[サンフランシスコ 30日 ロイター] 米アップルAAPL.Oの新タブレット型パソコン「iPad(アイパッド)」の発売が数日後に迫っている。実物がどんなものか興味津々なのは、販売店の前に行列を作る客だけでなく、アップルの店舗に勤める従業員も同様だ。
アップルの「秘密主義」は徹底している。アップルストアの従業員らは、客とiPadについて話すことを奨励され、製品研修を受けたりしているにもかかわらず、実物に接することを許されていない。修理を担当する技術者でさえもだ。
メディアに話すことを禁じられているため匿名のアップルストア従業員は「マネジャーを含め、まだ誰も実物を見ていない。(新製品の発売前は)いつもそうだ」とコメント。別の元従業員も「携帯電話端末『iPhone(アイフォーン)』のときは発売1時間前まで実物を見たり触ったりできなかった。製品について知っていることは、質問をしてくる客とそう変わらなかった」と語った。
<秘密守るため警備員や「おとり」を用意>
米国内のアップルストアはiPad発売日の4月3日、午前9時に開店する。発売に向けての詳細は明らかになっていないが、iPhoneのときと同じ形になるとすれば、アップルは事前の情報漏えいを防ぐため、警備員や「おとり」を用意する可能性がある。
iPhoneの場合、あるアップルストアでは発売前日に2つの荷物が届いた。1つはマネジャーの部屋、もう1つは倉庫に置かれ、いずれもセキュリティーカメラによる監視が付いた。従業員によると、一方にはiPhoneが詰まり、もう一方は詮索しようとする従業員向けの「おとり」だったという。
あるアップルストアでアシスタントマネジャーを務めた人物は、iPhone発売前夜、店に泊まって製品を見張るよう命じられた。発売直前までマネジャーしか実物を見ることがないよう、厳しい指示が与えられたという。
アップルストアの従業員は、携帯型デジタル音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」やパソコンの「iMac(アイマック)」を25%割引で購入できるが、iPhoneに割引は適用されていない。iPadについては、割引があるのかどうかまだ知らされていないという。