February 22, 2018 / 11:05 PM / 7 months ago

コラム:株式リターン、ボラティリティとは「無関係」

[ロンドン 21日 ロイター] - 最近の株式市場におけるボラティリティの急上昇ぶりは、一部の指標に基づくと過去最大級の規模とされる。しかし数カ月より長い期間の投資家のリターンへの影響はないだろう。文字通りゼロだ。

 2月21日、最近の株式市場におけるボラティリティの急上昇ぶりは、一部の指標に基づくと過去最大級の規模とされる。しかし数カ月より長い期間の投資家のリターンへの影響はないだろう。文字通りゼロだ。1月8日、ニューヨーク証券取引所で撮影(2018年 ロイター/Brendan McDermid)

クレディ・スイスが1900年以降の世界の投資情勢を分析して毎年まとめている報告書「グローバル・インベストメント・リターン・アウトルック」では、そうした結論が下されている。

同行の助言に従うなら、投資家はじっと動かず足元の大嵐をやり過ごし、株価の上昇基調が回復するのを待つのが望ましい。

実際今月に入って世界の株式市場から4兆ドル相当の価値を奪い去った大嵐は既に収まりつつある。報告書によると、今月跳ね上がったVIX(恐怖指数)がすう勢レベルに戻るまでにかかったのはわずか7営業日だった。1986年以降に危機によってVIXが急上昇した13のケースはすべてすう勢レベルに戻ったが平均92営業日を要しており、今回は最短だった。

VIXのすう勢レベルとなる長期平均は20%。これまで数カ月は10%未満という記録的低水準で推移し、報告書は2017年のVIXの動きは過去5番目の落ち着きだったと指摘した。

ところが今月5日にVIXは1日として最大の上昇を示し、一時は2008年の金融危機以降で2回しか見られなかった50%超に達した。世界の株価は10%下がり、突如として金融危機後の「適温経済」下における非常に堅調な相場や超低ボラティリティ局面が終わりつつあるかのように見受けられた。しかしクレディ・スイスの報告書が示す過去の例からすると、事実は異なるらしい。

ボラティリティ急上昇は、1カ月か2カ月、そして多分3カ月後までなら先行きの相場を占う上でそれなりの手掛かりになるが、もっと長い期間ではまったく予想の役に立たない。

報告書の著者の1人であるポール・マーシュ氏は「ボラティリティは株式にリスクがあると思い出させてくれる存在だが、ボラティリティの動きを深読みするべきではない」とくぎを刺す。

報告書は、来年の株式投資リターンと先週のVIXの推移が無関係であることを、回帰分析を使って証明している。回帰分析では決定係数「R2」が1であれば相関度100%、0なら0%となり、マーシュ氏が計算した両者のR2は0.000と確かにまったく相関性がなかった。

1986年以後を見ると、VIXが前週のレベルからの最低上昇率が20%だったのは197回、30%は87回、40%は46回、50%は22回あった。その後1年間の投資リターンはそれぞれ12.6%、10.8%、10.2%、12.5%だったという。

マーシュ氏は、ボラティリティが突然跳ね上がると投資家は直感的に損失カバーを急ごうとするが、実はリターンに影響しないのだという点を肝に銘じておく必要があるかもしれないと提言している。

まさに今月は投資家が慌てて動く事態が見られ、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのデータでは7日までの週に世界の株式ファンドからは週間ベースで過去最大規模の306億ドルが流出した。

長期投資をするなら、株式は債券や現金より高いリターンを提供してくれる。ただし絶対的なリターンが今後高まることは意味しない。低金利がリターンを圧迫するというのが現実だろう。

クレディ・スイスの報告書によると、1900年以降は調査対象の22カ国すべてで株式のリターンが債券と現金をずっと上回ってきた。世界全体の株式投資リターンは年5.2%で、債券は約2%、現金は0.9%だ。

一方、1900年以降の株式のリスクプレミアム(株式投資リターンと現金のリターンの差)は平均でおよそ4.3%だったが、今後20年は3.5%程度まで縮小する見通し。「実質金利が低い局面では、期待収益率も低調になる」という。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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