September 19, 2014 / 9:48 AM / 5 years ago

緊急市場調査:ドル112円・日経平均1万8500円の声も

[東京 19日 ロイター] - 円安・株高が急ピッチで進み、年末までにドルは111─112円、日経平均は1万7500─1万8500円まで上昇するとの予想が広がっている。

 9月19日、緊急市場調査によると、ドル112円・日経平均1万8500円の声が聞かれた。写真は6年ぶりの円安水準を示すボード、19日に撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai)

ただ、海外短期筋が利益確定の反対売買を展開するのをきっかけに、調整色が濃くなるとの懸念も出ている。市場の注目は、米経済の回復度合いと米金利上昇の行方、国内経済の足取りに集まりそうだ。

識者の見方は以下の通り。

●急速な株高、流動性相場継続期待で投機的

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニア投資ストラテジスト 折見世記氏>

  米連邦公開市場委員会(FOMC)後に日本株は上昇ピッチが加速しているが、ドル建ての日経平均はほぼ横ばいで推移し、昨年末の高値を抜けていない。これは最近鈍かった日経平均の為替感応度が突如上がったということを意味している。買いの主体はヘッジファンドを中心とする投機筋と考えざるを得ない。

  FOMC後の声明では、資産買い入れ終了後も「相当な期間」、事実上のゼロ金利を維持する方針があらためて示された。一方、欧州中央銀行(ECB)は前日、長期資金供給オペ(TLTRO)による流動性供給を実施した。市場にはグローバルな流動性相場継続への期待が高まり、一部には実現の可能性が低いにも関わらず、ECB版の量的緩和(QE)策まで期待する見方が出ているようだ。スコットランド住民投票は独立回避の見通しとなり、リスクオンのムードが高まる条件がそろったといえる。

だが、ここまでの株高のプロセスは危うい。いいとこ取りの集大成ともいえる相場だ。TLTROは応札が少なく供給量は予想を下回っている。10月に米国のQE3が終了し、グローバル流動性が拡大しないとの認識が広がれば、株式市場にはリスク要因になる。為替相場にも達成感が出て、10月はいったん株価調整がありそうだ。現状、世界で景気モメンタムが強いのは米国ぐらいだろう。欧州、日本、中国はむしろ下向きだ。ミューチュアルファンドなど海外実需勢で日本株を積極的に買う動きはまだ出ていない。景気改善の前提で日経平均は年末1万7500円と予想している。

 ●日経平均は10月FOMC前に調整、年末は1万8000円台も

<エース経済研究所社長 子幡健二氏>

これまでQE1(量的緩和第1弾)、QE2の終了時にはダウが下がっている。こうした意識から、米国市場では10月中旬ごろにQE3の終了をにらんだ利益確定売りの動きが出る可能性があり、米金融市場の影響で日本株はいったん調整局面に入るだろう。

  その後は10月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、ゼロ金利政策をめぐり「相当な期間」というフォワードガイダンスの文言が外れ、米金利が上昇しドル高が進むとみている。米株以上に日本株が上昇する可能性がある。

  一方、国内では企業の中間期決算の時期に差し掛かる。円安効果で企業業績予想の相次ぐ上方修正が期待できる。年末にドルが112─115円で推移しているという前提でいけば、日経平均は1万7500円─1万8500円のレンジとなるとみている。

●ドル年末112円、日米金利差と貿易赤字拡大で円安

<野村証券 チーフ為替ストラテジスト 池田雄之輔氏>

  ドル/円は、110円から上では、投機筋がけん引する相場にはなりにくく、上昇速度も緩やかになりそうだ。ただ、日米金利差と日本の貿易赤字の拡大を背景にドル高基調は継続し、年末までには112円に達すると見る。

  米ジャクソンホールのシンポジウムや米連邦公開市場委員会(FOMC)、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の新基本ポートフォリオといった、明確なドル高/円安のイベントは、間もなく出尽くす。いったんは利益確定の動きが出やすくなるだろう。

  ただ、米金利の上昇余地は十分ある。FOMCメンバーのうち、ややハト派よりのFFレート見通しの水準でみても16年末に2.00─2.25%としている。FF金利先物は1.8%にとどまっており、米金利がさや寄せしていくだけで、2円程度の円安余地がある。さらに今後は、利上げのタイミングが近づくだけで金利は上昇していく。金利差拡大による円安圧力も期待できる。月間1兆円を越える日本の貿易赤字も基調的な円売り圧力として継続する。

  リスク要因をあえて挙げれば、米景気の回復が遅れるシナリオがある。仮にこれまでの回復基調が年初の悪天候による景気減速からの単なる反動増だった場合だ。この場合、利上げをしても小幅にとどまったり、利上げのタイミングが16年以降に後ずれする可能性があり、円安が進まなくなる。中国の成長率が3%程度へと、極端に失速するシナリオもゼロではない。コモディティ価格が下落し、日本の貿易赤字を歪んだ形で縮小させかねない。米国は利上げどころではなくなって投機マネーが巻き戻しに動き、ドルは95─100円程度まで下落しかねない。ただ、中国政府は成長の維持を死守しようと政策対応するだろうから、確率としては低いと見ていいだろう。

