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アングル:主要産油国の政府系ファンド、日韓株を大量売却か

[シンガポール 17日 ロイター] - 昨年の韓国株の最大級の売り手は、主要産油国の投資家だった。原油価格の急落に伴う収入減を穴埋めするためだったとみられる。アナリストによると、これらの売り手は政府系ファンドだった可能性が大きく、今年1月に日本株から大規模な資金流出が起きた背景も同じではないかという。

 2月17日、昨年の韓国株の最大級の売り手は、主要産油国の投資家だった。原油価格の急落に伴う収入減を穴埋めするためだったとみられる。写真はソウルで2011年4月撮影(2016年 ロイター/Lee Jae Won)

韓国金融監督院の当局者は、昨年6月に産油国の投資家からの韓国株売りが強まり、今年1月まで続いたと説明している。

この当局者の話によると、6月から昨年末までの期間で、サウジアラビア、ノルウェー、アラブ首長国連邦(UAE)の投資家からの売り越し総額は5兆6000億ウォン(46億ドル)に上り、サウジの売り越し額が4兆4000億ウォンと最も大きかった。サウジは今年1月も1175億ウォンを売り越した。

世界最大規模の政府系ファンドを抱えるノルウェーの売り越し額は昨年の6月から年末までが1兆ウォン、今年1月が620億ウォン。

スタンダード・チャータード銀行のエコノミストで投資助言や戦略を担当するKim Jae Eun氏は「オイルマネーの流出が続いている。産油国は原油安で貿易収支が悪化し、それが財政に打撃を与えているからだ。これらの国は急速に歳出を削減できない」と指摘した。

産油国の投資家は日本株からも資金を引き揚げたようだ。

財務省が発表した対内証券投資データによると、ノルウェーの投資家は昨年、406億円(3億5640万ドル)相当の日本株を売り越した。

また三菱UFJモルガン・スタンレー証券のシニア投資ストラテジスト、藤戸則弘氏は、1月に日本の現物株が活発に売られたのは海外のリアルマネー、恐らくは政府系ファンドの持ち高解消を示唆しているとの見方を示した。

日本取引所のデータによると、1月の外国人投資家による株式売却に占める現物株売りの比率は48%と通常よりも大きい。

藤戸氏は、このデータからは海外投資家が先物などの投機的な株式商品ではなく、リアルマネー投資をどんどん減らしつつある状況がうかがえると話す。似たような現象は昨年の8月と9月にも見受けられた。

同氏は「こうした動きが産油国と結び付いている可能性は極めて大きいと思う」と述べた。

(Jongwoo Cheon、Masayuki Kitano記者)

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