January 13, 2019 / 12:10 AM / 9 days ago

アングル:進む車載ディスプレイの「大型化」、使い勝手に課題も

[ラスベガス 9日] - 米ラスベガスで開催された家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」に出展された車載ディスプレイを見た人が、まるで映画でも観ているような気分になったとしても不思議はない。

1月9日、米ラスベガスで開催されたCESに出展された車載ディスプレイを見た人が、まるで映画でも観ているような気分になったとしても不思議はない。写真はバイトン「Mバイト」 に搭載されたディスプレイ。ラスベガスで6日撮影(2019年 ロイター/Alexandria Sage)

「これはSFではない」

中国系の新興電気自動車(EV)メーカー、バイトンのカーステン・ブライトフェルド最高経営責任者(CEO)兼会長は、世界各国から出席者が集まる技術カンファレンスの壇上でこう宣言した。この言葉とともにが同CEOが紹介したのが、同社が開発した自動車「Mバイト」に搭載された、48インチ(1.22メートル)という驚異的な大きさの車載ディスプレイだ。

この自動車の生産開始は今年後半になる。だが、中国の京東方科技集団(BOE)000725.SZが供給する巨大車載ディスプレイは、インターネット接続機能を強化した車両の台頭に伴い自動車の世界に生じた「ディスプレイ大型化」のトレンドが否定できないものであることを示している。

メルセデス・ベンツを傘下に抱える独ダイムラー(DAIGn.DE)のゴードン・ワグナー最高設計責任者は、「車載ディスプレイはデジタル世界に開かれた窓だ。自動車にとって新たな『馬力』になる」と話す。

メルセデスが2019年に発売するクロスオーバー車「EQC」には、2つの10.25インチのディスプレイが仕込まれている。

車載ディスプレイのサイズアップ傾向は、未来的なEVや高級車だけにとどまらない。

自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)(FCHA.MI)の2019年型ピックアップトラック「RAM 1500」は、ダッシュボードに12インチサイズの縦型ディスプレイを搭載した。

センターコンソールだけでなく、運転関係の機能を収める計器群や後部座席のエンターテイメント機能用ディスプレイも大型化しつつある。アウディなど、センターコンソールと計器群を統合している自動車メーカーは「コクピット」という呼び方をすることが多いが、これにはバイトンの車種に見るようなワイドな画面と、強化されたコンピューター性能が必要となる。

自動車メーカー各社が後方確認用カメラからの画像を映すディスプレイを追加する一方で、画像をフロントガラスに浮かび上がらせドライバーに重要な情報を伝える「ヘッドアップ・ディスプレイ」の市場も爆発的に拡大している。

IHSマークイットで、「コネクティッド・カー」(インターネットに接続された車両)に関する調査を指揮するブライアン・ローズ氏は、「私たちはディスプレイ中心の世界に生きている」と言う。「タブレットのような車載ディスプレイがたくさん登場しているのは偶然だとは思わない。これは明らかにトレンドになっている」

IHSマークイットでは、センターコンソールの車載ディスプレイの平均サイズは2018年には7.7インチだったが、2024年には8.4インチに拡大すると予測している。

ローズ氏によれば、ディスプレイ分野で最も成長が著しいのはヘッドアップ・ディスプレイだという。現在この種のディスプレイを搭載している車は世界で約630万台だが、2024年には1410万台まで増加する見込みだという。

<ユーザーの使い勝手は後回し>

最初にドライバーたちを驚かせ、ライバルの自動車メーカーを慌てさせたのは、17インチ液晶ディスプレイを搭載する「モデルS」を2012年に発売した米EV大手テスラ(TSLA.O)である。

その後、アップル(AAPL.O)とアルファベット(GOOGL.O)傘下のグーグルは、センターコンソールの車載ディスプレイ経由で音楽ストリーミングや地図などのアプリにアクセスする機能を備えた「カープレイ」や「アンドロイド・オート」といったシステムを導入した。

