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コラム

コラム:テーパリングに伴う利回り上昇、海外投資家の買いが抑制か

[オーランド(米フロリダ州) 20日 ロイター] - 国債は中央銀行の買い入れ縮小(テーパリング)で利回りが上がるというのが従来の常識だ。しかし米国と英国の最近の国債入札状況を見ると、市場の需給ギャップを海外投資家が埋めようとしている。

8月20日、国債は中央銀行の買い入れ縮小(テーパリング)で利回りが上がるというのが従来の常識だ。写真は米紙幣のイメージ。2月撮影(2021年 ロイター/Dado Ruvic)

米国、英国、日本、ユーロ圏の「G4」経済圏の中央銀行の中では、米連邦準備理事会(FRB)とイングランド銀行(英中銀、BOE)が最初に巨額の金融刺激策の段階的巻き戻しに踏み切り、おそらく最後には市場に債券を売り戻して国債利回りに上昇圧力をかけることになるだろう。

2013年にFRBが金融緩和の一部巻き戻しを示唆した「テーパータントラム」が、望ましくない借り入れコスト増大や新興国経済を中心にした市場のボラティリティーの上昇を引き起こしたため、政策当局者は今回、市場の混乱を最小限に抑えたいと考えている。

そこで海外投資家の積極的な市場参加が。政策当局者の懸念の払しょくに役立つだろう。最近の米英の国債入札では、利回りや安全資産、通貨の種類や地理的な面で、海外投資家が分散化を強く望んでいる様子がうかがえる。

エグザンテ・データーのシニアアドバイザーで元国際通貨基金(IMF)エコノミストであるクリス・マーシュ氏は「非居住者の購入が過小評価されている」と指摘。市場の状況次第で、海外投資家の需要が米国と英国の利回り曲線の形成に影響する可能性があると見ており、「海外投資家の購入は最終的に大規模になるのではないか」という。

海外投資家の購入規模は、統計によっては既に過去最高となっている。

先に実施された410億ドルの米10年債入札では、海外投資家の落札動向を示すとされる「間接入札者落札比率」が77.3%と記録を塗り替えた。

またBOEの6月の発表によると、海外投資家による英国債の購入額は12カ月の累計が985億ポンドと、やはり過去最高を更新した。

米財務省の最近のデータによると、海外投資家の米国債保有額は6月に670億ドル急増し、2020年2月以来の高水準となった。主要海外投資家の保有額は7兆2000億ドルで過去2番目の多さだ。

もちろん、テーパリングが開始されても海外投資家の需要が維持されるのか、維持されるとしても利回りの急上昇を抑えるのに十分な水準なのかは、まだ分からない。これらは世界の市場環境と資本の流れに大きく左右されるだろう。

過去に似たような事例はほとんど存在しないが、13年のFRBによる「テーパータントラム」とその後のテーパリングは検討に値する。

当時のバーナンキFRB議長が5月22日に議会で、状況が整えば「今後数回の会合で」国債の買い入れペースを落とすことができると発言した時点で、米10年債の利回りは既に上がっていた。

米国債利回りはわずか4カ月間で2%から3%に急上昇。市場のボラティリティーは急激に高まり、MERMOVE指数が示す13年5月の3カ月物インプライドボラティリティーは月間として09年以来最大の上昇を記録した。

同年末にFRBが実際にテーパリングを始めると10年債利回りは低下し、数年にわたってその傾向が持続。16年半ばには当時の史上最低水準である1.35%まで下がった。

注目すべきは入札で海外投資家の購入が長期にわたって増えたのと足並みがそろった現象という点にある。

間接入札者落札比率は13年3月の10年債入札段階で28%。そこから上昇の流れが続き、16年6月に当時の最高記録となる73.6%となった。

より広い視野に立って言えば、「資金流入は少しペースが鈍ったが、海外投資家は決して売りに回らなかった」(国際金融研究所のロビン・ブルックス氏)ということになる。

米10年債の利回りは依然として2%よりも1%に近い水準で推移し、JPモルガンやゴールドマン・サックスなど米大手金融機関は最近、年末の金利見通しを引き下げた。

しかし1.25%という名目利回りは海外の買い手にとっては魅力的だ。0.55%という英国の水準でさえ、指標となる10年債利回りがそれぞれ0%、マイナス0.5%の日本やユーロ圏の投資家を引き付ける力を依然として持っている。

ユーロ圏と日本の投資家にとって米英の国債は、購入時の為替ヘッジコストを考慮しても、なお高いリターンを有している。

FRBとBOEでテーパリングが予想される半面、欧州中央銀行(ECB)と日銀はソブリン債を大規模に買い入れ、民間投資家は「安全な」資産の不足に直面するなど、対比が際立っている。

こう考えると米英国債は当面、海外投資家の目には魅力的に映りそうだ。

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