May 16, 2020 / 11:28 PM / 8 days ago

コラム:どうなる今年の夏休み、制限緩和でも「安・近・短」

[ミラノ 13日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 夏期休暇を新型コロナウイルスから「救出する」ため、政府や企業が競うように動き出した。新型コロナ感染対策の隔離措置や渡航制限が続けば、休暇を楽しみたい人は身動きが取れないままで、世界で1兆6000億ドル規模とされる観光関連業界にも大打撃になる。創造的思考をいくらか働かせれば、夏休みシーズンは部分的にせよ、「救い」を得られるかもしれない。

 夏期休暇を新型コロナウイルスから「救出する」ため、政府や企業が競うように動き出した。写真はギリシャのサントリーニ島。5月8日撮影(2020年 ロイター/Alkis Konstantinidis)

米ハイアット・ホテルズ(H.N)は12日、観光需要の落ち込みを「歴史的」と表現した。しかし、欧州やアジアの各地で封鎖措置が緩和に向かっていることは、そうした惨状が終わるかもしれないとの多少の希望を与える。

欧州格安航空(LCC)最大手・ライアンエア(RYA.I)は、7月に運航の40%を再開したがっている。中国系資本(0656.HK)のリゾート運営クラブメッドは4月、中国でリゾート施設を再開した。米マリオット(MAR.O)も米国の海辺の保養地で客室稼働率が50%近くに回復したと発表した。

だが、こうした業界の命運は、渡航制限や入国者に対する14日間の隔離措置を各国政府が解除していくかにどうかにかかっている。欧州連合(EU)の年間域内総生産(GDP)の中で観光業が10%を占めることを踏まえ、欧州委員会は13日、国境検査や旅行者向け安全指針を徐々に緩和することを提案した。

長距離の旅行は、たぶん論外だろう。欧州と米国は、アジアからの旅行者を迎えることはできない。ただ、より近場に出掛けることは可能なはずだ。

1つの選択肢は、欧州委が示唆したように、新型コロナを抑制できているEU域内間での旅行の再開だ。ギリシャとクロアチアは、いずれもGDPに占める観光業の比率が20%を超えるが、新型コロナの症例は少ないとされている。

こうした国は、やはりリスクが低いと認定された域内地域から、旅行客を迎えることができるはずだ。そうした考え方は、単に旅行者に新型コロナ検査を義務づけるよりも、安上がりで実用的に違いない。

一方、イタリアやスペインなど新型コロナ死亡率が高い国は、国境開放をためらうだろう。たとえ開放したところで、危険を冒して訪れる旅行者は少ないのではないか。

選択肢として考えられるのは、旅行者の不足を埋めるべく国内旅行を奨励することだ。イタリアは国内の低所得世帯に対し、ベネチアの運河やローマの遺跡などを楽しんでもらえるような500ユーロの無料サービス券や割引券の配布を検討中だ。

Breakingviewsの試算によると、対象になる約1700万世帯の半数がサービス券を使用したとすると、既に多額の債務を抱えるイタリア政府には、さらに40億ユーロの旅行費負担が発生することになる。そうだとしても、同国の年間630万人の来訪外国人客の不在を埋めるには程遠い。

国境を開放しても、雇用不安や感染の懸念から旅行は控えられるかもしれない。しかし、普段よりすいている海辺はそれはそれで魅力があり、いくらかは夏期休暇の救いになるかもしれない。

●背景となるニュース

*欧州連合(EU)の欧州委員会は13日、EU域内の国境封鎖を徐々に解除することを提案した。解除に際しては、航空機内でのマスク着用や列車内での対人距離確保の義務付けなどを計画している。

*欧州委員会は8日、新型コロナ感染対策で域外からの不要不急の入域を原則禁止していた措置について、6月15日まで延長するよう加盟国に要請した。一部加盟国は国境を越える旅行や国内旅行を制限する一方、入国者に健康検査や14日間の隔離措置を実施。

*フランスのマクロン大統領は5日、今年の夏休みシーズンは大型の海外旅行を控えるよう国民に呼び掛けた。

*経済協力開発機構(OECD)によると、今年の海外からの来訪者数は45-70%減少する見通し。OECD加盟諸国のGDPで観光業は平均4.4%を占める。

*2018年の海外来訪者数は5億6200万人で、うちEUは40%を占めた。EUの観光業は域内GDPの10%、観光業従事者は域内労働者の12%を占めた。

*新型コロナ危機前は、EU加盟国では国外旅行の4分の3が、他のEU国向けだった。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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