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アングル:カタールのサッカーW杯、科学の力で暑さ対策

[ロンドン 18日 ロイター] - 2022年サッカーワールドカップ(W杯)カタール大会で、激しく走り回るミッドフィルダーの選手は発汗によって3リットルもの水分を失うかもしれない。しかしスポーツ科学の急速な進歩のおかげで、例年であれば消耗していた選手でもパフォーマンスを保てる可能性が出てきた。

来年の大会は開催時期が通常の6、7月ではなく11、12月に設定されているが、平均気温はそれでも20度台後半と、多くの選手にとって厳しい環境になりそうだ。特に寒冷な地域から直接訪れた選手にとっては、順応期間が1週間しかない。

肉体的にも精神的にも、一瞬のパフォーマンスの低下が一生の栄光と屈辱を分けるかもしれないエリート選手にとって、ハーフタイムの水やオレンジだけでは頼りにならない。

脱水症状による精度と集中力の低下はよく知られているが、極度の発汗によって失われた電解質やミネラルを補うため、選手ごとにカスタマイズされたプランの利点をコーチや選手が受け入れ始めたのは、ごく最近のことだ。

ポルシェ・ヒューマン・パフォーマンス・センターのスポーツ・運動科学者、ジャック・ウィルソン氏はロイターに対し、「サッカーでは、試合前と後に何をするかが次第に重要性を増している」と語る。

「そこでわれわれは、水分と電解質、特にナトリウムを事前に摂取する必要性を伝えている。選手の汗を詳細に測定して失われた成分を把握し、試合前、試合中、試合後の水分補給計画を立てる。試合後の水分補給は非常に重要になった」

発汗分析と栄養補給を専門とするプレシジョン・ハイドレーションの共同創業者、アンディー・ブロウ氏によると、サッカーは最新技術を取り入れるのが少し遅れたスポーツだが、今では大半の有力チームが取り入れている。「過去10年ぐらいの間に、選手ごとのカスタマイズ化プランに着目するチームが増えてきた印象だ」

「サッカーは部分的にせよ、まだ間違いなく伝統的なスポーツだ。新しい技術や新しい方法を採用したくない人々もいる。しかし監督や選手、コーチの中に科学や人間のパフォーマンスに注目する向きが増えてきた」とブロウ氏は語った。

こうした人々は「何かを発見しようと岩の裏をひとつひとつ調べて」いるという。来年のワールドカップは非常に暑くなる可能性があるため、「暑さと、暑さの影響、それを和らげる方法」に注目が集まっている。

このため水分補給と気温への順応対策に加え、「チームと選手は冷却ジャケットや、試合前にアイスドリンクを飲んで気温に対処する方法を探っている。チーム用のスラッシュパピー(フローズン飲料の商品名)販売機を備えているところさえある」という。

「暑さの中で練習する前にアイスドリンクを飲むと、本当に体温が下がることがある。氷が水に変わる過程で熱エネルギーを大量に消費するからだ」

カタールでは、スタジアム冷却装置も技術進歩の大きな目玉だ。これは冷たい空気をピッチに吹き込むもので、スタジアムごとにシステムは異なる。

カタール大学の機械工学教授、サウド・アブダルガニ教授は今週ロイターに対し、「外部の気温や風に関わらず、たとえ外が砂嵐でも、ドーハ全体でスタジアム内部の気温は22─23度に、空気の質は最高に保たれる」と説明。「冷たい空気は観客に送られ、再冷却され、フィルターを通してピッチ全体に吹きつけられ、快適な気温と湿度の空気になる」とした。

ポルシェ・ヒューマン・パフォーマンス・センターのウィルソン氏は、「選手がベストの状態で臨めるようにするための技術は常に進歩と適応を続けている。暑さへの順応や選手のストレスモニタリングを行うさまざまな技術がある」と説明。現在、従来の体温測定方法と異なるウェアラブル体温測定機を試用しており、選手のモニタリングと準備に役立つ可能性があると述べた。

(Mitch Phillips記者)

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