April 26, 2018 / 6:37 AM / 5 months ago

コラム:武田のシャイアー買収案、株式交換部分に見える「隙」

[香港 25日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 武田薬品工業(4502.T)は、アイルランド製薬大手シャイアー(SHP.L)の買収に向けて限界まで力を使っており、それが他の買い手候補に付け入る隙を与える可能性がある。武田は5回にわたって買収提案を引き上げ、最終的に総額460億ポンド(約640億ドル)を提示したが、大規模な株式交換が含まれている。となればより現金の比率を高めた提案ができるライバル勢には好機が生まれる。

 4月25日、武田薬品工業は、アイルランド製薬大手シャイアーの買収に向けて限界まで力を使っており、それが他の買い手候補に付け入る隙を与える可能性がある。東京で1月撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

シャイアーは24日、熱心な武田の攻勢に事実上屈したことを表明。武田側が買収意思を示す期限を数週間延ばし、この間に武田が提案の細部を詰め、両社がより慎重に双方の状況を吟味する時間を設定した。武田は1カ月前に初めて買収を提案して以降、シャイアー1株当たりの提示額は16ポンドから21.75ポンドまで36%も跳ね上がった。

しかし武田が株式交換のために発行する新株は、最大でこれまでの発行済み分と同じ規模になる。つまりシャイアーの株主は、より規模が大きくなる半面、借金も膨らむ統合後の新会社の約50%を保有する覚悟をしなければならない。米国市場での経験が乏しく、なおかつこれだけの規模の取引を手掛ける買い手の前例がない点から、成功を疑う向きがあるかもしれない。資産運用会社の中には、インデックスに基づく運用をする面々も含めて日本株、あるいは武田が発行を計画している米預託証券(ADR)でさえ、規定で購入できないケースも出てくる。

この案件を巡る不安は早くも顕在化している。武田株はシャイアーが統合に原則的に同意して以降、さらに7%も急落した。交換比率を踏まえると、シャイアー1株当たり49ポンドという提案は既に、47ポンド弱へ価値が目減りしているのが実情だ。

そこで他の企業がシャイアーに再び買収を提示するチャンスが訪れる。例えば米ファイザー(PFE.N)は武田より企業規模が大きく、財務基盤は強固なので、理論的には全額現金の支払いができる。またファイザーは企業買収としての洗練度、シャイアーとの地域的な事業基盤の重複度のいずれも武田より高い。つまり両社が統合した方が、経費節減効果が増し、投資収益率は武田を上回るかもしれない。

今後はシャイアーに対する評価が高くなり過ぎることが懸念される。実際同業のアラガンが一時シャイアー買収意欲を示すと、株主が動揺をきたした。さまざまな特許の失効、血友病治療薬に対するロシュ(ROG.S)からの新たな脅威、多額の債務、成長を巡る課題などが存在することで、他の買い手は警戒するだろう。それでもシャイアーに関心を持つ企業にとっては、武田のアプローチが複雑な分だけ割り込みやすくなっている。

●背景となるニュース

*シャイアーは24日、武田薬品工業が提示した460億ポンドの買収案について取締役会が株主に受け入れを原則的に推奨する、と発表した。

*武田は今回の5回目の提案で、シャイアー普通株1株に対して武田株0.839株と現金21.75ポンド、もしくは現金約49ポンドを支払う意向を示した。シャイアーの株主は、新会社の株式およそ50%を保有する見通し。武田の新株は、新たな米預託証券(ADR)プログラムを利用して日米に上場する。

*シャイアーは、武田が正式に買収意思を示す期限を5月8日まで延長し、武田にさらなる資産評価と買収案の仕上げをする時間を提供することに同意した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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