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コラム:スプリントとTモバイル、なお低い合併成功の確率
2017年9月25日 / 05:30 / 23日前

コラム:スプリントとTモバイル、なお低い合併成功の確率

9月22日、米国の携帯電話セクターで再び合併・買収(M&A)が活発化する局面が訪れた。40億ドルのコスト節約効果に惹かれ、ソフトバンク傘下のスプリントと、TモバイルUSが改めて合併を協議している。写真は8月、米カリフォルニア州で撮影(2017年 ロイター/Mike Blake)

[ニューヨーク 22日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米国の携帯電話セクターで再び合併・買収(M&A)が活発化する局面が訪れた。40億ドルのコスト節約効果に惹かれ、ソフトバンク(9984.T)傘下のスプリント(S.N)と、TモバイルUS(TMUS.O)が改めて合併を協議している。以前は規制当局の反対と価格面で折り合いがつかなかったことで交渉が失敗した。今回は、ソフトバンクの孫正義会長兼社長がトランプ米大統領と良好な関係を築いたという利点がある。ただし、成功確率は依然として低い。

モフェットネーサンソンの調査によると、スプリントとTモバイルの統合がもたらす差し引きの相乗効果の現在価値は300億ドルに上る可能性がある。両社ともに大きな金額を分け合える。スプリントは既に合併を巡る思惑が株価に反映され、時価総額は2016年初め以降で2倍超に膨らんだ。Tモバイルの価値も上がっている。過去の交渉では合併の利益をどう分け合うかがネックとなってきたが、両社は今、合併条件に関する合意に近づきつつある。

何よりも価格競争を終わらせられるというのは、抗しがたい魅力かもしれない。携帯電話市場は成熟化しているので、大手4社は互いに相手の顧客を奪おうとしている。スプリントは、他社からの乗り換えに客に1年間の無料サービスを提供するほどの踏み込みようだ。4社が3社になって競争が弱まれば、価格は安定する可能性がある。

もっとも米規制当局が好むのは競争が維持される状態であり、だからこそ2011年のAT&T(T.N)によるTモバイル買収や、3年前のスプリントによるTモバイル買収を認めなかった。

スプリントとTモバイルは、4社態勢が存続不可能で、強力な3社になった方が顧客へのサービスが向上するという主張をまたぞろ持ち出している。スプリントの設備投資規模は他社に見劣りしているもようであるにもかかわらず、キャッシュフローでカバーするのに苦戦。300億ドルを超える債務の返済方法も判然としない。

こうした言い回しは、14年に両社が唱えていた意見と似ているが、当時の当局は同意しなかった。TモバイルがAT&Tから違約金として受け取った現金と周波数帯を原資に仕掛けた価格競争はその後業界全体に広がり、消費者に恩恵をもたらした。

Tモバイルの財務基盤は非常に健全で、自社株買いを検討できるまでになっている。孫氏がトランプ氏に5万人の雇用創出を約束して合併支持を働きかけたとしても、当局は4社態勢にはっきりとメリットがあるという事実は無視できない。連邦通信委員会(FCC)は今月、携帯電話市場は09年以降で初めて有益な競争が起きているとの見解を示した。さらに孫氏とトランプ氏の良好な関係についても、孫氏が生み出すと断言した雇用の多くを株主の利益のために削減しようとすれば、あまり当てにはならないかもしれない。

●背景となるニュース

*スプリントとTモバイルUSは、合併条件に関する暫定合意に近づいている。ロイターが関係者の話として伝えた。2人の関係者によると、スプリントの親会社ソフトバンクが、統合後の新会社に40─50%出資し、Tモバイル親会社のドイツテレコム(DTEGn.DE)が過半数株を取得する。

*スプリントは2014年にTモバイル買収を試み、米当局の反対で撤回した。このケースではソフトバンクが統合後の新会社の経営権を掌握し、ドイツテレコムが少数株を保有する枠組みだった。

*ソフトバンクの孫正義会長兼社長は昨年12月にトランプ米大統領との会談後、米国に500億ドルを投資し、5万人の雇用創出をすると約束。トランプ氏はこれを称賛し、自分が大統領に当選していなければソフトバンクはこうした合意はしなかったと胸を張った。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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