May 21, 2018 / 4:15 AM / a month ago

円安と日本株高が進行:識者はこうみる

[東京 21日 ロイター] - 東京市場では21日、ドルが一時111.37円をつけて、1月18日以来4カ月ぶり高値を更新した。円安や米中貿易戦争懸念の後退を好感して、日経平均株価も節目の2万3000円を突破し、取引時間中としては2月2日以来、3カ月半ぶりの高値水準を付けた。

 5月21日、朝方110円後半で推移していたドルは、仲値にかけて111円台に乗せた。写真は円レートを示すディスプレイをみる金融機関の外為担当者。都内で2016年2月撮影(2018年 ロイター/Yuya Shino)

市場関係者のコメントは以下の通り。

<FXプライムbyGMO 常務取締役 上田真理人氏>

堅調なドルの背景は、米長期金利がじわじわと上昇する中で、株価が大きく値崩れしていないことがある。今後は6月の米利上げを見極めながら、株価の反応を注視していくことになるだろう。

米国と北朝鮮については、首脳会談に向けて前哨戦のような様相を呈しているが、こうしたつばぜり合いは、外為市場で織り込み済みであり、リスク回避の円買いにつながるようなことはない。むしろ、米朝首脳会談が終わって、結果が出せないというリスクを警戒すべきだろう。国家体制(レジーム)が絡む問題なだけに、双方が納得するような答えに「短期的に」たどり着けるとは思わない。

米中通商摩擦については、パンチの応酬の一方で、妥協案を模索しながら、現実的な路線に落ち着くとみている。

なぜなら、グローバルな経済に悪影響を及ぼすような米国の保護主義は、米企業にとっても全くメリットがないためだ。トランプ大統領も米企業の懸念を逆なでするようなことはしないだろう。

ドル/円相場については、111円台では実需の売りが出てくると予想されるが、ドル高のモメンタムがあるうちは、実需の売りはさして重しにならずに市場で吸収されるだろう。111円台をしっかり踏みしめることができれば、1月につけた年初来高値113.40円が意識されるだろう。

<みずほ証券 チーフ為替ストラテジスト 山本雅文氏>

先週ワシントンで開催された米中通商協議は、報復関税をかけ合い世界経済が縮小に向かう事態を、対話を通じて回避する姿勢を両国が再確認したかたちとなった。

加えてムニューシン米財務長官は「貿易戦争を当面留保する」と述べ、劉・中国副首相も「今回の協議の最大の成果は双方が貿易戦争をせず、お互いに追加関税をかけ合うことはしないとの認識で一致したことだ」とした。

以上の流れに鑑みて、少なくとも次回米国が中国に代表団を送って再協議し終わるまでは米中貿易戦争懸念からくる円高圧力は後退するとみている。

こうした中、本日が期限となっている米財務省による中国の対米投資制限策の提案は、実際に本日行われたとしても、市場の注目度は低下するだろう。

通商問題について、トランプ政権は、こぶしを振り上げて10の成果を目指すスタンスを当初は見せるものの、実際は5を得ることを目標としているという印象だ。

ドル/円相場と米10年金利については、米国の好況の継続や原油高で押し上げられる米期待インフレを背景とする利上げペースの加速期待により、さらなる上値余地があるとみている。

さらに、実質金利がプラス圏に入る利上げ局面の後期については、短期金利の上昇が、ドルの支援材料となるだろう。

一方、ユーロは、景況感の鈍化、インフレ率の低下、反EU・反財政緊縮姿勢のイタリア連立政権の実現可能性の高まりなど、ファンダメンタルズの弱さや政治面の不透明性を背景に下落基調に入っているとみている。

また、ユーロの投機的ロングがいずれかの時点で大きく削減され、ユーロ安に拍車をかける余地もあるだろう。

<SMBC日興証券 為替外債ストラテジスト 野地慎氏>

前週末18日の米国債市場では、足元のベア・スティープニングの巻き戻しが入った格好で、米10年国債利回りは5.5ベーシスポイント低下し、一時111円台に乗せていたドル/円も110.70円台まで下落して終盤を迎えた。

