June 25, 2014 / 4:17 AM / 5 years ago

政府税調専門部会が法人税改革案を了承、中小法人への課税強化提言

[東京 25日 ロイター] - 政府税制調査会は25日開いた法人課税専門調査会(ディスカッション・グループ)で、法人実効税率引き下げの代替財源として租税特別措置の見直しや中小法人への課税強化を盛り込んだ法人税改革案を了承した。

 6月25日、政府税制調査会は25日開いた法人課税専門調査会(ディスカッション・グループ)で、法人実効税率引き下げの代替財源として租税特別措置の見直しや中小法人への課税強化を盛り込んだ法人税改革案を了承した。都内で5月撮影(2014年 ロイター/Yuya Shino)

27日の総会で正式決定する。提言は、与党税調が年末に固める法人税改革の議論に反映させたい考え。終了後、中里実税調会長が会見で明らかにした。

改革案では、来年度から実施する法人減税の代替財源について、全体の3割の企業に負担が偏る現状をあらため、「広く薄く」負担を求める構造転換を強化する。具体的には、中小企業の軽減税率を見直すほか、資本金1億円の基準を見直し優遇対象の企業を減らす。赤字企業にも課税する外形標準課税で対象を資本金1億円以下の中小企業にも拡充するなど、中小法人への課税強化を盛り込んだ。

会議では「中小法人への対応が厳しい」と修正を求める発言も散見されたが、大田弘子・法人課税専門調査会座長は「強い反対があったが、逆に強い賛成もあった」と指摘。「全体の方向性は、現在の方向でいきたい」と語った。

背景には、全法人の99%が中小法人と分類され優遇される税構造のいびつさがある。大田氏は「人手不足が顕在化し生産性をあげることが重要な課題になるなど、経済環境が転換点を迎えている。このなかで、中小企業をひとくくりにするのではなく成長する企業をもっと伸ばす税にしていかなければならない」と改革の狙いを指摘し「全部をひとくくりにして中小企業は保護の対象にするのはやめようということ(思想)が貫かれている」と説明した。

政府・与党の法人税改革で検討余地が残った税収上振れの活用には、改革案では、恒久減税には「恒久財源を用意することが鉄則」としている。大田氏はあらためて「単年度で税収中立を考える必要はない。しかし、だからといって税収増をずっとあてにして何の財源措置もしないまま減税に踏み切るのはおかしい。中期的に恒久減税を行うのだから、恒久財源を作ることが責任ある議論だ」と述べ、中里会長も「(税収上振れを)減税財源のあてにする立場は政府税調はとらない」と語った。

政府税調の法人税改革案(骨子)は以下の通り。

【総論】

・立地競争力を高めるとともに、日本の企業の競争力を強化するために税率は引き下げること。

・課税ベースを拡大し税率を引き下げることで「広く薄く」負担を求める構造にする。

・法人税改革は、必ずしも単年度での税収中立である必要はない。また、法人税の枠内でのみ税収中立を図るのではなく、他の税目についても見直しを行う必要。

・恒久減税である以上、恒久財源を用意することは鉄則。

・企業と家計は二分されたものではない。法人税率が高すぎることのしわ寄せは賃金や製品・サービス価格への転嫁などを通じ家計にも及ぶ。

・いかなる制度であれ、その廃止や見直しには反対が強いが、大胆に税率を引き下げるという目標を共有し、可能な限り課税ベースを拡大していく努力が必要。

【各論】

●租税特別措置の見直し

・真に必要なものに限定する必要がある。特に特定の産業が集中的に支援を受ける優遇措置は、可能な限り廃止・縮減し、既存産業への政策支援の偏りを是正することで、新産業が興りやすい環境を整備していく必要がある。

・基準1:期限の定めのある政策税制は、原則、期限到来時に廃止する。

・基準2:期限の定めのない政策税制は、期限を設定するとともに、対象の重点化などの見直しを行う。

・基準3:利用実態が特定の企業に集中している政策税制や、適用者数が極端に少ない政策税制は廃止を含めた抜本的な見直しを行う。

・研究開発税制については、総額型は、税率引き下げに対応して大胆に縮減し、研究開発投資の増加インセンティブとなるような仕組みに転換していくべき。

・2013年度・14年度の税制改正では、企業の研究開発投資、設備投資・賃上げを促すために、税制上の措置を行った。これらの政策税制は「集中投資促進期間」との整合性を踏まえて考える必要がある。

●欠損金の繰越控除制度の見直し

・長期間での税負担の平準化を図ることが望ましく、繰越控除期間を延長し、あわせて控除上限額を引き下げる見直しを行う。見直しにあたっては、中小企業への配慮が必要。

●受け取り配当などの益金不算入制度の見直し

・企業の株式保有が支配関係を目的とする場合は、配当収益を課税対象から外すべき。他方、資産運用の場合は、現金、債券などによる他の資産運用手段との間で選択が歪められないよう、適切な課税が必要。

・支配関係を目的とした株式保有と、資産運用を目的とした株式保有の取り扱いを明確に分け、益金不算入制度の対象とすべき配当などの範囲や、益金不算入の割合などについて、見直すこととする。

●減価償却制度の見直し

・定率法を廃止し、定額法に一本化すべき。

●地方税の損金算入の見直し(略)

●中小法人課税の見直し  

・中小法人の範囲について:企業規模をみるうえでの資本金の意義は低下しており、資本金基準が妥当か見直すべき。

・軽減税率について:19%への軽減税率は厳しく見直す必要がある。リーマンショック後の対応として設けられた時限的な軽減税率(15%)は役割を終えている。

●公益法人課税などの見直し(略)

●地方法人課税の見直し(法人事業税中心に)

・外形標準課税について、現在の付加価値割の比重を高め、法人所得に対する税負担を軽減していくことが望ましい。資本金1億円以下の法人についても付加価値割を導入することが望ましい。このため、法人事業税における付加価値割の拡大、対象法人の拡大を行うべきである。その際、創業会社や中小法人への配慮を検討すべき。

●法人税の改革とあわせて検討すべき項目

・法人所得課税の減税を行う場合には、個人所得課税における資本所得課税の強化を検討すべきである。その際、金融所得課税の一体化の流れなどに留意する必要。

・住民税や固定資産税などについて充実を検討すべき。

●新税

・欧州諸国では銀行税が導入され、法人課税の一翼を担っている。法人税率下げの財源確保の一環として、新税導入の可能性も検討すべき。

*内容を追加して再送します。

吉川裕子  編集:宮崎亜巳

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