ローズ氏によれば、こうしたシステムの登場が、テスラ以上に、自動車メーカーがより大きなディスプレイを採用する大きな理由になっているという。

そして、自動車のメインディスプレイ内にアップルとグーグルが躍り出たことは、自動車メーカーに切迫感の伴う自己反省を促した。メーカー各社としては、競合するテクノロジー企業にこれほど貴重な「陣地」を明け渡すことは耐え難かったが、その一方で、消費者には、彼らが望むiPhone(アイフォーン)体験を提供したかったのでる。

この緊張関係は、現在も自動車の内部で続いている。米調査会社ガートナーで自動車研究ディレクターを務めるマイク・ラムゼイ氏によれば、アップルやグーグルのシステムを完全に取り入れて最適化することについて、一部の自動車メーカーは「受動的に攻撃的な」スタンスを取っているという。そのため、結果として得られるユーザー体験は冴えない場合が多い。

「ディスプレイのサイズを大きくしても実際には何のメリットも得られていない」場合もあるとラムゼイ氏は言う。

10月、大きな影響力を持つ米「コンシューマー・レポート」誌は、消費者からディスプレイの機能停止や表示不能が報告されたことを理由として、FCA、米フォード、ホンダの4車種に関する推奨を撤回した。

こうした問題の原因はコンテンツを表示するバックエンドの技術にあり、ディスプレイそのものの問題ではないが、ローズ氏は「消費者の目から見れば同じことだ」と言う。

1月にグーグルの基本ソフト(OS)アンドロイド上で動くインフォテイメント(情報・娯楽)システムを採用すると発表したスウェーデンのボルボのように、ユーザー体験を高めるために車載システムに関してテクノロジー企業の支援を仰ぐ場合は別として、自動車メーカーは、ユーザーが実際に使いたいと思うようなインターフェイスを設計するという課題に直面している。

「自動車メーカー主導でユーザーインターフェイスを設計することになれば、非常に大きな課題になる」とローズ氏は言う。つい最近までは「それは彼らの専門分野ではなかった」からだ、と彼は言う。

自動車産業内部で乗り越えるべき目標とされているのは、メルセデス・ベンツが昨年のCESで発表したユーザーインターフェイス「MBUX」である。

新たに就任したダイムラーのカレニウスCEOは8日、少数の記者に対して、「もちろん私たちとしても、自社のクルマのなかに自前の『陣地』を確保したいと思っている。自社のクルマには、独自のデジタル中枢を置く必要がある」と話した。

だが、カレニウスCEOによれば、そのために大切なのは、メルセデスというエコシステム(生態系)のなかにグーグルやアップルといった他企業を統合できるよう、「オープンソース精神」を持つことだという。

<重要なのは「明快さ」>

自動車メーカー各社は、上手くやれば、ディスプレイを大型化し、信号が赤に変わるという予測や、前方での事故警報や混雑状況など、これまでより多くの有用な情報を提供することにより安全性を向上させることができるという。

ディスプレイが大型化してもドライバーが注意散漫になることはなく、むしろ逆だとメーカー各社は言う。小さなディスプレイに詰め込まれた多数のオプションのなかから目指すものを苦労して見つける必要がなくなるからだ。

バイトンでデジタルテクノロジー担当副社長を務めるエイブ・チェン氏は、「効果的で注意を逸らさないような形でドライバーに情報を視覚的に提示するスペースが必要だ。だから『陣地』が必要になる」と語る。

メルセデスが2019年に発売するクロスオーバー車「EQC」の車内。ストックホルムで2018年9月撮影(2019年 ロイター/Esha Vaish)

フォードでユーザー体験部門を統括するルース・バン氏が今月ロイターに対して語ったところでは、2020年型の同社製スポーツ多目的車(SUV)「エクスプローラー」のオプション装備である10インチディスプレイは、標準装備の8インチディスプレイと同様に、「カープレイ」や「アンドロイド・オート」などを多層的に表示することで、ドライバーがあまりにも多くのデータに夢中になってしまうことを防ごうとしているという。

「運転中は遮断すべき物事もある」と彼女は述べ、顧客には音声コマンドを使うことを推奨する、と言い添えた。

(翻訳:エァクレーレン)

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