ドル/円は、日米10年国債利回り格差との連動性が高まっていたが、米10年国債利回りの大幅低下への感応度がやや鈍り、ドルがそれほど対円で下がらなかったのは、欧州通貨の下落によるドル高の影響を受けたものと考えられる。

非商業部門ユーロ先物ネットロングポジションは5月15日に11万5114枚と、今後のユーロ/ドルの下落や、それをよりどころとしたドル指数の上昇の余地はまだまだ残存している格好といえる。

この間、ユーロ/ドルの下落と新興国株の下げがシンクロしている点は気になる。

本来は、新興国株安がドル高を招くという因果関係なのだが、投機マネーがばっこするマーケットでは、因果関係の順序はあまり気にされず、つまり、ドル高が進めば新興国株が大きく下げる可能性が高い。

インドネシアルピアやブラジルレアルは通貨防衛策も実らず、「暴落前夜」の様相だが、ドル/円市場参加者においてはドル高イコール円安と、安易に考えない方がいいように思われる。リスク資産市場のインプライド・ボラティリティーはかなり高まってきている。

<岡三証券 日本株式戦略グループ長 小川佳紀氏>

短期的には戻り売りも出やすい。日経平均は2万2100円から2万3000円まで戻したような上昇ペースが続くとは見込めない。秋口に2万5000円に向かう大きな流れは続くとみているが、目先でいえば上昇ピッチは緩むだろう。

海外投資家による買い戻しで足元の水準まで上昇したが、2兆円を超える海外勢の4月以降の買い越し額の9割が先物だ。先物の買い戻しだけで一段と上昇するのは厳しい。また米朝首脳会談が予定されている週にはFOMC(米連邦公開市場委員会)などイベントが重なる。相場の方向性が変わるポイントになりそうだ。

米中通商協議は解決にはまだ時間がかかるだろう。残された問題が多いのも事実だ。しかし(ムニューシン米財務長官が米中貿易戦争をいったん「保留」にすると述べたという)報道に対しての市場の受け止め方は、「やはりそうだったか」というもの。水面下での交渉を通じ、落としどころを探るような方向で事が進んでいる印象だ。事前にそうなるだろうといわれていたことが、確認されたようなイメージだ。

日経平均の予想PER(株価収益率)は14倍近辺にある。日経平均の1株利益は企業の決算発表が始まる前は1700円程度だったが、足元では1640円程度。米減税策による利益の押し上げ効果の剥落と、今期の1桁台の増益率を考慮し、1650円くらいで落ち着くとみていたが、今の水準は想定の範囲内でもある。PERも見た目ほどは高くはないだろう。4─6月期や中間期決算で今の業績見通しが切り上がっていくことを前提にすれば、バリュエーション面での押し上げは十分期待できる。

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 投資情報部長 藤戸則弘氏>

海外勢の買い戻しがリバウンドの原動力だが、先物がほとんどであり、現物は乏しい。CTA(商品投資顧問業者)などヘッジファンドによるショートカバーが中心とみられ、年金などロング・オンリーの動きは鈍いようだ。今年2月から3月にかけての円買い/日本株売りが巻き戻されてしまえば、株価の反発も終わってしまう可能性が大きい。

株反発の背景となったのは、北朝鮮をめぐる緊張感の緩和だ。しかし、それもほぼ相場に織り込まれてしまった。6月12日に予定されている米朝首脳会談で、非核化の合意がなされたとしても、市場の関心はその実効性に移るだろう。失望感が広がれば、海外短期筋は、売り姿勢に転換する恐れもある。

海外株に比べて、日本株にはまだ割安感が残っており、下値は叩きにくい。ただ、1─3月期実質国内総生産(GDP)は9四半期ぶりのマイナス。企業業績も2019年3月期経常利益は微増の見通しだ。上値を買っていく材料も乏しい。原油高もこれ以上進めば、エネルギーコスト増が企業収益に重くのしかかる。

日経平均は3月26日をボトムとしたリバウンド軌道に乗っているが、2万3000円を回復し、「八合目」付近まで来たとみている。ここからの戻りはまだあるかもしれないが、イベントが集中する6月半ば以降、下落トレンドに転換する可能性も視野に入れておく必要があるだろう。

*情報を更新しました。

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