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焦点:カタルーニャ独立騒動、激化のカギ握る州警察の「葛藤」
2017年10月27日 / 00:54 / 23日後

焦点:カタルーニャ独立騒動、激化のカギ握る州警察の「葛藤」

[バルセロナ 24日 ロイター] - スペイン政府が27日にもカタルーニャ州の自治権を停止する準備を進めているなか、同州の警察は「昨日までの上司」である州政府トップの排除を命じられた場合、中央政府とカタルーニャ独立の大義のいずれに従うのだろうか。

 10月24日、スペイン政府がカタルーニャ州の自治権を停止する準備を進めているなか、同州の警察は「昨日までの上司」である州政府トップの排除を命じられた場合、中央政府とカタルーニャ独立の大義のいずれに従うのだろうか。写真は国家警察の隊列の前に立つ州警察の警官。バルセロナ近郊で3日撮影(2017年 ロイター/Albert Gea)

スペイン警察は1日、違法とみなされたカタルーニャ独立住民投票を阻止するため、警棒やゴム弾を使用したことで国際的な批判を浴びた。カタルーニャ州警察は、投票阻止の行動を拒否。この住民投票は現代スペインの憲政史上で最悪の危機を招いた。

分離独立を掲げるカタルーニャ州政府は、自治権剥奪というスペイン政府側の計画に抵抗する意志を示している。プッチダモン州首相及び自治政府を強制的に退去させるよう命令が出たとしても、分裂して士気低下しているカタルーニャ州警察、通称「Mossos d’Esquadra」(カタルーニャ語で「若者たちの部隊」を意味する)が命令に応じるかどうかは疑問視されている。

再び、国家警察が最前線に立つ可能性もある。

独立賛成派と反対派のあいだで生じた不信感によって、カタルーニャ州警察は分裂しており、国家警察の部隊とも疎遠な関係にあることが、州警察や国家警察への取材で明らかになった。

裁判所の記録によれば、カタルーニャ州警察長官は、配下の部隊が介入することなく投票の実施を許したことで反乱扇動罪の容疑で取り調べを受けており、内務省が管轄する治安警察側は長官に不利な証拠を提示している。

取材に応じた州警官5人は、総勢1万7000人の州警察は独立賛成派と反対派に分裂していると述べ、5人のうち3人は、州政府閣僚や州議会議員の権限を剥奪するための実力行使には応じないと語った。

勤続15年で独立賛成派のベテラン州警官は、匿名を条件に、「無抵抗の人々に対して、実力を行使して自分の警棒で相手を殴ることはしない」と語った。

他の多くの警察官も同じように感じていると述べつつ、同警官は次のように付け加えた。「しかし、命令には従わなければならないだろう。家族を養っていかなければならないから」

州警察の広報担当者によれば、州警察は中立であり、「いかなる政治的やイデオロギー的な基準にも」従わない、という。

スペインのラホイ首相は、カタルーニャ独立に向けた動きを阻止する意向だ。カタルーニャ州はスペインの総人口の16%を占めるが、国内総生産(GDP)に占めるシェアは19%に上る。首相はカタルーニャ独立がユーロ圏の心臓部に経済的、そして社会的な混乱をもたらすと考えており、これを回避しようと努めている。

州警官はロイターの取材に対し、彼らのなかには独立反対派もいて、暗号化されたチャットアプリを用いて、カタルーニャ独立と中央政府のどちらに忠誠を誓うか、意見交換しているという。

スペイン政府は権限強化のためカタルーニャ州警察の上層部を交代させる構えだが、州警察の忠誠心を担保するうえで、それだけで十分かどうかは未知数だ。

州警察の姿勢は、750万人のカタルーニャ州住民にとって大きな影響力を持つ。州警察はカタルーニャ社会に深く根ざしており、そのルーツは18世紀の民兵まで遡る。

州警察は、8月にバルセロナで発生し14人が死亡した自動車突入攻撃に対する対応で、さらに評価を上げた。

ラホイ首相は、州政府や州警察の運営も含めて、中央政府がカタルーニャ州の中枢をコントロールするという前例のない措置に向け、27日に上院の承認を得ようとしている。

この戦略に伴い、2人の高官と23人の警察署長を含む州警察の上層部も入れ替えられ、指揮系統は、今後任命される予定の内務省に直属する国家警察の担当官の下に統合される、とスペイン政府当局者とカタルーニャ州警察組合の関係者はロイターに語った。

