高級物件に対する需要の強さを占う試金石となる。高級物件市場は、ここ数年の不動産価格の過熱を抑制する措置によって最も打撃を受けてきた。

シンガポールの高級住宅価格は2013年のピーク時と比べ、15─20%下落したと不動産コンサルタント会社、ジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)(JLL.N)傘下のJLLコンサルタンシーは指摘。

だが現在、好転する兆しが見え始めているという。

価格が底入れしたと感じるシンガポール人と外国人の双方から需要が高まっていることを挙げ、少なくとも高級市場においては今年、価格が3─5%上昇すると同社は予想している。

JLLによれば、ショッピング街のオーチャード通りやセントーサ島を含む、裕福な外国人に人気のシンガポール中心部における取引件数は、今年1─4月で前年同期比35%増加した。

「価格が下落し続け、長い冬の時代を迎えていたため、シンガポールの物件は買い得だと多くの人が考えている」と語るのは、高級住宅を専門に扱う不動産会社でマネジングディレクターを務めるチャンドラン・VR氏だ。「だから今こそ買い時だと感じている」

一方、香港のマンション価格は高騰していると同氏は指摘。「分別ある投資家はここ(シンガポール)に向かうだろう」と付け加えた。

グオコランド・シンガポール・グループのマネジングディレクター、Cheng Hsing Yao氏によれば、同グループが手掛ける高級物件リードンレジデンスの建設計画が開始して以来、外国人による購入が増加しているという。同物件は150年の歴史があるシンガポール植物園の近くにある。グオコランドは、大富豪のクウェック・レン・チャン氏率いるマレーシアの財閥ホンレオン・グループの一部である。

「絶対数で言えばそれほど大きくはないかもしれないが、一部価格の規模はかなり高額となっている」とCheng氏は述べた。一部の外国人はリードンレジデンスで800万─1200万シンガポールドル(約6.5億─9.8億円)相当の物件を購入しているという。

香港やオーストラリアといった地域での不動産市場への締め付けが、シンガポールの高級物件に外国人を向かわせる要因となっていると同氏は指摘した。

シンガポールの不動産開発大手シティー・デベロップメンツ(CDL)(CTDM.SI)も、超高級マンション「グラマシーパーク」の平均販売価格がここ数カ月で、1平方フィートあたり2800シンガポールドルを超える水準まで値上がりしており、1年前から8%上昇していると言う。これまでのところ、購入者の75%が外国人だという。

CDLのクエック・レンベン会長は、マレーシアの財閥ホンレオン・グループを率いるクウェック氏のいとこにあたる。

 7月13日、シンガポールで新たに売りに出される超高層マンション64階にあるプール付き3階建てペントハウスの希望価格は、7200万ドル(約81億円)という目もくらむような金額に達している。写真はグオコランドが手掛ける高級物件リードンレジデンス。6月撮影(2017年 ロイター/Edgar Su)

<多くの手段>

とはいえ、シンガポールの住宅市場を全体的に見れば、依然として活況とは言えず、15四半期連続で価格は下落しており、公式データを記録し始めた1975年以降の最長続落記録を更新している。

「2018年に転換局面を迎える前に、価格は今年、1─5%下落すると予想している」との見方を、OCBCインベストメント・リサーチのアナリスト、エリ・リー氏は示した。

過去10年で、香港の価格が3倍、シドニーの価格が2倍に膨らむなか、シンガポールの価格はわずか29%の上昇に抑えられている。

東南アジアで多くの「優良不動産」都市が実施したように、シンガポールも投機防止のため、不動産価格の過熱を抑制する政策を導入。一部の措置は今年になって若干緩和されたものの、当局は先月になって当面はこれ以上の緩和措置は行われないと通告した。

シンガポールは投機を防ぐ政策手段に事欠かない。

同国にあるマンションの大半は、戸数のほとんどが一般向けに販売されるものの、建設後は政府によって管理される。これにより、一部の投機的活動を制御でき、価格もコントロールできる。例えば、公営マンションを転売目的で購入することは主に禁じられている。

また、約90%という住宅所有率の高さも、市場が過熱したときに投機を阻止するための政策立案を容易にしている。

すべての住宅購入者は最大で累進税率3%の印紙税を支払わなくてはならないが、外国人購入者の場合はさらに15%が上乗せされる。シンガポール人も、2戸目以降の購入に際しては7─10%が追加される。

「他国で価格抑制策が強化されていることで、投資家がこちらに戻ってくる可能性がある。したがって、われわれはとても注視する必要がある」と、シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)のマネジングディレクター、ラビ・メノン氏は先月、このように語った。

新築住宅販売は今年3月、前年同月比で2倍以上増加し、約4年ぶりの高水準となっている。

中国企業を中心とする不動産開発業者は、土地を確保するため記録的な金額を支払っている。広東省深センに拠点を置く龍光地産(3380.HK)とパートナーである南山集団は最近、シンガポール政府が行った土地の競売で10億シンガポールドル(約820億円)という記録的な額で落札した。1997年に打ち立てられた過去の最高記録をほぼ50%も上回る額である。

「このように強気な落札額は、シンガポールの住宅市場に対する開発業者の強い自信の表れであり、価格がまもなく再び上昇局面を迎えるという考えを示している」と、世界的不動産サービス企業クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(シンガポール)のリサーチディレクター、クリスティン・リー氏は語った。

(Aradhana Aravindan記者、Masayuki Kitano記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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