[東京 24日 ロイター] - 小野寺五典防衛大臣は24日の会見で、国連南スーダン派遣団(UNMISS)に参加する韓国軍に陸上自衛隊の小銃弾1万発を譲渡したことについて、現地の治安が悪化する中で緊急性の高い人道的な措置であり、例外的な対応だと強調した。
国連平和維持活動(PKO)協力法に基づいた物資の融通はこれまでも行ってきたが、自衛隊の弾薬を国連や他国に供給するのは初めて。政府は過去に、PKO活動での物資協力について、国連への武器や弾薬の提供は「含めない」という見解を国会答弁で示している。
小野寺大臣は会見で、PKO協力法が制定された当時は「武器弾薬を要請されることは想定していなかった」と説明。今回は「緊急時における例外的措置で、人道的な見地での対応。なし崩し的ではない」と述べた。政府は防衛装備品の輸出や他国との共同開発ができるよう、武器輸出三原則の見直しを進める方針を表明しているが、小野寺大臣は「人道的・緊急的対応なので三原則の議論とは別のもの」と語った。
防衛大臣の会見に先立ち、菅義偉官房長官は23日夜に談話を発表。1)韓国隊隊員や避難民らの生命・身体の保護のみに使用されること、2)UNMISS以外への移転が厳しく制限されること──を前提に、「武器輸出三原則等によらないこととする」とし、三原則の例外措置とした。
銃弾の供給は22日に国連が日本に要請した。韓国の小銃に合う5.56ミリ弾を保有しているのがUNMISSでは自衛隊のみで、現地の治安が悪化する中、政府は23日に応じることを閣議決定。同日夜に国連を通じて韓国に譲渡した。小野寺大臣によると、現地の韓国軍から自衛隊に電話で謝辞が伝えられたという。
(久保信博 編集:山川薫)
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