[東京 27日 ロイター] - パナソニック6752.Tは27日、ヘルスケア事業の全株を米投資会社KKRKKR.Nに1650億円で売却すると発表した。来年3月31日付。同時にKKRからヘルスケア事業の運営会社の20%の議決権を取得する。パナソニックは売却資金を純有利子負債の圧縮に充てる。
同日付でKKRと合意した。来年3月末に、完全子会社パナソニックヘルスケア社(本社:東京都港区)の株式の100%を1650億円でKKRの特別目的会社(SPC)に売却すると同時に、このSPCの20%の株式を第三者割当増資によって引き受ける。第三者割当増資の引受額は非公表。
これによりヘルスケア社を完全子会社とするSPCは、パナソニックが20%、KKRが80%の出資比率の共同持ち株会社となる。新しいヘルスケア社は、パナソニックブランドを活用しながら、KKRの資金と医療業界のノウハウを注入することで、グローバルでの成長を目指していく。
パナソニックヘルスケア社は、血糖値センサー、電子カルテシステム、バイオメディカ機器の3事業が中核で、2013年3月期の売上高は1343億円、営業利益は87億円。単体ベースの従業員は3000人。売却後にパナソニックの子会社から外れ、持分法適用会社となる。
<純有利子負債圧縮へ>
パナソニックは来年3月末の取引によって、750億円の売却益を今期の営業外収益に計上する。2014年3月期の連結当期純利益は500億円の計画で、業績予想修正については精査中としている。
さらにヘルスケア社の売却資金は財務改善にも寄与する見込み。13年3月期に2年連続で巨額赤字を計上して格付け低下に悩むパナソニックは純有利子負債の圧縮が優先課題。
昨年9月末に1兆円を超えた純有利子負債は東京支社のビルや保有株の売却を通じて今年6月末に5778億円まで圧縮したが、来年3月末にかけて、ヘルスケア社の売却だけでなく、設備投資の抑制や固定費削減の取り組みを強めており、一段の負債削減を目指していく。
(ロイターニュース 村井令二 江本恵美;編集 内田慎一)
*内容を追加しました。
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