[東京 25日 ロイター] 日立製作所6501.Tは25日、英運輸省から高速鉄道の車両更新プロジェクトを正式に受注したと発表した。総事業費は45億ポンド(約5445億円)で、英国鉄道史上最大規模となる。受注を受けて欧州での市場開拓も視野に、日立は英国で鉄道車両を生産する新工場も設立する。
同プロジェクトは、英運輸省が主導するPPP(官民連携事業)のスキームで実施。国際協力銀行などからの融資や独立行政法人の日本貿易保険による金融支援も受けており、日本政府も受注に向けて全面支援していた。英国で大型案件を受注したことで、日本の成長戦略の柱としているインフラ輸出にも弾みがつく可能性がある。
日立の中西宏明社長は「大変うれしく思う。イノベーション事業を通じてグローバルな成長を目指す上で、非常に大きな一歩」とコメント。枝野幸男経済産業相も「今後もパッケージ型インフラの海外展開に一層積極的に取り組んでいく」としている。
日立子会社などが出資する特別目的会社「アジリティ・トレインズ」が 英国の主要幹線で、ロンドンから北部に約700キロ伸びるイースト・コースト・メイン・ラインと西部へ約300キロ向かうグレート・ウエスタン・メイン・ラインを走行する車両のリース事業を展開。日立が同リース事業向けに596両の製造と2017年から27年半にわたる保守事業を一括受注する。車両は最高時速200キロで、編成は5両(定員約300人)と9両(同600人)の2種類。
日立は、英国や欧州での鉄道システム事業の強化を目指すため、8000万ポンド(約97億円)を投じ、英国に新工場も設立する。北東部に位置するダーラム州ニュートン・エイクリフが第1候補で、現在、最終調整を進めている。月35両の生産能力で、2016年にはフル生産を始める予定。研究開発スタッフを含め約730人を新規採用する計画。
アジリティ・トレインズには日立が7割、英インフラ建設会社のジョン・ラングが3割出資しており、この車両更新プロジェクトに関して09年2月に優先交渉権を取得していた。10年2月に契約交渉が凍結されたが、11年3月に交渉が再開し、3年越しで今回の最終契約をとりつけた。(換算レートは1ポンド=121円)
(ロイターニュース 白木真紀、大林優香;編集 内田慎一)
*内容を追加します。
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