February 6, 2020 / 11:11 PM / 11 days ago

コラム:ソフトバンク「ビジョン・ファンド」にピークアウト感

[ロンドン 5日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ソフトバンクグループ(9984.T)が設立した1000億ドル規模の「ビジョン・ファンド」から、業界にその名を知られた大物幹部2人が退社したことは、同ファンドが曲がり角を迎えることの暗示かもしれない。サウジアラビアなど外部出資者からの支援が続かないとすれば、ビジョン・ファンドは世界最大のハイテク投資ファンドという色合いが薄れ、孫正義会長兼社長のための単なる企業内ベンチャーの側面が強まる。孫氏と同ファンド運営責任者のラジーブ・ミスラ氏は恐らく、新規投資をするよりも既存資産をフル稼働以上に働かせることにもっと時間を割くことになる。

 2月5日、ソフトバンクグループが設立した1000億ドル規模の「ビジョン・ファンド」から、業界にその名を知られた大物幹部2人が退社したことは、同ファンドが曲がり角を迎えることの暗示かもしれない。写真は2016年6月、都内で撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)

ビジョン・ファンドからは重要な人材が流出しつつある。ゴールドマン・サックス(GS.N)のディールメーカーとして名をはせ、米国マネジングパートナーだったマイケル・ローネン氏が退社した。これに先立ち、グーグル出身でパートナーだったデービッド・セベノン氏が昨年、同ファンドを去った。

ソフトバンクグループは、出資先の共有オフィス運営会社ウィーワークが上場を断念した後、第2弾の巨額投資ファンド「ビジョン・ファンド2」でまだ外部からの資金を確保できていない。英紙フィナンシャル・タイムズによると、ソフトバンクグループが自腹を切って50億ドルを拠出する見通しで、状況は昨年夏とかなり様変わりした。当時孫氏は、ビジョン・ファンド2に1080億ドル規模の出資を得られる見込みがあるとし、確約されてはいないがアップル(AAPL.O)やマイクロソフト(MSFT.O)、邦銀勢などから資金が集まると大々的に宣伝していた。

こうした中でローネン氏の退社は多分、ソフトバンクグループにとって華々しい時代が終わることを意味する。イスラエル生まれのローネン氏はかつて、ゴールドマンのハイテク・メディア・通信(TMT)セクターの合併・買収(M&A)責任者だった。だが、もしも孫氏がビジョン・ファンド2にも、何らかの形で以前と同じような中東諸国からの出資を確保することができないなら、こうしたディールメーク能力は先行き、それほど重要ではなくなる。ソフトバンクグループは常に自前の資金を使えるとはいえ、400億ドルに上る純債務があるため投資能力は制約を受ける。

そこで今後は、最初のビジョン・ファンドが抱える800億ドル前後の既存投資案件を、その大半において、より有効に稼働させることに力点が置かれそうだ。およそ40人で構成される同ファンドの運営グループは、ウーバー・テクノロジーズ(UBER.N)やウィーワークといった出資先企業向けに、彼らの商売上の戦略を生かす形で支援をすることができる。ミスラ氏配下でゴールドマンやドイツ銀行(DBKGn.DE)出身の資本市場バンカーが顔をそろえる部下たちは、ビジョン・ファンドが出資する新興企業に資金調達を助言することも可能だ。

確かに、ビジョン・ファンド2が50億ドル程度の規模であっても、それなりに大きなベンチャー投資ファンドであることに変わりはない。また孫氏は既に、ビジョン・ファンド2を通じて何件もの投資をしている。ただし近年の熱狂的な投資ペースからは程遠い。もはやビジョン・ファンドは、ハイテク分野に投資するために居るべき場所には見えない。

●背景となるニュース

*ソフトバンク・ビジョン・ファンドの米幹部ローネン氏が退社

*ソフトバンクグループは、ビジョン・ファンド2を1080億ドル規模で立ち上げる計画だったが、今のところ外部から資金を集められていない。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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