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長期金利上昇には日銀が適切に対応、市場動向を注視=経済再生相

[東京 30日 ロイター] - 甘利明経済再生担当相は30日、内閣府主催の国際会議で講演し、アベノミクスに対する批判のひとつである長期金利上昇リスクに対して、日銀がこれまで以上に市場と対話し適切に対応するとの認識を示した。

5月30日、甘利経済再生担当相は、アベノミクスに対する批判のひとつである長期金利上昇リスクに対して、日銀がこれまで以上に市場と対話し適切に対応するとの認識を示した。写真は昨年12月撮影(2013年 ロイター/Toru Hanai)

政府も債券市場動向を注視するとともに、持続可能な財政構造を確立するための取り組みを着実に推進し対応していく考えを強調した。

甘利担当相は、「禁じ手」の代名詞のように言われたアベノミクスに対する批判は大別すると2つ。このうち「賃金が上がらないのに物価があがる。円安で輸入物価が上がることで国民生活が苦しくなるとの批判には従来とは次元の違う政策パッケージである3本の矢を同時展開し、デフレから脱却して、雇用や所得の拡大を実現することで解決していく」と宣言。円安による輸入物価上昇の影響には、一方で「円安によって利益が上がるセクターもある」とし「そのような利益が経済全体に還元されることが重要だ」と語った。

長期金利上昇による経済や財政への悪影響を懸念する声に対しては「日本銀行が市場参加者との間でこれまで以上に緊密な意見交換を行う場を設けるとしている。適切に対応されることと思う。政府としても、国債の安定消化の観点から、債券市場動向を注視していく」と語った。

そのうえで、甘利担当相は「長期金利の急上昇が起きれば、経済・財政・国民生活に重体な影響が及ぶ恐れがある」とし、「政府としては財政健全化に向けた意志とプランを明確に示しながら、持続可能な財政構造を確立するための取り組みを着実に推進していく」考えを強調。6月中旬にまとめる「骨太の方針」で日本経済の再生と財政健全化の両立の道筋についての方向性を示し、夏に策定する「中期財政計画」で具体化を行う。同時に「中長期試算」で日本経済の再生と財政健全化の両立の道筋を示す手順を明らかにした。

<実体経済にも変化、物価動向にも変化の兆し>

一方で、実体経済面では、個人消費の増加を中心にアベノミクスの効果が表れ始めていると指摘。「今後下げ止まりつつある設備投資のテコ入れを図るなど、景気回復の動きをより確かなものにしていく」とした。「物価動向にも一部に変化の兆しがみられる」と語った。

<成長戦略、従来との違いは「行動が伴うこと」>

そのうえで、6月中旬にまとめる「成長戦略」こそ、アベノミクスの「本丸だ」と強調。従来の成長戦略との最大の違いは「今回は行動が伴うことだ。異次元のスピードで実行していくことを約束する」と説明。政策分野ごとに達成度数を設定し、達成状況を年1回以上の頻度で検証することで「実現度合」を測る具体策を示した。

期待に働きかけてデフレマインドを変える──。アベノミクスのポイントについて甘利担当相はこう語り、「デフレマインドを一変させるためには、戦力の逐次投入ではなく、戦力の同時集中投入を行うことだ。成果があがるまで徹底的にやり続ける。(アベノミクスの)成功の秘訣は成功するまでやりつづけることだ」と決意を語った。

(吉川裕子)

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