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コラム

コラム:経年劣化の米連邦最高裁、機構改革はFRBをお手本に

[ニューヨーク 28日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米連邦最高裁判所は経年劣化が起きている。リベラル派判事のルース・ベイダー・ギンズバーグ氏の後任選びを巡る議論により、18世紀に誕生した最高裁には、長年続く二大政党制の重みできしみをたてていることが浮き彫りになった。しかし最高裁の改革を思い描く人にとっては、もっと歴史の新しい組織である連邦準備理事会(FRB)の仕組みが参考になるだろう。

 9月28日、米連邦最高裁判所は経年劣化が起きている。リベラル派判事のルース・ベイダー・ギンズバーグ氏の後任選びを巡る議論により、18世紀に誕生した最高裁には、長年続く二大政党制の重みできしみをたてていることが浮き彫りになった。写真は23日、米首都ワシントンの最高裁判所の前に安置されるギンズバーグ氏のひつぎ(2020年 ロイター/Erin Scott)

一方は憲法の番人、一方は金利の決定者と役割は異なるが、両者には共通点が多い。いずれもメンバーは選挙を経ずに指名で選ばれ、政治的な圧力を受けずに職務を遂行すると考えられている。FRBには独立性があり、大統領は判決が気に入らないからといって最高裁判事を罷免できない。絶大な権限を持つことも共通する。最高裁の判事9人は、人権問題から選挙資金にいたるあらゆる事柄に影響する、幅広い訴訟について判断を下すことができる。FRBのパウエル議長は今春、広範な権限を駆使し、金融システム全体を事実上救済した。

しかし最高裁判事の指名手続きにおいては政治が醜態をさらしている。ギンズバーグ氏が1993年に最高裁判事に指名された際には、上院での指名承認における採決の反対票はたった3票だった。ギンズバーグ氏の後任を指名するトランプ大統領の計画は既に野党から強い反発を招いている。大統領選本選から100日以内に最高裁判事の後任が指名されるのは、今回を含めて歴史上わずか4回。トランプ氏が前回最高裁判事に指名したブレット・カバノー氏は、上院の承認採決で民主党議員からの賛成票が1票にとどまった。

FRBを巡ってあまり混乱が起きないのは、FRBの影響力が最高裁よりも小さいことだけが理由ではない。最高裁判事は終身制で、トランプ氏が指名した48歳のエイミー・コーニー・バレット氏が判事に就任すれば、今後30年間にわたって法解釈に影響を及ぼし続ける。一方、FRBには安全装置が組み込まれている。理事の任期は最長14年に制限され、2年ごとに理事1人の任期が満了する。金融政策決定機関である連邦公開市場委員会(FOMC)はFRB理事7名のほか、5名の地区連銀総裁(ニューヨーク連銀総裁の他は11地区連銀からの輪番制)で運用され、地域的に偏りがないようになっている。

最高裁がFRBのように判事の任期について、終身制を取りやめ、一定期間ごとに入れ替わる仕組みを導入すれば、1人の大統領の影響力が簡単に反映するのを防げるだろう。バレット氏が承認されれば、最高裁はトランプ氏が指名した判事が3分の1を占めることになる。FRBの輪番制も導入の価値があり、例えば判事の数を増やして長官職を設け、他の判事8人を任期ごとに交代する案が考えられる。そうすれば、最高裁は構造的に何らかのイデオロギー的な偏向を持つという受け止め方が薄れるだろう。

今のところこうした改革が実際に行われるとは考えにくい。最高裁の機構改革の多くは憲法改正を必要とする。そして決定は全員一致で行うことが少なくないため、改革の必要性は差し迫っていない。判事の判断が割れるのは通常、妊娠中絶など政治的に難しい問題に限られる。

FRBは感情に訴えるような問題には関わらない。しかし創設が1世紀余り前と最高裁よりも新しいため、ほかにも強みがある。近代の党派対立の影響をまともに浴びないように、うまく設計されているのだ。

●背景となるニュース

*米最高裁判所のリベラル派女性判事、ルース・ベイダー・ギンズバーグ氏が18日、死去した。最高裁判事着任は1993年だった。

*共和党のマコネル上院院内総務は18日、トランプ大統領が指名する後任候補について上院で承認に向けた採決を行う考えを表明。トランプ氏は26日、保守派のエイミー・コーニー・バレット連邦高裁判事を後任に指名した。

*マコネル氏は2016年には、当時のオバマ大統領が保守派のアントニン・スカリア連邦最高裁判事の後任に穏健派のメリック・ガーランド氏を指名することについて、大統領選の年は後任判事の指名を控えるべきだと述べていた。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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