 10月24日、スペイン政府がカタルーニャ州の自治権を停止する準備を進めているなか、同州の警察は「昨日までの上司」である州政府トップの排除を命じられた場合、中央政府とカタルーニャ独立の大義のいずれに従うのだろうか。写真は州警察の警官の背後に立つ国家警察の警官隊。バルセロナで2日撮影(2017年 ロイター/Eloy Alonso)

<服従拒否には実力行使>

スペインのダスティス外相は、カタルーニャ州政府により市民的不服従の呼び掛けが行われる以前の先週末に、「誰一人として逮捕するつもりはない」と語った。

だがスペイン政府上層部の関係者は、カタルーニャ州での反応次第では、実力行使も必要になるかもしれないと語る。

「州議会の排除や閉鎖が必要となり、州議会議員をオフィスから退去させる必要がある場合、彼らがそれに従えば何も問題はないが、従わない場合は、実力行使が必要になる」と同関係者は語る。

スペイン政府と独立推進を目指す州指導者との数カ月に及ぶ対立は、州警察内部の士気を徐々に低下させてきた。警察官や組合関係者によれば、独立反対派の警官数百人が辞職しようとしているという。一部には、独立支持派の同僚たちから疎外されているという不満もある。

 10月24日、スペイン政府がカタルーニャ州の自治権を停止する準備を進めているなか、同州の警察は「昨日までの上司」である州政府トップの排除を命じられた場合、中央政府とカタルーニャ独立の大義のいずれに従うのだろうか。写真は10日、バルセロナの地方議会前を歩く州警官(2017年 ロイター/Rafael Marchante)

全国規模のARP警察官組合を率いるルイス・ミゲル・ロレンテ氏によれば、約200人のカタルーニャ州警官が、国家警察への入隊方法についての情報を求めて同組合に問い合わせてきたという。

カタルーニャ州では独立支持派・反対派双方による数十万人規模に上る街頭での抗議行動が発生しており、スペイン政府はカタルーニャ州に約4000人の警察官を増派している。

増派された警察官らはバルセロナ港に停泊する2隻のクルーズ客船に宿泊している。1隻には、マンガのキャラクターである黄色い鳥の「トゥイーティー」と猫の「シルベスター」のペインティングが施されており、「トゥイーティー」は独立支持の活動家数人により独立運動のマスコットとして採用されるに至った。

住民投票の参加者は圧倒的に独立を支持したが、スペイン残留を望むカタルーニャ人はもっぱら投票をボイコットしたため、投票率は約43%にすぎなかった。独立派は、住民投票の結果によって国家としての独立が信認されたと述べている。

スペインは、独裁者フランシスコ・フランコの死により、1975年にようやく民主主義を取り戻した。フランコ体制下でカタルーニャの言語・伝統は抑圧されていた。

<準備万端>

これまでの独立運動は平和裏に行われてきたが、今回の住民投票で明らかになったように、独立を阻止するために、独立派の多くが軽蔑する国家警察を中央政府が動員すれば、対立はあっというまにエスカレートする。もし州警察が再び静観するならば、国家警察が再び介入するだろうと中央政府の高官は指摘する。

スペイン上院がラホイ首相の計画を承認するまでは、引き続きカタルーニャ政府が自治権を握っており、挑戦的な態度を崩さないカタルーニャ政府は今週、州警察を含む州の公務員は、引き続き州政府及び州議会の指示に従うだろうと述べた。

これにより、プッチダモン州首相や州議会議員らがオフィスを離れることを拒否したり、彼らの支持者がオフィスを占拠することで抵抗を支えたりする懸念が生じている。

内務省の当局者によれば、中央政府はカタルーニャ州警察の上層部を入れ替えるだけでなく、州政府の主要建物から州警官を移動させ、代わりに国家警察を配備するという。

州警察と国家警察の関係は現在、最悪の状態にあり、新たな共同捜査などは、まったく開始されていないという。

(翻訳:エァクレーレン)

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