July 3, 2018 / 1:50 AM / 14 days ago

アングル:導入から半年のMiFID2、「透明化」効果に賛否

[ロンドン 29日 ロイター] - 欧州連合(EU)が今年初めに新たな金融資本市場の包括的規制である「第2次金融商品市場指令(MiFID2)」を導入してから、半年が経過したが、その目的である株式取引の透明性向上が成功したかどうかについては投資家の賛否がなお分かれている。

 6月29日、欧州連合(EU)が今年初めに新たな金融資本市場の包括的規制る「第2次金融商品市場指令(MiFID2)」を導入してから、半年が経過したが、株式取引の透明性が向上したかについては投資家の賛否が分かれている。写真はフランクフルトの証券取引所で4月撮影(2018年 ロイター/Ralph Orlowski)

MiFID2は、より規制が行き届いている取引所における売買を増やし、価格と参加者を誰の目にも見えるようにすることを目指して打ち出されたものだ。そうした面から最大の眼目だった「リットプール(気配値など取引関連情報などが公表されている市場)」の取引シェアの拡大はほとんど達成できていない。

ローゼンブラット・セキュリティーズの集計データでは、リットプールの欧州の株式取引シェアは年初来で50.85%、昨年は50.28%だった。

ただ欧州証券市場監督機構(ESMA)がMiFID2を採用するに際してもう1つの狙いだった価格変動の縮小化は、リットプールにおいて確認できる。取引関連情報が公表されない私設取引システムの「ダークプール」の出来高も著しく落ち込んでいる。

EUは今年3月に初めて、900を超える有力銘柄を対象にダークプールでの取引制限を設けた。

この取引制限は9月で終了するが、その後もしダークプールの出来高が再び膨らむようなら、また制限が復活するだろう。

もっともダークプール取引制限には異論も聞かれる。ダークプール運営会社リクイデントの欧州中東アフリカ地域市場構造・戦略責任者レベッカ・ヒーリー氏は「リットプールの取引が善、ダークプールが悪と単純化し過ぎるリスクがある。実際には注文内容や最終投資家に価値を提供するために何か必要か次第で事態は変わってくる」と話す。

多くの参加者が主張するのは、大口取引を執行する場合に価格の不安定化を避ける上では透明性の低いやり方の方が有効だという考え方だ。

<ピリオディックオークション>

ダークプールの出来高が減ったとしても、リットプールの取引量が上向いていないという問題は残る。目減りした分はどこに消えたのだろうか。

その一部は取引所における板寄せ(ピリオディックオークション)に回っているという証拠が存在する。ダークプール取引制限が始まった3月以降、板寄せの出来高が3倍になったからだ。

しかし板寄せは売買気配を公表しないという点ではダークプールと似ている。

ESMAのマイヨール長官は最近、ピリオディックオークションはが規制当局者の注目を集めていると表明した。一方取引所側はピリオディックオークションについて大口投資家が株価の乱高下に見舞われないような手段を提供しているだけだと説明している。

CBOEヨーロッパ社長とBATSヨーロッパの最高経営責任者(CEO)を務めるマーク・ヘムスリー氏は「最も大事なのは、顧客がピリオディックオークションを大変好んでいることにある。同オークションで注文を執行すると市場全般の価格に及ぼす影響が非常に小さいとを顧客は分かっている」と述べた。

ヘムズリー氏によると、CBOEのピリオディックオークションの出来高は現在10億ドルを突破し、予想を超える勢いだという。

それでもロイター・マーケット・シェア・リポーターに基づくと、ピリオディックオークションは、欧州の出来高全体の1%を占めるにすぎない。

<シェア拡大するSI>

より大きな取引シェアを獲得しつつあるのは、銀行が運営するシステマティック・インターナライザー(SI=組織的内部執行業者)で、欧州の出来高の25%に達している。

MiFID2は、銀行が運営してきた非公開の取引ネットワークの存続を認めず、これらのサービスをSIとして再登録することを義務付けた。

SIは自己勘定の注文執行だけが可能で、ある程度の規模までの取引価格情報公表を求められている。ところが完全に取引が透明化されているわけではない。

ナスダック・ノルディックスのローリ・ローゼンダール氏は「欧州の現物株取引の約3割は銀行のバランスシート見合いの相対取引で、これらは外部から見えず、選別的だ。リットプールの現物株取引が増加し、それはMiFID2のおかげだと規制当局が自慢するつもりなら、まったく珍妙でばかげている」と話す。

UBSの取引所アナリスト、マイケル・ワーナー氏は、SIの出来高が高水準なのは双方の取引従事者が重複して算定しているからかもしれず、個人的にはデータを信頼していないとの見方を示した。

MiFID2は、SIに対して取引のコストを含めた詳しいデータの報告を求めており6月30日が期限だったため、今後実態が明らかになる可能性がある。

(Helen Reid記者)

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