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円相場は幾分過大評価、日銀はさらなる緩和を=IMF
2012年6月12日 / 03:45 / 5年後

円相場は幾分過大評価、日銀はさらなる緩和を=IMF

[東京 12日 ロイター] 国際通貨基金(IMF)は12日、日本経済に関する報告書を公表し、現在の円相場は中期的な観点から「いくぶん過大評価」との認識を示した。日銀には資産買い入れの拡大を含む一段の金融緩和策を求めたほか、消費増税を盛り込んだ社会保障・税一体改革の成立は不可欠で、消費税率は少なくとも15%への引き上げが望ましいと提言した。

6月12日、訪日している国際通貨基金(IMF)代表団は、日本政府や日銀、民間部門代表などと経済動向や政策課題について協議を行い、終了後声明を発表。昨年8月撮影(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

<為替介入は「秩序欠いた動きに歯止め」>

IMFが毎年実施している「対日4条協議」では、円相場が「安全資産への逃避による資金流入などを反映し、過去1年間に切り上がった」と円の上昇を追認。現在の円相場は過大評価だとして、為替変動を今後のリスク要因にも挙げた。「金融市場で安全への逃避が進めば為替相場の変動につながり、一段の円高、株価や企業・個人の信頼感を圧迫する可能性がある」という。

会見した筆頭副専務理事のデビット・リプトン氏は、政府の為替介入について「日本はその他の先進国と同様に、フロート為替レート制を取るべき」と前置きしながらも、介入は「秩序を欠いた動きに歯止めをかけることはできる」と指摘。しかし同時に「中心は市場が決めるレートになる」とも述べ「為替は必ず市場で決められる。これがベストな方法だ」との考えを示した。

<日銀の金融緩和に一定評価、追加緩和の具体策提案>

日銀の金融緩和策には「景気回復を支えるとともに、デフレ脱却に寄与している」と一定の評価を下したが、2014年末までに1%のインフレ目標を達成するためには「資産買い入れを現在の計画以上に拡大することが可能」と追加緩和を要望。これにより、貸出金利をさらに引き下げ得るとともに、インフレ期待を引き上げ得るとの波及ルートを指摘した。

資産買い入れには「国債買い入れの年限を3年以上とすることで、中期的な貸出金利の一段の低下を促す可能性がある」ことや「社債やエクイティ、中小企業向け(SME)融資を証券化した高格付け債券など民間資産の買い入れ」などの具体策にも言及した。

リプトン筆頭副専務理事は追加緩和を求めた理由を「日銀が資産買い入れプログラムを拡大すれば、インフレ目標達成の可能性がより高くなる」と解説。資産買い入れは「より長期の国債もしくは民間資産も対象として入り得る」と述べた。日銀が「市場を説得して最終的にインフレ目標を達成するとの安心感を持ってもらえれば、実質金利に影響が及び、企業の資金コストにも影響が出て、貸し出しや投資を再開することができるのではないか」とした。

<日本の景気先行きリスク、明らかに下振れ>

リポートでは、日本経済の成長見通しを2012年が約2%、13年は1.75%と表明。欧州の景気悪化などを主因に外需の抑制が企業マインドを押し下げる可能性が高く、円相場が過大評価にあることも踏まえた結果だとした。この間の消費者物価(CPI)は約ゼロ%を見込んでいる。

リプトン筆頭副専務理事は経済の現状について「日本は震災後、目覚ましい強靭(きょうじん)さと適応力を示し、現在はしっかりした回復基調にある」と述べ、復興需要や民間消費が下支えして景気の底堅さは「今後もしばらく続く」と見通した。

しかし、景気先行きリスクは「明らかに下振れした」とも指摘。リスク要因として、欧州の混乱拡大や中国経済の予想以上の鈍化、夏季の原子力発電所の全基停止などを列挙した。

<消費税率は最低15%>

日本の直近の優先課題は根深い財政問題に取り組むことだと指摘するIMFは、財政健全化へ向けて消費増税の必要性を以前から指摘してきた。今回も同様の主張を展開。政府が進める税と社会保障の一体改革の可決を「強力に支持している」と明言し、公的債務を持続可能な水準に削減するためには、消費税率を15%へ引き上げることなどを通じて「今後10年でGDPの10%相当の財政再建が必要」と訴えた。

また、法人税率の引き下げが投資へのインセンティブ改善に必要であること、個人所得課税ベースの拡大、年金支給年齢の引き上げなども盛り込んだ。

(ロイターニュース 中川泉、基太村真司、村山圭一郎)

*内容を追加して再送します。

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