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アングル:政府系ファンドが「ユニコーン企業」物色、投資拡大
May 12, 2017 / 6:43 AM / 7 months ago

アングル:政府系ファンドが「ユニコーン企業」物色、投資拡大

[ロンドン 11日 ロイター] - 政府系ファンド(SWF)の間で、ハイテク新興企業への投資を拡大したりシリコンバレーに事務所を開設する動きが広がりつつある。狙いは、将来の「ユニコーン企業」(評価額10億ドル超の未公開企業)の先物買いだ。

 5月11日、政府系ファンド(SWF)の間で、ハイテク新興企業への投資を拡大したりシリコンバレーに事務所を開設する動きが広がりつつある。写真は、サウジアラビアの公共投資基金が35億ドルを投じた配車サービス大手ウーバーのロゴ。台北で4月撮影(2017年 ロイター/Tyrone Siu)

SWFとしては、早い段階で出資した新興企業がその後急成長すれば、相当大きなリターンを得ることができる。ただそれだけではなく、さまざまなデジタル・ディスラプション(既存の枠組み破壊)によって成熟市場の投資先が脅威にさらされた場合のリスク回避にもつながる。まさにユニコーン企業の1つであるエアビーアンドビーが大手ホテルチェーンの土台を揺さぶっているのは、そうした事例に当てはまる。

調査会社ピッチブックがまとめたデータに基づけば、SWFの米国における新興企業投資は昨年、計12件、総額は124億ドルで、2012年の4件、2億0200万ドルから大幅に増えた。スペインのIEビジネススクールの研究機関ソブリン・ウェルス・ラボによると、世界全体ではSWFによる昨年の新興企業投資は42件、約162億ドルだった。

SWFの新興企業投資拡大を象徴するのは、ソフトバンク(9984.T)とサウジアラビアの公共投資基金(PIF)がハイテク投資のために共同で1000億ドル規模の「ビジョン・ファンド」を設立したことだ。PIFは、配車サービス大手ウーバーに35億ドルを投じている。昨年は中国のアリババ(BABA.N)傘下の決済サービス会社アント・ファイナンシャルもSWFから出資を受け入れた。

<直接進出>

新興企業の投資機会をどのように探り出すかは、SWFによって千差万別だ。専門のベンチャーキャピタルを設立して投資に動く向きもあれば、ハイテク新興企業の一大拠点であるサンフランシスコのシリコンバレーに直接進出するケースも見られる。直近では、カタール投資庁(QIA)が事務所の開設計画を発表している。

法律事務所ホーガン・ロヴェルズのパートナーでサンフランシスコを拠点にSWFの代理人として活動するババク・ニクラベシュ氏は「当地は他のどこよりも多くのユニコーン企業が一気に成長している。リターンはかなり大きく、それが多数のSWFの事務所開きを促している」と述べた。

フォーチュン誌によると、昨年はユニコーン企業のうち米国が101社を占め、中国は36社、英国が8社、インドは7社だった。

シンガポール政府投資公社(GIC)やマレーシアのSWF「カザナ」は既にサンフランシスコに事務所を保有。シンガポール政府系のテマセク・ホールディングスも昨年終盤に事務所を設立し、今年1月には早速ヘルスケア分野のハイテク企業に8億ドルを投資した。

テマセク幹部はロイターへの電子メールで「われわれはハイテク、生命科学、ヘルスケアで投資を強化している。サンフランシスコに足場を持つのは、これらのセクターにより近づく上で役立つ」と語った。

<リスクヘッジ>

一部のSWFは、最適な投資機会を巡る競争の激しさを考えて、有望企業を見つけることができる外部のベンチャーキャピタルとの提携を選択している。

    最近ではオーストラリアのSWF「将来基金」は、ベンチャーキャピタルのNEAと組み、クラウドコンピューティングの新興企業などに共同出資した。将来基金は、ウーバーやエアビーアンドビー、スナップチャットなどに早くから着目して投資し、手数料差し引き後で20%を超える年間リターンを稼ぐ抜け目のなさを発揮してきた。

    同基金のラファエル・アルント最高投資責任者は「ベンチャー(キャピタル)は、われわれに現在進行しているイノベーションやディスラプションを提供してくれるので、非常に大事な存在だ」と指摘した。

    さまざまな産業でこうしたディスラプションが起きているため、SWFにすれば新興企業投資は資産運用のヘッジ手段として理想的といえる。

    ソブリン・ウェルス・ラボのディレクター、ハビエル・キャパペ氏は「銀行セクターでは、(SWFは)フィンテックに、運輸セクターでは自動運転技術に大きく投資している。彼らは、運用資産において新旧企業のつり合いを取らなければならない」と主張する。

    さらにSWFは同じセクターで複数の新興企業に投資しており、リスク分散化を図っているのかもしれない。キャパペ氏は「たった1つの新興企業に投資するのはリスクが非常に大きいので不可能だ。通常は、10件のうち8件は失敗する」と話した。

    投資調査・分析会社アランカのマネジャー、ニキル・サルビ氏は「バリュエーションはあっという間に膨らむことがあり得る。SWFは、多くの新興企業の少数株保有に積極的で、その中の1つか2つが成功すればポートフォリオのリターンを劇的に変えてくれると期待している」と説明した。

    (Claire Milhench記者)

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