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コラム

コラム:米ハイテク企業、「ウクライナ肩入れ」を即断できた理由

[ワシントン 28日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米ハイテク企業がウクライナでその力を見せつけている。戦争における重要な手段の1つであるコミュニケーションの分野では、メタ・プラットフォームズのフェイスブック部門がロシアのハッカー集団と対決。イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発の米新興企業・スペースXは、ウクライナに人工衛星利用の高速インターネットサービスを提供しつつある。

 2月28日、 米ハイテク企業がウクライナでその力を見せつけている。写真はツイッター、フェイスブック、ユーチューブのロゴとロシアの旗のイメージ。2月撮影(2022年 ロイター/Dado Ruvic)

もっともこうした企業の首脳が、対立する当事者の一方への肩入れを簡単に決断できるのは、収入を脅かされるリスクがない場合に限られる。

あらゆる種類のメディアにアクセスできるかどうかは、1つの紛争の行方を左右しかねない。そうした紛争には必ず、政治宣伝が付き物だからだ。

1990年代のルワンダでは、伝統的な通信手段が厳重統制されたため、ジェノサイド(民族大虐殺)を引き起こした。そして、現在のロシアによるウクライナ侵攻においては、オンラインで「心理戦」が日々展開されている。

米ハイテク各社は今回、異例なほどのスピードでどちらに味方するかを決め、行動を起こした。フェイスブック、ツイッター、アルファベット傘下のグーグルやユーチューブは、いずれもウクライナ要人を狙ったロシアのハッカーや偽アカウントを取り締まっている。

また、各社プラットフォームでロシア関与のメディアが広告収入を得ることも禁止した。その半面、ウクライナのゼレンスキー大統領がソーシャルメディアを通じて示した侵略への抵抗姿勢は、国際世論の支持を集めている。

マスク氏はツイッターに、スペースXの人工衛星利用高速インターネットサービス「スターリンク」が現在、ウクライナで使用可能であり、もっと多くの送受信端末を送ると投稿した。ウクライナではロシアの侵攻により、インターネットの通信回線が不安定になっている。

メタのザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)やマスク氏らにとって幸いなことに、今回の対応は比較的すんなりと決めることができた。

ロシア市場は米ハイテク企業の大きな収入源ではない。検索エンジンのヤンデックスなど強力なライバルが立ちはだかっているからだ。スペースXもどちらかと言えばロシアと競争関係にあり、提供するロケットはエンジンなどの部品供給でロシア政府の支援を必要としていない。

ただ、売上高や生産が大きな危険にさらされるとなれば、胸算用はまた違ってくる。

先週には、中国が自国領の一部と主張している台湾を巡る緊張も高まった。マスク氏がCEOを務める米電気自動車(EV)メーカー、テスラの場合、昨年の売上高の25%余りを中国が占め、テスラは中国に生産拠点もある。

ウクライナ政府にロシアからのアプリストアの利用を禁止してほしいと要請されたアップルも、昨年第4・四半期に中国で最大のスマートフォン販売台数を記録したことが、カウンターポイント・リサーチのデータで分かる。

ウクライナと別の地域の紛争においては、米ハイテク企業首脳が政治的・倫理的動機と金銭的動機の葛藤から逃れるのは、より困難になるだろう。

●背景となるニュース

*フェイスブックを運営する米メタ・プラットフォームズは28日、ハッカー集団がウクライナの軍高官や政治家などのフェイスブックアカウントにアクセスしていたと明らかにした。同社はこれらのアカウントを攻撃から保護する措置を講じたほか、フェイスブックや写真共有アプリ「インスタグラム」の偽アカウントなどを削除した。これら削除対象は、ロシアとウクライナでウクライナの標的に向けて活動していた。

*宇宙開発の米新興企業スペースXを率いるイーロン・マスク氏は26日、人工衛星システムを利用する同社の高速インターネットサービス「スターリンク」が現在ウクライナで使用可能で、もっと送受信用端末を送ると表明した。ウクライナのフョードロフ副首相からの支援要請に応じた。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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