July 31, 2020 / 7:48 AM / 14 days ago

コラム:ソフトバンクG、「例外なき追加資産売却」が正しい戦略

[ロンドン 28日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 最近のソフトバンクグループ(9984.T)株価の上昇が、孫正義会長兼社長にとって、今後の方針を考えるヒントになるのは間違いない。同社が3月23日に資産売却と自社株買い計画を発表したのをきっかけに、株価は2倍以上に跳ね上がった。この成果を見れば、時価の企業価値がまだ総資産の簿価評価額約2400億ドルの半分ほどにとどまっているソフトバンクGに対し、さらに「解体」を進めるべきだとの意見が説得力を増してくる。

7月28日、最近のソフトバンクグループ株価の上昇が、孫正義会長兼社長にとって、今後の方針を考えるヒントになるのは間違いない。写真はソフトバンクのロゴ。東京で2017年7月撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

3月以降の株価上昇には、2つの要素がある。1つは中国電子商取引最大手・アリババ(BABA.N)(9988.HK)をはじめとする出資先企業の評価額増大。もう1つは物言う株主のエリオット・マネジメントの圧力を受けて、孫氏が戦略を軌道修正したことだ。

後者について言えば、以前のように新興企業に資金をつぎ込むのではなく、保有するTモバイルUS(TMUS.O)やアリババなどの株式を売却し、自社株買いと債務圧縮に動く。こうした方針転換が功を奏し、ソフトバンクGの純資産価値に対する時価総額のディスカウント率は、3月半ばの70%強から足元でおよそ50%にまで縮小した。

ディスカウント率は、もっと縮まるかもしれない。ソフトバンクGは今年発表した自社株買い計画に基づくと、6月30日時点でまだ約170億ドル分を実施する余地があるはずだからだ。

ただ、「割安化」が完全に解消される公算は小さい。同業プロサス(PRX.AS)の場合、UBSによれば昨年9月の上場以降の平均ディスカウント率は30%で推移している。プロサスは中国インターネットサービス大手・テンセント(騰訊控股)(0700.HK)の大株主だが、ソフトバンクGの資産構造はもっと複雑なので、プロサス並みのディスカウント率は達成できないのではないか。

また、たとえそれを達成しても、時価総額は依然として純資産価値よりも700億ドル少ない計算になる。

時価総額を純資産価値に近づける最適な方法は、資産規模を縮小し続けることだ。傘下の英半導体設計・アームの売却ないし上場はその役に立つし、現在の総資産の13%を占める携帯電話子会社・ソフトバンク(9434.T)に対する持ち分を減らすのも有効だろう。

ただ、真の価値は、手放そうとしているアリババ株にある。ソフトバンクGの総資産の6割に迫るアリババ株の評価額は約1700億ドルに上り、同グループ自体以上の価値がある。

明快な解決策は、アリババ株をソフトバンクGの株主に譲り渡すことにある。あるいは孫氏がアリババに売り戻すか、市場で売却するのも可能だ。そうなると多少のディスカウントは甘受し、売却資金に課税される事態を受け入れなければならない。それでもソフトバンクGが大幅に割安評価されている点を踏まえれば、何らかの新たな価値を創造してくれるだろう。

孫氏は、こうした計画に「二の足」を踏むかもしれない。しかし、これは成功した投資の現金化を図る作戦がこれまでうまくいっていることから導き出される論理的な帰結というしかない。投資家が問うべきは「なぜ途中でやめるのか」に尽きる。

●背景となるニュース

*ソフトバンクグループの株価は、孫正義会長兼社長が410億ドルの資産売却を通じて自社株買いと債務圧縮に乗り出す計画を発表した3月23日以降で、2倍以上に跳ね上がっている。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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