April 13, 2018 / 9:29 AM / 7 days ago

焦点:高水準の投資続く小売業界、デジタル化や人手不足など対応急務

[東京 13日 ロイター] - 小売り企業がEC(電子商取引)対応や店舗刷新などに高水準の投資を展開している。アマゾン(AMZN.O)に代表されるECの急拡大は消費の世界を大きく変えているほか、人手不足や少子高齢化などの環境変化への対応も急務だ。堅調だった消費も、2019年10月の消費増税や東京オリンピック後の不況など先行きの失速懸念が拭えない。積極投資の効果をここ数年で最大化する必要があり、各社は時間との競争を続けている。

 4月13日、小売り企業がEC(電子商取引)対応や店舗刷新などに高水準の投資を展開している。写真は都内の百貨店で2016年9月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

<EC対応、模索中>

J.フロント リテイリング (3086.T)の山本良一社長は「経営を取り巻く環境は、すさまじいスピードで変化の途上にある。まさに、時代の大転換期だ。リスクへの対応力いかんで企業間格差が生じる」と指摘。リスクマネージメント委員会で138項目のリスクを抽出、そのうち重視する6項目を経営方針に組み入れ、実行計画を進めることとした。

6項目は、1)19年10月の消費増税や東京オリンピック後の不況の発生懸念、2)顧客の変化・少子高齢化・人生100年時代、3)テクノロジーの進化、4)所得の2極化・消費の2極化、5)CSR(企業の社会的責任)の重要性アップ、6)シェアリングエコノミーの進展。これらは、個社の問題ではなく、小売り業界が直面する共通の課題といえる。

イオン (8267.T)は11日、米ベンチャー「Boxed」への出資を発表した。岡田元也社長は「テクノロジーや技術を持つ企業への出資、参画、共同作業など、これからさらに進めていく。イオンの現在の状況を変えていかなければいけない」と述べ、あらためて、デジタル化への取り組み強化の姿勢を明確にした。

営業収益に占めるEC比率を21年2月期には12%(16年2月期は0.7%)に引き上げる目標を掲げており、3年間でIT・物流に5000億円の投資を行う計画だ。初年度となる19年2月期は、5070億円の投資のうち、ECなどのインフラ投資に1107億円を振り向ける。

ただ、現時点では「ECは試行錯誤しているのが正直なところ。トライアルしているが、百貨店のECビジネス拡大はたやすいことではない。でも、ECを無視するわけにはいかない」(山本社長)という小売り業も多い。同社も外部の人材を入れて、ECビジネスのあり方の議論を進めている段階。イオンの岡田社長も「始まったばかり。何が肝心かは分かっているつもりだが」と話すように、ECビジネスのしっかりとした絵を描くには至っていない。

<コンビニ、客数増や人手不足対策に投資>

日本の小売業界では成長分野だったコンビニエンスストアも転換を迫られている。

セブン&アイ・ホールディングス (3382.T)の井阪隆一社長が「一番頭が痛かった」と話したのは、コンビニの客数減だ。セブン―イレブン・ジャパンの18年2月期の既存店客数は0.9%減で07年2月期以来の減少となった。

日本フランチャイズチェーン協会によると、コンビニの既存店客数は今年2月で2年間減少を続けている。入れ立てコーヒー以降、新たなヒット商品や集客の目玉は生まれていない。すでに「市場は完全に飽和している」(沢田貴司ファミリーマート社長)状況にあり、食品を強化しているドラッグストアなどの異業種を含めて顧客の奪い合いになっている。人手不足も深刻化しており、店舗の質を高めると同時に、店舗の効率化も求められている。

沢田社長は「既存の加盟店が競争力ある店になるような投資が一番大事」と述べ、新規出店よりも既存店投資にシフトする姿勢を示した。ユニー・ファミリーマートホールディングス (8028.T)は19年2月期に前期比12%増の1400億円の投資を計画している。コンビニでは、340店舗のスクラップ&ビルドに185億円、店舗改装や施設改善に180億円などを投じる。また、新型の引出し棚などの導入で店舗での作業負担軽減につなげる。

ローソン (2651.T)も、19年2月期を「20年2月期からの増益基調の基盤を整える年」(竹増貞信社長)と位置付け、減益予想を厭わず投資を増やしている。前年に15%増となった投資額は、19年2月期も4.2%増の910億円と高水準を維持する。シニアや外国人が働きやすくなる自動釣銭機付POSレジの全店導入や3000店舗への食洗機設置などを進めるほか、スマホ決済などの実験も進める。

7&iHDの19年2月期の設備投資は前期比2.2倍の7784億円を計画している。米スノコの店舗買収費を含む海外コンビニ事業が同5倍の4800億円に膨らむほか、国内コンビニも19%増の1675億円を見込む。井阪社長は「スノコを除いても、設備投資額の約70%を内外コンビニ事業に充てる」とした。前期1300店舗となった新レイアウト店舗では、売上げが1万5000円増加(1日あたり)したという。今期1700店舗の新レイアウト店舗の導入も含めて、引き続きコンビニへの投資を進める方針だ。

    清水律子

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