[イスタンブール 29日 ロイター] -トルコ中銀は緊急の金融政策決定会合を開き、主要政策金利をすべて大幅に引き上げた。
同国の通貨リラは、国内政局の混乱や米量的緩和の縮小に対する懸念で下落しており、中銀が市場の圧力に屈した形となった。
翌日物貸出金利は7.75%から12%に、1週間物レポレートは4.50%から10%に、翌日物借入金利を3.5%から8%にそれぞれ引き上げた。
中銀の発表に先立ち、トルコのエルドアン首相は、利上げに反対する立場をあらためて表明していたが、首相の意向を無視して通貨防衛を優先した形となった。
利上げ幅は市場予想を大幅に上回った。ロイターがアナリスト31人を対象に実施した調査では、翌日物貸出金利が10%に引き上げられると予想されていた。
大幅利上げを受け、リラは28日終盤の1ドル=2.25リラから2.18リラに上昇。27日には最安値の2.3900リラをつけていた。
中銀は緊急の金融政策決定会合後に発表した声明で、インフレ見通しが明確に改善するまでは、引き締め政策を維持すると表明。こうした措置により、インフレ率は2015年半ばに5%に低下すると予想した。今後は限界貸し出し金利に代わり期間1週間のレポ金利で資金供給する方針も示した。
中銀はこれまで利上げに消極的で、外貨準備を活用した通貨防衛を目指してきたが、方針転換を迫られた格好となった。
BKアセット・マネジメント(ニューヨーク)のマネジングディレクター、キャシー・リーン氏は「大胆な措置だ。自国通貨を支える強い意思があることを示した。こうした積極的な措置は信頼回復につながり、他の市場への影響波及も抑制できるだろう」と述べた。
国際金融市場ではここ数日、新興国市場の下げが目立っており、市場関係者は今回のトルコ中銀の緊急会合に注目していた。利上げの発表を受け、米株価指数先物も終盤の取引で上昇した。
トルコでは2カ月後から選挙が始まる。利上げに反対するエルドアン首相は「金利を要求する」投機筋が国内の経済成長を阻もうとしていると批判。「私はこれまでと変わらず利上げには反対だということを知っておいてほしい」としたうえで「当然、中銀に介入する権限は私にはない」と述べていた。
*内容を追加します。
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