December 20, 2018 / 12:49 PM / 6 months ago

コラム:19年は乱世か平時か、株価次第で危機モードの政策対応も

[東京 20日 ロイター] - 2019年の日本経済とマクロ政策運営は、「平時」と呼べる局面で推移するのか、「乱世」と表現するような荒れた展開になるのかによって、大きく変化すると予測する。

 12月20日、2019年の日本経済とマクロ政策運営は、「平時」と呼べる局面で推移するのか、「乱世」と表現するような荒れた展開になるのかによって、大きく変化すると予測する。9月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

米中対立が早期に収束し、世界的に予想外の株高が到来すれば、日本も消費増税を実施しつつ、日銀は現行政策を粘り強く継続する展開になるだろう。

しかし、米中対立が激化し、日米新通商交渉でも日本が大幅な譲歩を迫られる展開になった場合、予想を超える世界経済の失速や株価下落などを招き、日本の財政金融政策も「危機対応」を強いられるリスクが高まる。分かれ道の先にあるのは「明」なのか、「暗」なのか。両極端に振れる展開を予想する。

<楽観シナリオなら、株価大幅上昇も>

10月以降の米株下落に端を発したグローバル市場の変動幅拡大の背景にあるのは、米中貿易摩擦と初めは呼ばれた両国の対立激化だ。今では、多くの市場関係者が、両国対立の背景に「覇権争い」があると認識。緊張関係は、長期化するのではないかとの見方が多くなっている。

ただ、市場の一部では「貿易摩擦の激化を演出し、米国が25%の関税引き上げを実施して株価が下落したら、米中ともにマイナス。2月末までに必ず、妥協するはず」(国内大手銀関係者)との予想も少なくない。

例年、12月に入れば、来年の見通しはかなり収れんされることが多いが、今年は明確なメインシナリオが見当たらない。

そこで、世界の株価が上がる「Aシナリオ」と、大きく下げる「Bシナリオ」を考えてみた。

Aシナリオでは、米中の貿易摩擦は来年2月末までに妥協が成立。米国は25%の関税引き上げを実施しないと宣言する。世界の市場関係者は、予想外の早期妥結を好感し、米株はじめ世界中の株価が急騰。

米中対立による貿易量の減少を見込んでいたポジションは巻き戻され、原油価格も反転上昇し、米長期金利も再び、3%を超えて上昇する。

日本でも、日経平均.N225が2万5000円を目指して上昇し、長期金利JP10YTN=JBTCも0.1%方向へと上昇。市場にリスクオンムードが復活する。

懸念されていた日米新通商交渉も、余裕の出た米政権が、日本の参院選後に交渉決着を先延ばしし、懸念されていた7月の参院選も、与党優位で投票日を迎えるという展開だ。

<米中激突シナリオ、日本経済にも打撃>

一方、Bシナリオでは、米中対立が2月末に決着せず、3月から米国が中国からの輸入品に対する関税を10%から25%に引き上げ、失望した市場は、世界的な株安を招く。明確な実績を残したいトランプ政権は、日米新通商交渉で日本からの自動車輸出の大幅削減を要求。この要求を見て、日経平均はさらに下落し、個人の消費マインドも冷え込む。

米国の関税引き上げは、中国に対する海外からの直接投資を冷え込ませ、中国経済の減速も顕在化。世界的な株安に拍車がかかり、日経平均の下げ幅も拡大する。

政府・日銀は、危機モードのマクロ政策運営に移行し、安倍晋三首相は、消費増税の実施延期を宣言する──。

米中両国の対応次第では、両方のシナリオがありうると考える。ただ、政策当局者は、楽観的な見通しがメインシナリオであるとの見方を維持している。

日銀の黒田東彦総裁は20日の会見で、米中貿易摩擦の影響で投資家のリスク回避姿勢が強まり、若干、市場は振れの大きな展開になっていると指摘したが、国際通貨基金(IMF)の見通しなどをみると、来年のメインシナリオは3%台後半の成長が見込めるとの見解を示した。

やはり、問題になるのは、Bシナリオで日経平均が2万円を大きく下回り、1万7000─8000円程度まで下落した場合だ。

そのケースでは、企業の投資マインドと個人の消費マインドはともに冷え込み、マクロ的なカンフル剤を注入する必要性に迫られている公算が大きい。不幸にしてそのシナリオが現実味を増した場合、政府は消費増税を延期するだろう。

さて、日銀はどうするのだろうか。黒田総裁はこの日の会見で、選択肢はたくさんあると述べた。

このようにみてくると、やはり分岐点の大きな道しるべは、米中交渉の結果ということになるだろう。おとそ気分の1月を通過し、2月に入るといきなり「正念場」を向かえそうだ。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below