May 10, 2019 / 1:51 AM / 10 days ago

アングル:顧客離れに苦しむ米スプリント、ソフトバンクに暗雲

[東京 10日 ロイター] - 米携帯電話会社スプリント(S.N)の業績が失速したことで、8割超を出資するソフトバンクグループ(9984.T)の米通信事業に暗雲が立ち込めている。

 5月10日、米携帯電話会社スプリントの業績が失速したことで、8割超を出資するソフトバンクグループの米通信事業に暗雲が立ち込めている。写真は2018年、ニューヨークのスプリント店舗前を歩く女性(2019年 ロイター/Brendan McDermid)

ソフトバンクGはスプリントをTモバイルUS(TMUS.O)と合併させて非子会社化する計画だが、規制当局の承認が得られず、4月29日の合併手続き完了期限を3カ月延長した。孫正義社長は9日の会見で「事業は苦しいながらも一応、順調に行っている」と語ったが、不透明感は増すばかりだ。

スプリントの2019年1─3月期の純損益は、21億7400万ドルの赤字に転落した。前年同期は6900万ドルの黒字だった。20億ドル(2220億円)の減損損失を計上したことに加え、携帯電話契約数が予想以上に減少したことが足を引っ張ったが、市場では値引きをしても顧客を引きとめられない状況に存続を危ぶむ声が広がっている。

ニュー・ストリート・リサーチのアナリスト、ジョナサン・チャップリン氏は「スプリントは現在の資本構造では単体で存続しないだろう」との見方を示した。

ソフトバンクは起死回生策として、スプリントをTモバイルUSと合併させる計画を1年前に打ち出したが、合併を審査する米規制当局の動きは鈍い。寡占化により競争が後退することを懸念しているためだ。

孫社長は「Tモバイルにとっても、スプリントにとっても、アメリカの消費者にとっても、国家戦略として第5世代(5G)ネットワークを強化する観点からも、合併が実行されるのがベストだと信じている」と合併に理解を求めた。

だが、審査する米司法省は現在の形での合併に難色を示しており、合併を実現するには「身を切る新たな計画」が必要だ。

スプリントとTモバイルUSは4月、米連邦通信委員会(FCC)に対して、合併しなければデータ需要に対応し続ける能力がなくなり、値上げをせざるを得なくなると窮状を訴えた。これにより、もはや単独では生き残れないという厳しい現実が、世間に知れ渡った。

窮状を訴えれば訴えるほど、不安から契約をためらう消費者が出てくることは容易に想像できる。しかし、そこまでしてでも承認アピールをしなければならないところに、同社が置かれている厳しい状況が垣間見える。

ソフトバンクグループが9日発表した2019年3月期の営業利益は、前年比1.8倍の2兆3539億円だった。ビジョンファンドとデルタファンドからの利益は1兆2566億円(前期は3029億円)となり、利益の過半を稼ぎ出した。

ただ、その大半は未実現の評価益(含み益)であり、2000年代初期に起こったインターネットバブルの崩壊と同じようなことが起きれば、逆回転しかねない。

利払いなど6000億円を超える財務費用が重くのしかかる中で、4兆円超の負債を抱えるスプリントの連結外しに失敗すれば、信用力にネガティブな影響が出るのは必至だ。

野村証券・アナリストの増野大作氏は、8日付のリポートで「ソフトバンクグループのスプリントに対する回収可能額は連結簿価とほぼ同じ水準にとなり、今後の米国携帯電話市場の動向やスプリントの収益状況に従来以上に注意を払う必要がある」と警鐘を鳴らしている。

志田義寧 編集:田巻一彦

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below