May 19, 2020 / 3:26 AM / 7 days ago

コラム:ソフトバンクGの大幅赤字、暗雲の向こうに光明も

[香港 18日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ソフトバンクグループ(9984.T)の孫正義会長兼社長をおとなしくさせることなど、かつては不可能な仕事に感じられたものだが、やや現実味が出てきたようだ。

5月18日、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長をおとなしくさせることなど、かつては不可能な仕事に感じられたものだが、やや現実味が出てきたようだ。写真は2018年11月、都内で記者会見する孫氏(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

投資先である米シェアオフィス運営会社ウィーカンパニーの評価切り下げを主因として、ソフトバンクGの2020年3月期の営業損失は1兆3600億円と、過去最大の赤字に陥った。しかし、アクティビスト(物言う投資家)の米エリオット・マネジメントによる働き掛けが実を結び、ソフトバンクGは以前のような散財を慎み、一方で自社株買いのペースは維持され、資産売却には弾みがつきそうだ。延び延びになっていた企業統治改革が動きだす兆しもある。

孫社長はオンライン会見で、新型コロナウイルス危機の影響で市場に大恐慌時並みの打撃が及びかねないとの見通しを示した。ソフトバンクG傘下のビジョンファンドは期末の未実現評価損失が約18億ドル(約1兆9000億円)に上り、投資先の88社中、47社が評価切り下げとなった。投資したスタートアップ企業の中で上場にこぎ着けたのはわずか8社で、うち米ライドシェア大手ウーバー・テクノロジーズ(UBER.N)など3社は市場価額が帳簿価格を下回る。

いくつか明るい側面もある。以前は中核事業だった国内通信事業者の営業利益は11%増加。傘下の米スプリントと米TモバイルUS(TMUS.O)の合併が最近完了したことで、640億ドルの純債務も大幅に減るだろう。配当の見合わせもキャッシュの保全につながる。

グループが爆発的な成長局面から危機管理モードへと移行している現在は、取締役会を刷新する好機だ。中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング(BABA.N) (9988.HK)創業者の馬雲(ジャック・マー)氏は、13年間務めた取締役を退任すると発表した。馬氏がソフトバンクGを正しい軌道に導いた功績はほとんどみられないため、これは悪い話ではないかもしれない。

ソフトバンクGはまた、早稲田大学大学院経営管理研究科教授で企業統治の専門家である川本裕子氏を含む2人を新たに社外取締役に迎える人事案を示した。

この変化によって資産売却が加速し、大規模な自社株買いの資金を賄える可能性もある。馬氏の退任により、アリババ株25%、1370億ドル相当の一部売却も少し実行しやすくなるかもしれない。

米ウォールストリート・ジャーナル紙が18日報じたところでは、ソフトバンクGは保有しているTモバイルUS株約300億ドルの大部分を支配株主のドイツ・テレコム(DTEGn.DE)に売却する交渉にも入っている。ソフトバンクGを覆う暗雲の向こうから、少なくとも一筋の光明は差し込んでいる。

●背景となるニュース

*ソフトバンクGが18日発表した2020年3月期の営業損益は1兆3600億円の赤字だった。前年は2兆1000億円の黒字。

*赤字額は同社が4月30日に示した予想の1兆3500億円より、やや大きかった。損失の主な原因はビジョンファンドで、同ファンドの未実現評価損失は約1兆9000億円に上った。

*ソフトバンクGはウーバーと、ウィーワークを運営するウィーカンパニーなどの公正価値が20年3月期中に下落したと説明。新型コロナ感染拡大の影響で、その他の投資先企業の公正価値の総額も第4・四半期(1―3月)に大幅に減少したと明らかにした。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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