[ロンドン 7日 ロイター] - 世界の株式市場は今月に入り、新型コロナウイルスワクチンの実用化を好感して幾度か過去最高値を更新した。しかし一部では複数の「売りシグナル」が点灯しており、最高値更新の動きは間もなく一服する可能性が高まっている。
EPFRのデータによると、この4週間で株式ファンドに流入した額は1150億ドルと過去最高に達し、米S&P総合500種株価指数は1カ月で13%上昇して最高値を更新した。欧州のSTOXX600はこの間15%上昇した。
シティバンクのEMEA(欧州・中東・アフリカ)株式取引ストラテジー責任者、ジミー・コンウェイ氏は「市場心理は依然として浮かれており、ある程度行き過ぎているのは間違いない」と言う。
複数の銀行が、投資家のポジションが「過度に」強気に傾いていると指摘している。ただ、小幅な調整が起こった後、2021年はワクチン普及に支えられて景気が回復し、株式のリターンは2桁台に達すると予想している。
ゴールドマン・サックスは顧客に対し、米国で新型コロナの感染状況が悪化していると指摘し、「短期的には株価が小幅に調整するリスクが高まった」との見方を示した。
ただ調整が終われば、投資家はキャッシュから株式への資金移動を続けると予想している。
投資家の株式ポジションを示すチャートを5つ紹介する。
(1)強気心理の台頭
米個人投資家協会(AAII)が行った最新調査によると、米個人投資家の強気心理は約3年ぶりの高さで推移している。強気心理の台頭は典型的な逆張りシグナルだ。
(2)コールが急増、プットが減少
シカゴ・オプション取引所(CBOE)のプット/コール比率は、20年前の「ドットコム・バブル」崩壊直前以来の低水準となっている。
(3)RSIは「買われ過ぎ」
S&P500種とSTOXX600は、テクニカル指標で見ても買われ過ぎの領域に入っている。強気と弱気のモメンタムを0から100までの数字で示す「相対力指数(RSI)」は70近辺で、利益確定の売りが出やすい状態。
日経平均のRSIは11月に買われ過ぎの領域に入り、その後株価はやや反落した。
(4)ブルベア指数
バンク・オブ・アメリカ(BofA)は先週、市場心理の指標として注目度の高い「ブルベア指数」が4.7から5.8に急上昇し、「極端な強気」水準に急接近していると発表した。同指数は0だと極端に弱気で「買い」のシグナルとなり、10だと極端に強気で「売り」のシグナルとなる。
(5)心配無用
S&P500種は3月半ばの底値から約65%持ち直した。これは2007―08年の世界金融危機で底値を付けた後の8カ月間の上昇率に匹敵する。強気派は、上昇局面はその後も20年まで延々と続いたと指摘し、つまり現在の株価高騰は心配無用を意味すると言うだろう。
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