●ドル高基調継続、短期では110円で頭打ち感も

<メリルリンチ日本証券 チーフFXストラテジスト 山田修輔氏>

  為替市場では基本的にドル高基調が続くとみている。低水準にある米長期金利が年末にかけて上昇し、ドルの支援要因になる。ただ、ここまで為替の方が先走る形で上がってきたので、米金利に比べて上昇余地は少ない。

ドル高/円安が進めばマクロ的に米金利への上昇圧力が低下するほか、日銀に対する追加緩和のプレッシャーも小さくなる。短期的に110円を超えて加速していくかというとそうでもなさそうだ。年末までのレンジは106─111円としたい。

昨年の秋から今年の年末の水準は108円とみている。足元では109円半ばまで上昇しており、108円より上で終わる可能性はあるが、シナリオを大幅に覆すには至っていない。

●ドル買い継続、FRBの利上げスタンス浸透

<あおぞら銀行 為替マーケットメイク課課長 諸我晃氏>

  ドル/円は、米景気の回復がメーンシナリオになる。米連邦準備理事会(FRB)の利上げスタンスが徐々に浸透していくなかで、ドル買いが継続するだろうし、日本の貿易赤字や消費税再増税、日銀追加緩和への思惑などが円安方向に働くだろう。ドル/円にとって、上昇材料がかなり多くなりそうだ。

とりわけ、利上げ開始のタイミングや出口戦略の詳細が明らかになっていく12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)が重要になる。それまでは、米経済指標をにらみながらの相場展開となる。

目先では、ドルはリーマン・ショック前の高値110.66円が節目になる。米長期金利は、上昇しても2.8%程度だろう。緩やかな金利上昇となれば、株価も上昇してリスクオンのドル買いとなる。112円程度への上昇を試す可能性もある。ただ、金利や株価に比べ、為替が先行している面があるほか、110円を超えれば、政府・日銀からもさすがに円安を抑える方向の発言が出てくると想定され、上昇ペースはダウンするだろう。高値を付けた後、上昇力が衰えるようなら利食いの売りが優勢になりやすくなってくる。

  下落した場合、8月までの年初来高値105.50円付近が、07年6月の高値124円と11年10月の75円の61.8%戻しでもあるので、かなり堅いサポートになるだろう。リスクオフ要因としては、ウクライナや中東の地政学リスクがある。足元では兆候が見られないとはいえ、米株価が崩れる事態もありえなくはない。ドルの調達コストが上昇していることも気がかりだ。9月末や12月末にドルファンディングへの不安が出るほどひっ迫すれば、波乱要因になるかもしれない。

●年末までの長期金利予想レンジ0.5─0.8%

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

  英国からの独立の是非を問うスコットランド住民投票は独立反対で決まりのようだが、10日の段階で、ポンド売りは終わっているので、投票前の段階で、ある程度答えは出ていた。それを再確認したという感じだ。

  年末まで円安・株高が持続しそうだ。つまり、株安にならない限り、円安は続くと思う。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)改革への期待感や、米経済が急激に悪くならない見通しにあることなどが影響しそうだ。となれば、円債を取り巻く環境は芳しくないのではないか。

  一方、円安・株高に対する円債の感応度は高くはない。これは、日銀の「量的・質的金融緩和(QQE)」が需給を支えているためだ。金利上昇には限度がある。

  金利の低下余地に関しても、直近で試した10年最長期国債利回り(長期金利)の0.5%割れの滞空時間が非常に短かったことを考慮に入れると、物理的に限界がある。長期金利の年末までの予想レンジは0.5─0.8%とみている。

●米金利上昇圧力と需給タイト化の綱引き継続

<みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト 上野泰也氏>

  米長期金利の上昇と国債需給のタイト化の綱引きが継続。10年最長期国債利回り(長期金利)は年末にかけて0.5─0.7%のレンジを予想している。

  日本国債(JGB)市場は、日銀が進める大規模な国債買入に加えて、過去最高規模に上る銀行の預貸ギャップによって、需給相場の色彩が濃いため、基本的に金利が上がりにくい構造だ。

  一方で、外部環境が大きく動いてきたことも事実。米国では、10月にも量的緩和縮小(テーパリング)が終了。その後は利上げをにらみながら、米金利に上昇圧力が強まるとみている。特に、米国の10年や30年といった長期・超長期ゾーンの金利水準は、ファンダメンタルズから判断しても低すぎるため、短期筋のポジション調整とともに水準訂正が起きても不思議ではない。JGBにとってもベアスティープ化の要因だ。

  国内の注目材料は、消費再増税の政府判断。再増税延期の判断が下された場合、債券相場が揺れ動く可能性がある。長期金利は0.7%にワンタッチする場面があるかもしれない。しかし、今のJGB市場は、財政警告シグナル機能が失われているため、増税延期を手掛かりに売る参加者がいても、一時的でかつ限定的だろう。むしろ、金利が上がった局面では押し目買いが殺到しそうだ。

ロイターニュース 金融マーケットチーム

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