September 6, 2012 / 3:57 PM / 7 years ago

ECBが期間3年までの国債買い入れで合意、量的限度設定せず

[フランクフルト 6日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)は6日の理事会で、困難に直面しているユーロ加盟国の借り入れコストの引き下げに向け、新たな国債買い入れプログラム(OMT)の実施で合意した。同プログラムの下、流通市場で償還期間が3年までの国債を量的な限度を設けずに買い入れる。

9月6日、欧州中央銀行(ECB)は、主要政策金利であるリファイナンス金利を0.75%に据え置いた。写真はフランクフルトで記者会見に臨むドラギ総裁。同日撮影(2012年 ロイター/Alex Domanski)

同理事会でECBは、主要政策金利であるリファイナンス金利を0.75%に据え置くことを決定。下限金利の中銀預金金利もゼロに、上限金利の限界貸出金利も1.50%にそれぞれ据え置いた。

ドラギECB総裁は理事会後の会見で、新たなプログラムは、市場のひずみ、およびユーロ圏の存続に関する投資家の「根拠のない」不安感に対応するものだと述べた。

新たな国債買い入れにはこれまで独連銀が反対する姿勢を示していたが、ドラギ総裁によると、この日の政策決定には理事会メンバーの1人が反対した。ただ、バイトマン独連銀総裁が異を唱えたのかとの質問に対しては、「内部の動きに関する詳細は公表しない」と述べるにとどめた。

ドラギ総裁は、買い入れプログラムは厳格にECBの責務の範囲内にあるとし、「適切な状況の下、われわれは、破壊的になり得るシナリオを阻止するための、完全に有効な防止措置を持つことになる」との立場を示し、「国債買い入れの規模にあらかじめ量的な限度は設けない」と言明。「買い入れは償還期間が短めの債券に焦点を当てる。特に1―3年で満期となる国債が中心になる」と説明した。

ECBによる新たな国債買い入れプログラムに関して、政策当局者の間で意見の相違が前週から表面化していたため、ECBがスペインとイタリアの借り入れコスト引き下げに向けどのような措置を打ち出すのか、市場で大きな注目を集めていた。

アナリストの間では、ドラギ総裁のこの日の発言は、期待に沿ったものだったの評価が出ている。シティFXのG10ストラテジスト、アンドリュー・コックス氏は、「この日に発表された(買い入れプログラムの)詳細は、ユーロ圏に構築されつつある安全網(セーフティーネット)の信頼性を高めるもので、ユーロ圏資産に対する需要を支えるものになる」との見方を示した。

新たな国債買い入れプログラムに対しては、バイトマン総裁が、債券市場にECBが介入することは、禁じられているユーロ加盟国政府へのファイナンスに値するとして、反対を示していた。一方、その他のECB政策担当者の間では、ユーロ圏債務危機の悪化防止に向け、スペインとイタリアへの支援が急務になっているとの見方も出ており、 ドラギ総裁はバイトマン総裁の反対を押し切り、理事会内で新たな買い入れプログラムに対する賛同を取りまとめることに成功した。

独連銀はこの日、ECBの新たな国債買い入れプログラムの発表を受け声明を発表。「バイトマン独連銀総裁は、ユーロシステムによる国債買い入れをめぐり、これまでと同様、直近の討議において、実証された批判的立場をあらためて表明した」とし、「こうした買い入れは紙幣増刷による政府への財政ファイナンスに等しいとバイトマン総裁は考えている」とした。

ドラギ総裁は、ECBが支援するのは、支援を要請し厳格な政策条件を導入している国のみとなると表明。ユーロ圏救済基金もこうした国の債券買い入れを行うとし、国際通貨基金(IMF)が対象国ごとの条件設定、および監視に関与することが望ましいとした。

ECBによる新たな国債買い入れは、各国政府が債務危機への長期的な対策を打ち出すための時間を稼ぐ上で重要となっている。

こうしたなか、ドラギ総裁が8月2日に、ECBがスペインとイタリアの国債を買い入れるとの方針を示して以来、両国の国債利回りは大幅に低下。ECBがこの日に新たな買い入れプログラムで合意したことで、両利回りはさらに低下した。

ただドラギ総裁は、国債買い入れを行うにあたり、ECBは特定の債券利回り目標を持っていないと言明。対象国が条件に従わない場合は、買い入れは中止される。

ECBは証券市場プログラム(SMP)の下での債券買い入れを3月以来凍結してきた。OMTはその後継となるものだが、ドイツの憲法裁判所が欧州の常設の金融安定網となる欧州安定メカニズム(ESM)、および新財政協定の合憲性に関する判断を12日に下すことになっているため、ECBが直ちに国債買い入れを再開させる公算は小さい。

ドラギ総裁はまた、ECBが新たなプログラムの下で買い入れる国債は「民間部門債権者やその他の債券者と同等(pari passu)の扱いを受ける」とし、優先債権者待遇が適用されないことも明らかにした。

ECBはこれにより、政府がデフォルト(債務不履行)に陥った場合、民間部門投資家が保有する国債が劣後化するとの懸念を払しょくし、ECBによる国債買い入れ実施により民間部門投資家がECBの買い入れ対象となっている国債を売却することがないようにしたい考え。

今年実施されたギリシャの債務再編では、ECB保有のギリシャ国債に優先債権者待遇が適用されたため、民間部門投資家が大きな損失を被った一方で、ECB保有分の目減りはなかった。

ドラギ総裁はまた、ECBは新たなプログラムの下で買い入れた国債は、インフレリスクを回避するため、「不胎化される」と述べた。

ECBの新たな国債買い入れプログラムについて、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は声明を発表し、「ECBの措置はユーロ圏の安定と成長を強化する上で重要な一歩となる」と評価。「IMFには、われわれの枠組みの中で協力する用意がある」と述べた。

スペインのラホイ首相はこの日、スペインを訪れているドイツのメルケル首相とマドリードで会談。両首相は共同記者会見で、スペインが資金調達コストの引き下げに向けた国際支援を得るための条件については協議しなかったことを明らかにした。

ラホイ首相はこの日の会談で、支援要請に向けメルケル首相の同意を取り付けるとの見方も出ていた。

リール(ジュネーブ)の最高投資責任者(CIO)のフランソワ・サバリー氏は「ESMを通して支援を要請する各国政府次第になるところが大きい。スペインはまだ支援要請の準備ができていないようだ」とし、「このことは、多くのことが依然として政治家の手中にあることを示している」と述べた。

ドラギ総裁はユーロ圏経済について、「非常に緩やかなペースでしか回復しないと予想している」とし、「金融・非金融部門のバランスシート調整の必要なプロセスのほか、高い失業水準、世界(経済)のまだら模様の回復により、成長の勢いは引き続き抑制されたものとなる」との見方を示した。

ECBがこの日発表したユーロ圏経済に関するスタッフ予想では、2012年のユーロ圏の域内総生産(GDP)の伸び率見通しはマイナス0.6─マイナス0.2%と、6月予想のマイナス0.5─プラス0.3%から下方修正された。

*内容を追加して再送します。

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