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コラム

コラム:ソフトバンクG、米ハイテク株投資の中に見える「本性」

[香港 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ソフトバンクグループ9984.Tの孫正義会長兼社長はカジノの外でうずうずしているギャンブラーのように、少しでも賭け金があると手を出さずにはいられないらしい。

9月7日、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(写真)はカジノの外でうずうずしているギャンブラーのように、少しでも賭け金があると手を出さずにはいられないらしい。2018年11月、都内で開かれたソフトバンクの記者会見で撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

グループの余剰資金を運用する投資運用子会社の開設を発表してから1カ月、ソフトバンクグループは米国に上場するハイテク株のコールオプションを40億ドル(約4240億円)分買い、これに伴う株式へのエクスポージャー(投資規模)が300億ドル以上に達した。この投資は同社の「本性」をあらわにしている。

デリバティブを使ったからといって、孫氏が「クジラ」の呼称を免れるわけではない。投資用語でクジラと言うと、その市場を必然的に動かしてしまう巨大な存在という意味だ。ギャンブル用語では、賭け金が高いことを示唆する。

今回の取引は、グループの「ビジョン・ファンド」が行ったベンチャー投資と通じる部分がある。同ファンドの1000億ドル規模と比較すれば大半の投資は名目額こそ小さかったが、投資を受けたスタートアップ企業の資金調達構造を一変させるのに十分な規模だった。

今回の取引に金銭的なメリットがあるのかどうかは不明だ。米国のハイテク株は今月3日と4日に急落し、ナスダック総合指数は10%吹き飛んだ。英フィナンシャル・タイムズ紙と米ウォールストリート・ジャーナル紙が同社のハイテク株投資について報じたのを受け、週明け7日の東京市場ではソフトバンクG自体の株価も大幅下落した。

このオプション取引について、最終的に利益が出るかどうかという設問は、ある意味、やや的を外している。むしろ、問題はソフトバンクGの投資家自身が、孫氏による支えもないまま、結果的に米ハイテク株にレバレッジをかけて投資させられている点にある。投資内容が不透明なのも気にかかる。

そして投資運用子会社が孫氏自身の資金と会社の資金を混合している点と、報道によれば孫氏が取引を指示している点は、ソフトバンクGの企業統治(ガバナンス)の不備を強く想起させる。同社株のバリュエーションを押し下げているのはガバナンスの問題なのだ。

市場の反応を見ると、ソフトバンクGの株主は同社の行方について偽りの安心感を抱かされているようだ。米ヘッジファンド、エリオット・マネジメントの圧力もあって同社が資産売却に着手したのを受け、株価は過去半年間で倍以上に上昇した。売却額は既に目標の410億ドルを超えた。

ソフトバンクG株は、時価総額の純資産価値に対するディスカウント率が、3月末の63%から8月には45%まで縮まった。孫氏が安いハイテク株を探しているのなら、自社株買いを増やす方が得策かもしれない。

●背景となるニュース

*5日付の英フィナンシャル・タイムズ紙と米ウォールストリート・ジャーナル紙は、ソフトバンクグループが米国の上場ハイテク株のコールオプションを40億ドル以上購入したと報じた。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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