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焦点:ソニー、新たなゲーム定額制の勝算 マイクロソフトに対抗策

[東京/ロサンゼルス 30日 ロイター] - ソニーグループが29日に発表したゲーム定額サービスの刷新は、ライバルであるマイクロソフトの「Xboxゲームパス」に対抗する大きな一歩となる。だが、サービスから新作を除外した決断が、ユーザーの興奮に水を差す可能性があるとアナリストらは指摘する。

ソニーグループが29日に発表したゲーム定額サービスの刷新は、ライバルであるマイクロソフトの「Xboxゲームパス」に対抗する大きな一歩となる。写真は店頭に並ぶプレイステーション5のゲームソフト。2021年12月、ニューヨークで撮影(2022年 ロイター/Andrew Kelly)

ソニーはオンラインサービス「プライステーションプラス(PSプラス)」を、今年6月から日米欧でアップグレードする。『スパイダーマン:マイルズ・モラレス』など最近のヒット作を含む、数百のゲームを定額制で提供する。

ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)のジム・ライアンCEO(最高経営責任者)はロイターに対し、このサービスに最新作は含まれないが、『リターナル』や『ゴッド・オブ・ウォー』など、最近の大型タイトルは提供すると明らかにした。

ライアンCEOは「プレイステーションスタジオの作品もあるし、主要ゲーム開発会社はすべて参加する予定」だとしている。

新たなサービスは、オンラインマルチプレイと毎月複数の無料ゲームを提供する現行の「PSプラス」と、ゲームのダウンロードやストリーミングができるサービス「PSナウ」を統合したものとなる。現在の会員数はそれぞれ4800万人、320万人。

料金体系は3つで、月額で9.99ドルから17.99ドル、年額で59.99ドルから119.99ドルの間で選択する。

最も安い「PSプラス・エッセンシャル」は、ソニーが現在提供している「PSナウ」から大きな変更はない。中間の「PSプラス・エクストラ」には、PS4とPS5のカタログが追加され、最も高い「PSプラス・プレミアム」では、旧作やクラウドストリーミング、購入前に期間限定で遊ぶことができるサービスが提供されるという。

IT専門調査会社IDCのアナリストであるルイス・ワード氏は、同社の取り組みは「待望されていた」と語る。時間とともに上位の契約へ切り替えが進んでいくことが期待できるという。

新作の開発には多額のコストがかかることから、アナリストの間には、最新タイトルを定額制サービスに含めるとゲーム部門の利益を侵食するとの懸念があった。

今回の定額サービスで、ソニーは新作ゲームの売り上げ維持も狙っている。

アンペール・アナリシス社のゲームリサーチ部門長であるハーディング・ロールス氏は「より多くのユーザーが、より高価な定額サービスに誘導される。この動きは(ソニーの)利益率を改善するだろう」とみる。 <高額の賭けゲーム>

迎え撃つマイクロソフトは「ゲームパス」で2500万人の加入者を抱え、発売日から新作で遊べるようにしたり、ゲーム開発スタジオを買収して内容を拡充するなど、積極的な成長戦略を展開している。今年1月には「コール オブ デューティ」の製作元であるアクティビジョン・ブリザードを687億ドルで買収した。

自社でスタジオ網を構築するソニーは今年に入り「デスティニー」を手掛ける米バンジーを36億ドルで買収した。多くのアナリストがさらなるゲーム開発会社の買収を予想している。

アンペール・アナリシス社によれば、北米・欧州のゲームサブスクリプション市場でマイクロソフトが占めるシェアは60%で、ソニーは7%。しかし、そもそもサブスクリプションの市場規模はゲーム支出全体のわずか4%にとどまる。

IDCのウォード氏は「PS陣営は古いゲームを定額制にすることが、新作ゲームの収益を最大化することができる手段だと考えている」と指摘する。

このため、ソニーのサービスには「マイクロソフトのサービスのような牽引力はないだろう」と、アンペールのハーディング・ロールス氏は分析する。

ソニーが新たに設定する価格体系は、競争力があると見られている。最も高い年会費120ドルは、マイクロソフトの最上位クラウドゲーミングサービス「ゲームパスアルティメット」の年180ドルを下回る。

クラウドゲーミングは、ゲーム機本体やPCにゲームをダウンロード、インストールする必要がないため、今後業界の主流になりえると考えられている。これはゲーム機本体を製造販売する企業には、脅威となる可能性があるものだ。

クラウドゲーミング機能を持たない中間価格帯の「PSプラス・エクストラ」の契額は、年額契約だと毎月の負担は8ドル強。ゲームパスの9.99ドルを大きく下回る。

ソニーのライアン氏は「このような価格設定は、新作ゲームを発売と同時にサービスへ組み込もうとすると単純には実現できない」としている。だが「すべてはエンゲージメントに帰結する」とも話す。「人々を引き込めば、マネタイズは後からついてくる」。

Sam Nussey、Dawn Chmielewski 編集:Gerry Doyle 日本語記事化:基太村真司

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