[8日 ロイター] - <ロンドン株式市場> 反発して取引を終えた。英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)に際する条件で双方が大筋合意に至ったことが主な材料だった。
合意を受け英国が求める通商協議入りへの道が開けた。メイ英首相に対する差し迫った圧力は和らぎ、秩序ある形でブレグジットが執行されるとの期待が高まった。ポンドは対ドルで上昇した後、利益確定の売りが出る中で値を下げた。ブレグジットの出口戦略を巡る不透明感が依然残っていることもポンドの重しとなった。FT100種は国際的に事業を展開しドルで収益を上げる銘柄が多い。こうした企業はポンドで会計を報告する際にポンド安が追い風となる。
金融株が最も買われた。国際的に営業する銀行を対象とした自己資本規制「バーゼル3」における最終合意が、従来恐れられていたよりも欧州の銀行にとって優しい内容と捉えられた。
不動産開発のバークレーBKGH.Lは6.9%上昇し、FT100種で最も大幅に値上がりした個別銘柄だった。上半期利益が36%増となったことが好感された。
ブレグジットが重しとなってきたほかの住宅建設銘柄も買われた。バラット・デベロップメンツBDEV.Lは3.6%高、パーシモンPSN.Lとテイラー・ウィンペイTW.Lは2.5%と2.9%それぞれ上昇した。
不動産投資信託(REIT)銘柄も値を上げた。同部門もブレグジットが混乱した場合、大きく左右されるとみられている。ハマーソンHMSO.Lは3.6%、ランド・セキュリティーズ・グループLAND.Lは2.2%それぞれ値を上げた。
ロンドン株式市場:[.LJP]
<欧州株式市場> 上昇して取引を終えた。英国と欧州連合(EU)が英国のEU離脱条件を巡って大筋合意したことが好感された。また、国際金融規制「バーゼルIII」における最終合意が、従来予想されていたよりも欧州の銀行にとって優しい内容と捉えられたことで金融株が買われた。
欧州委員会は、英領北アイルランドの離脱後のあり方について夜通しで英国と協議した結果、十分な進展があったことを明らかにした。4日には同案件の協議の末、交渉を次の段階に進めるために必要とする進展がなかったと発表していた。
STOXXユーロ圏銀行株指数.SX7Eは2.33%上昇し、5カ月ぶりの大幅高となった。主要国・地域の金融当局や中央銀行は7日、国際的に営業する銀行を対象とした自己資本規制「バーゼルIII」について最終合意した。2008年の金融危機を受けて議論されてきた規制強化策は、今回の合意で完成することになる。
シティのアナリスト、サイモン・ネリス氏は欧州の銀行の投資判断を「オーバーウェート」に維持、「われわれと市場が恐れていたよりもずっと良い結果のようだ」と述べた。「欧州の銀行にとって大きなプラスだ。過剰資本やM&A予算をそのうち数値化することができるようになる。ベネルクス諸国とフランス、北欧の銀行が今回の規制の恩恵を最も受けるだろう」とした。
今週初めに軟調だったテクノロジー銘柄は買われた。ここ2週間で19%安となっていたスイスの半導体メーカーのAMSAMS.Sは8.4%高だった。
一方、不正会計疑惑が重しとなっている南アフリカの家具製造・販売大手シュタインホフSNHG.DEは20.7%急落。ムーディーズ・インベスターズ・サービスが投資判断を投機的等級(ジャンク級)に引き下げたことが嫌気された。
欧州株式市場:[.FJ]
<ユーロ圏債券> 英国の欧州連合(EU)離脱交渉進展を受け安全資産とされる債券に売りが出て、利回りは上昇した。
メイ英首相とユンケル欧州委員長は、離脱交渉で十分な進展があったとし、今後の通商関係や移行期間に関する協議に入るために必要な主要分野で合意したと明らかにした。
米議会上下両院は前日、一部政府機関閉鎖の回避に向け、22日までのつなぎ予算をそれぞれ可決した。
こうした動きを背景に、世界的にリスク資産を買う動きが広がった。
ドイツ10年債利回りDE10YT=TWEBは1ベーシスポイント(bp)上昇して0.30%。週内につけた3カ月ぶりの低水準(0.29%)をやや上回った。
英国の10年債利回りGB10YT=RRは序盤に7bp急上昇して1.32%を記録。午後までに1.27%まで上げ幅を縮小した。
ユーロ圏内の長期債利回りの大半が1━2bp上昇して取引を終えた。イタリアやスペインなど周辺国IT10YT=TWEBES10YT=TWEBは、高格付け債をアウトパフォームし、2-3bp低下。
11月米雇用統計は、就業者数が底堅く伸びたものの、賃金は予想ほど増えなかった。
みずほのストラテジストは「時間当たり平均賃金が予想を下回ったため、利回りに若干の下押し圧力が掛かった。(賃金動向は)インフレの先行指標で、就業者数よりも重要だ」と指摘した。
まちまちの統計内容を受け、米10年債利回りUS10YT=RRはやや低下したが、その後再び上昇した。
ユーロ圏金融・債券市場:[DE/BJ]
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