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コラム

コラム:初の国際法人課税合意、抜け道修正へ改革スタート

[ロンドン 1日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 130人の集会の議事運営でさえ苦労するのだから、同じ数の政府を国際的な法人課税ルール強化に向けた話し合いで合意に導いたというのは、実に驚くべき偉業だ。署名した国・地域が世界の総生産の9割強を占めるこの合意は、幾つかの欠点があるとしても、成立を祝福する価値が十分にある。  

7月1日、 130人の集会の議事運営でさえ苦労するのだから、同じ数の政府を国際的な法人課税ルール強化に向けた話し合いで合意に導いたというのは、実に驚くべき偉業だ。写真は各国紙幣。2017年6月撮影(2021年 ロイター/Dado Ruvic)

経済協力開発機構(OECD)は1日、協議に参加した139カ国・地域のうち130カ国・地域が2つの柱からなる国際課税ルール強化案に賛成したと発表した。

より重い意味を持つのは、最低法人税率を15%に設定したことだ。これは昔からあった考え方だが、イエレン米財務長官が4月に支持を表明した後、勢いを取り戻した。

また、巨大多国籍企業の利益への課税権については、利益を計上した場所ではなく、実際に収入を得ている地域を基準に一部を再配分する計画も承認された。

こうした合意内容は、なお不十分な点も少なくない。最低法人税率の15%というのは相対的には低い水準で、課税逃れのうち最もひどいケースだけをようやく「退治」できる程度かもしれない。

OECDの試算では、世界全体で上積みされる税収は1500億ドル。これは国際通貨基金(IMF)が照合した各種調査で示された、毎年の租税回避地(タックスヘイブン)に逃れていく5000億ドル強から6000億ドルの一部に過ぎない。

さらに最低法人税率は、主として巨大多国籍企業が本社を置く国・地域の財政を支援するが、低所得国にとってはほとんど役に立たない。

今回の合意には、売上高ベースの課税権を国家・地域間でより公平に分かち合う措置も含まれている。例えば、フランスないしインドは、フェイスブックからもっと多くの税金を徴収する権利が認められる。

しかし、そうした課税権再配分によって国家・地域間を移動する税引き前利益はわずか1000億ドルだ。税制調査機関のタックス・ファウンデーションが計算する世界の平均的な法人税率を当てはめると240億ドルの税収に相当する。だが、これはOECDが収集した96カ国のデータから算出した2019年の法人税収のたった2%にとどまる。

それでも各国・地域は史上初めて、課税逃れで失われる税収の相当部分を取り戻そうと動いている。合意への署名を保留したアイルランドなどは今後、税率の優遇を通じて巨大多国籍企業を誘致するのは難しくなるだろう。

そして、今存在する不備のほとんどは改善への道筋が確保されている。イエレン氏は、米企業が世界中で得た利益に適用する最低税率を21%にすることを提唱しており、他国も15%より高い税率を設定してもおかしくない。

課税権再配分の対象企業についても、売上高や利益率の基準が7年後に引き下げられる予定で、人口が多い低所得国の税収増につながる。現段階の国際課税ルール強化案は不完全であるものの、世界的な改革はこれで終わりでなく、始まったばかりだ。

●背景となるニュース

*経済協力開発機構(OECD)は1日、国際課税ルール強化に向けた話し合いに参加している139カ国・地域のうち、130カ国・地域が、最低法人税率を15%とすることや、多国籍企業への課税権の一部を国家・地域間で再配分することなどを盛り込んだ改革案を支持したと発表した。

*OECDによると、より詳細な合意が10月までにまとめられる見通し。

*世界共通の最低法人税率導入により、税収は毎年1500億ドル前後増える可能性がある、とOECDは試算した。

*課税権再配分が当初適用されるのは、売上高200億ユーロ超と税引き前粗利益率10%超の企業。OECDの試算では、これによって国家・地域間で移転される税引き前利益は年間で1000億ドル規模になるだろうという。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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