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アングル:遠のくサッカーW杯、中国の野望に冷や水
2016年10月16日 / 00:47 / 1年前

アングル:遠のくサッカーW杯、中国の野望に冷や水

[上海 14日 ロイター] - 中国が掲げる世界のサッカー王国になるという野望は、厳しい現実に直面している。ワールドカップ(W杯)ロシア大会のアジア最終予選で中国代表はシリアとウズベキスタンに連敗し、代表監督が辞任。2018年の本大会出場は絶望的な状況だ。

 10月14日、中国が掲げる世界のサッカー王国になるという野望は、厳しい現実に直面している。ワールドカップロシア大会のアジア最終予選で中国代表はシリアとウズベキスタンに連敗し、代表監督が辞任。2018年の本大会出場は絶望的な状況だ。写真は6日、中国国旗とシリア戦を控えた中国代表(2016年 ロイター)

6日にホームでシリア戦に敗れた中国代表は11日夜、敵地タシケントでウズベキスタン戦でも0─2で敗れた。連敗を受け高洪波監督が辞任した。チームの不振は、W杯の自国開催と、そこでの初勝利を望む習近平国家主席が取り組む課題の大きさを物語っている。

習氏の賛同もあり、中国はこれまで楽観的なサッカームードに包まれてきた。草の根レベルでのサッカー専門学校の設立に何十億ドルも投資。海外から著名選手や監督を中国に招聘(しょうへい)したほか、イタリアの名門インテル・ミラノや英プレミアリーグのマンチェスター・シティーといった世界各地のサッカー関連資産を買収している。

中国政府は2050年までに自国チームを強化して、世界の強豪国と肩を並べることを目指している。その一方で、インテル・ミラノを買収した中国の蘇寧雲商集団(002024.SZ)のような投資家は、クラブチームやメディア、そしてグッズ販売に至るまで、サッカーに関する国際的な供給網の構築に意欲を見せている。

しかし、多くのスポーツ業界内部者は、中国がその大胆な野望をかなえることができるか疑問を呈している。

「サッカーへの大規模投資、そしてとりわけ習主席の個人的関与が、期待をすっかり非現実的な水準にまで引き上げた」。スポーツ情報サイト「チャイナ・スポーツ・インサイダー」の創設者で、北京に拠点を置くマーク・ドライヤー氏は語る。

中国は国際サッカー連盟(FIFA)ランキングで78位にあり、西インド諸島の小国セントクリストファー・ネイビスの次に位置する。W杯本大会には一度だけ2002年日韓大会に出場し、このときは得点することもなく、3戦全敗に終わった。

「これは何年も変わらないだろう。外国人であろうがなかろうが、どんな監督も求められる奇跡を起こすことはできない。たとえどんなに中国のファンや習主席が期待したとしても、だ」とドライヤー氏は話す。

<偽りのバブル>

12日朝に中国人ファンのあいだで高まった感情は、怒りというよりは諦めの一種で、どれほど国内サポーターが、蔓延する賄賂や国内試合の質の低さに長期間我慢してきたかを映し出すものとなった。

「今や監督が辞任したのだから、チーム全体を解散し、サッカー協会幹部には消えてもらおう」と中国版ツイッターの新浪微博に1人が書き込んだ。「税金の無駄遣いをやめ、他のもっと重要なことに使おう」

11日の敗戦によって、4試合を終えた中国はアジア最終予選グループAの最下位に沈んだ。イラン、ウズベキスタン、韓国、シリア、カタールと同じグループに属する中国はあと6試合を残している。

国営新聞の環球時報は、選手の移籍や著名外国人監督に巨費を投じた国内サッカーの表面的な繁栄は「偽りのバブル」であり、「狂気の資本」と人材輸入によって膨らまされたものだったと批判した。

昨年末以来、最大30億ドル(約3120億円)に上る国際的なスポーツ資産買収を招いた中国のサッカーに対する惜しみない投資熱も壁に突き当たっている。

中国一の富豪、王健林氏は8月、実際に金を儲けることは大変だと語り、海外サッカークラブ投資に冷水を浴びせた。王氏が率いる大連万達集団(ワンダ・グループ)は、スペインの有名サッカークラブであるアトレチコ・マドリードに出資している。

新たな中国人オーナーたちの気前の良い約束にもかかわらず、インテル・ミラノとアストンビラは低迷しており、一方でイタリアのACミランとイングランド・ プレミアリーグのハル・シティは資金繰りの問題が取り沙汰されている。

中国のオンライン放送局PPTVのベテランサッカーコメンテーターで副社長を務めるLou Yichen氏は、投資ブームが、長期的な成功の保証なく、中国企業とクラブチームを大赤字に陥らせる現実的な危険があると指摘する。

「クラブチーム自身が、高水準の投資にべったりと寄りかかり(選手に)高額なお金を払うことで、目先の結果を得ている。少なくとも短期的には、この資金の回収は難しいだろう」

(Adam Jourdan記者 翻訳:高橋浩祐 編集:下郡美紀)

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