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焦点:世界の政府系ファンド、規制強化でも中国投資熱に衰えなし

[ロンドン 6日 ロイター] - 政府系ファンド(SWF)の中国投資熱は、同国で規制強化が進んでいるにもかかわらず、弱まる気配が見えない。単独でさまざまな投資を計画しているほか、ベンチャーキャピタル(VC)が絡む案件や不動産などの分野での未公開資産にも関与していることが、データや専門家への取材で明らかになった。

 9月6日、政府系ファンド(SWF)の中国投資熱は、同国で規制強化が進んでいるにもかかわらず、弱まる気配が見えない。写真は中国証券監督管理委員会(CSRC)の外に掲げられた中国国旗。7月、北京で撮影(2021年 ロイター/Tingshu Wang)

ここ数週間、中国当局がゲームから教育まで幅広い産業を狙い撃ちにする規制を打ち出し、投資家の動揺を誘っている。

SWFもそうした影響から無縁ではない。とはいえ彼らが掲げる長期的な投資という視点を踏まえ、この先何年も世界経済の成長エンジンになると期待される中国から、せっかく振り向けた資金を引き揚げることはなさそうだ。

中国のSWF、中国投資有限責任公司(CIC)の元マネジングディレクター、ウィンストン・マー氏は「SWFのような長期投資家が、一夜にして中国向けの資金配分をゼロにするようなことは決してない。彼らの戦略的な資金配分が、(目先の情勢により左右される)戦術的であるはずがない」と述べた。

世界最大のSWFであるノルウェー政府年金基金グローバルは、総資産の4.5%を中国・香港向け投資が占める。

シンガポールのSWF、テマセク・ホールディングスは6月、中国配車サービス大手の滴滴出行(ディディ)の米国預託証券(ADR)3300万ドル相当を購入。その後、中国当局がディディのデータ管理問題を巡る調査に乗り出し、北京市は同社を管理下に置くことを検討中との報道も出ている。

複数のSWFが保有する中国電子商取引最大手のアリババ・グループ・ホールディングや、学習塾大手の新東方教育科技集団の株式は、それぞれ年初来の下落率が30%と88%に達した。

<売り越しは一過性か>

イーベストメントのデータに基づくと、SWFの外部の資産運用担当者を通じた中国本土A株投資は今年第2・四半期の売り越し規模が23億5000万ドルと少なくとも2017年以降最大で、最近の警戒ムードが反映されている。

しかし、そうした流れは一時的かもしれない。ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの政策調査責任者、エリオット・ヘントフ氏は、幾つかのSWFが中国の株式や債券に独自でポジションを構築することを考えていると指摘した。

世界の株式運用における中国株の存在感も、今後ずっと大きくなるはずだ。A株が完全に組み入れられた場合のMSCI新興国株指数のウエートは、最大50%に高まる可能性がある。10月にはFTSEワールド・ガバメント債券指数が中国国債を採用する予定で、中国国債市場には約1300億ドルが流入してもおかしくない。

<ESGリスク>

近年は米中両国の対立がずっと株式市場に重くのしかかり続けてきただけに、他の投資家と同じくSWFも中国の政治的リスクに慣れてきた面はある。

同時に、これまでは環境・社会・企業統治(ESG)を巡る問題が中国投資の意欲を損なっていた。最近のインベスコによる調査では、SWFの45%がESG関連データの欠如は投資する上で厄介な要素になると答えている。

そうした中でインベスコの公的機関責任者、ロッド・リングロー氏は「この(規制強化の)動きはSWFの中国投資にとって、前向きの材料になり得るとわれわれは信じている」と語った。

中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は先週、規制強化について豊かな経済の建設や反独占、労働者保護のために行われていると強調した。

<中長期の成長確信>

中国政府が積極的に資本を呼び込んでいるのが不動産、特定用途向けオフィス、物流、賃貸住宅などの分野。SWFはこれらの未公開市場のディールにも積極的に乗り出している。

グローバルSWFのデータによると、SWFがまとめたディールは今年に入って26件、総額28億ドルに達した。昨年全体では28件、49億ドルだった。

ピッチブックのデータからは、SWFが参加した中国・香港のVC関連ディールが25件と過去最高を記録したことが分かる。

CBREが集計した昨年のSWFの中国における不動産取引総額は106億元(16億ドル)と、19年の30億元から3倍以上に膨れ上がっている。

同社のアジア太平洋資本市場責任者、グレッグ・ハイランド氏は「都市化の継続や消費拡大など中国の中長期的な経済成長トレンドは確信されており、それに乗る形で中国向け投資を増やすSWFは、より多くなるだろう」と予想した。

(Tom Arnold記者)

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