April 24, 2019 / 11:45 PM / 3 months ago

コラム:ソフトバンク、ワイヤーカード出資で従来の姿勢が変化

[香港 24日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ソフトバンクグループ(9984.T)の投資に関する気前の良さは、ドイツの決済サービス企業ワイヤーカード(WDIG.DE)に限っては全く発揮されていない。

 4月24日、ソフトバンクグループ<9984.T>の投資に関する気前の良さは、ドイツの決済サービス企業ワイヤーカードに限っては全く発揮されていない。都内で2017年7月撮影(2019年 ロイター/Issei Kato)

ソフトバンクが24日、ワイヤーカードに9億ユーロを出資することが明らかになった。とはいえ直接株式を買うのではなく、転換社債を取得する形だ。これはワイヤーカードが置かれている状況の厳しさと、ソフトバンクがより慎重な姿勢を取っていることの表れかもしれない。

ワイヤーカードの2018年1─9月期売上高は14億ユーロで、前年比40%増加した。しかし英紙フィナンシャル・タイムズが1月以降に相次いで伝えた同社のシンガポール部門の不正会計疑惑を受け、株価が急落。19日の終値は120ユーロで、昨年9月の高値を40%ほど下回った。同社は不正を否定している。

もっとも勢い付いていた空売り筋は、ソフトバンクの登場で意気消沈するだろう。ソフトバンクは転換社債を通じてワイヤーカードの690万株を取得し、持ち分が7%のマルクス・ブラウン最高経営責任者(CEO)に次ぐ第2位の株主となる。さらに戦略提携合意というボーナスも付く。ソフトバンクが中国電子商取引最大手アリババ(BABA.N)やインドのスマートフォン決済最大手ペイティーエムなどに出資している点を踏まえれば、ワイヤーカードにさまざまな機会が提供される可能性がある。だからこそ24日にワイヤーカード株は9%も跳ね上がった。

だがソフトバンクがワイヤーカードの株を直接買っていれば、転換社債取得よりもずっと大きな信任投票になったはずだ。合意した転換価格は130ユーロと、24日の取引開始時の価格よりわずかに高いだけ。第三者機関の調査でワイヤーカードの疑惑はシンガポールに限定されていることが分かったものの、さらなる問題が出てきた場合、それなりに立派な買い手が現れて、再び株価が急落するリスクから守ってくれる必要が出てくる。ソフトバンクの場合は、事態が悪化すれば、社債を株式に転換しないという選択肢がある。

このやり方は、手当たり次第に資金を投じてきた以前のソフトバンクとは微妙に異なる。同社が立ち上げたビジョン・ファンドは、出資先を過大評価したり、リスクの高い投資に関与しているなどと批判を浴びている。例えば出資先の1つである中国の中古自動車オンライン販売企業の車好多は最近、ライバル企業から不正を行っていると非難された。もし孫正義会長兼社長が、ビジョン・ファンドに新たな資金を呼び込みたいと考えているなら、出資候補者はソフトバンクが今回のように用心深い対応もできる点を評価するかもしれない。

●背景となるニュース

*ソフトバンクグループは、ドイツの決済サービス企業ワイヤーカードに約9億ユーロを出資することで合意した。ワイヤーカードが24日発表した。

*ソフトバンクは、ワイヤーカードが発行する期間5年の転換社債を取得。転換社債はワイヤーカードの普通株690万株に転換可能で、これは発行済み株式のおよそ5.6%に相当する。転換価格は1株当たり130ユーロ。

*ソフトバンクは提携の一環として、ワイヤーカードの日本および韓国への進出を支援するとともに、ソフトバンク傘下のデジタル決済、人工知能(AI)、データ解析などの企業と手を組む機会も提供する。

*今後はデジタル金融の面で新たな商品やサービスの共同開発も目指す見通し。ワイヤーカードの株主は6月18日の総会でこの取り決めを承認するかどうか投票する。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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