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コラム

コラム:企業の研究開発に税控除、米製造業復活への確かな一歩

[ヒューストン 5日 ロイター BREAKINGVIEWS] - トランプ米大統領は先週、税制改革の原則を示したが、長引く医療保険制度の審議や債務上限引き上げ問題などを踏まえると、製造業は来年まで減税のお預けを食うかもしれない。ただ、共和、民主両党が共同で上下両院に提出した「米国における発明・製造法案」が成立するなら、国内の研究開発(R&D)に基づき国内で生産する企業には、予想より早く一定程度の減税がもたらされるだろう。

 9月5日、米共和、民主両党が共同で上下両院に提出した「米国における発明・製造法案」が成立するなら、国内の研究開発(R&D)に基づき国内で生産する企業には、予想より早く一定程度の減税がもたらされるだろう。写真は米連邦議会議事堂。7月撮影(2017年 ロイター/Joshua Roberts)

R&D関係の税控除は米企業に十分活用されていないが、そうした中でも製造業は積極的だった。内国歳入庁の最新データによると、税控除を受けている企業の約4割を製造業が占めている。

税控除の資格を持つのは、製品や製造工程を向上させるために技術を進歩させた企業で、時には10万ドル規模の節税効果が得られる。

これまでは、年商2億5000万ドル超の大手企業に恩恵が偏っていた。中小企業は手続きのわずらわしさゆえに申請を見送る場合が多い。しかし当局は近年、計算方法を大幅に簡素化するなど、そうした障壁を取り除く数多くの対応を講じた。

重要なのは、米経済に数十億ドルを還元してきたこうしたインセンティブ(奨励措置)を、政策当局者が拡充する方向に動いてきたことだ。「米国における発明・製造法案」が法制化されれば、企業を支える一連の改革の最新版となるだろう。

この法律はまず、長期的な米製造業の衰退に手を打つ一助となる。米国では2000年以来、製造業の雇用が500万人以上減り、約7万の工場が閉鎖、あるいは海外移転の憂き目に遭った。この結果、R&Dと製造が切り離され、創造性に富み、生産的で、競争力の高い企業が減ってしまった。米国内でR&Dと製造を共に行うよう促すことは、米経済と生産性の向上に多大な恩恵をもたらす可能性がある。

「米国における発明・製造法案」では、半分以上の生産を米国内で行う企業を対象に、R&Dの税控除を段階的に25%まで引き上げる。法案支持者の1人、クリス・クーンズ上院議員(民主党)によると、製造施設のそばに研究拠点を置いた企業は、R&Dの生産性が2倍に高まる。

法案は、活性化を目指す製造業セクターを助ける確かな一歩となるだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」の客員コラムニストで、ヒューストンにある税務コンサルタント会社、アライアントグループの最高経営責任者(CEO)です。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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