[ニューヨーク 20日 ロイター] - 米マイクロソフトMSFT.Oは20日、新型のタブレット端末「サーフェス・プロ3」を発表した。画面サイズを従来モデルより大きくしつつ、より軽く、薄くした。企業での使用を念頭に機能を高め、苦戦しているモバイル機器市場でアップルAAPL.Oを追撃する。
ナデラ最高経営責任者(CEO)はニューヨークで開催した発表会で、「ハードウエアのためのハードウエアを作っているのではない。当社の持つ全能力を駆使した体験を実現したい」と述べ、引き続き自社での機器開発に取り組む方針を示した。
「サーフェス・プロ3」は、価格が799ドルから1949ドルまで、3種類を用意。パソコン(PC)用OS(基本ソフト)「ウィンドウズ」でフルに動き、統合ソフト「オフィス」が使用できる。画面のサイズは12インチと、アップルの「iPad」(9.7インチ)よりかなり大きい。従来モデルと同様、インテルINTC.O製プロセッサーを使用している。今週から注文を受け付ける。
20日の発表会で、マイクロソフトの幹部らは、新型サーフェスをたびたびアップルの最軽量ラップトップパソコン(PC)「マックブック・エア」と比較し、899ドルからの「マックブック・エア」よりも価格が安いことを強調。
また、新型サーフェスが、個人の利用が中心の既存のタブレットと異なり、ビジネスに対応する機能を備えていることも強調した。
<前向きな評価>
「サーフェス・プロ3」に対する反応はとりあえず良好。Jゴールド・アソシエーツのジャック・ゴールド氏は、リポートで、マイクロソフトは「タブレットをラップトップの延長、あるいは代替と考える企業ユーザー」に対応したと指摘。「アップルのiPadに真っ向から対抗することはできず、ビジネス向けの高機能デバイスを提供しなければならない、ということをマイクロソフトはようやく理解したようだ」と述べた。
FBRキャピタル・マーケッツのアナリスト、ダニエル・イブス氏は「サーフェス・プロ3」について、「市場シェアの拡大という目標に向け、マイクロソフトが放ったこれまでで最高のショット。ナデラCEOは、タブレット市場でシェア拡大へアクセル全開したと認めざるを得ない」と述べた。
ただし、デバイス分野でのマイクロソフトの今後については、不安がくすぶる。
「デバイスとサービス」の会社への転換をはかるマイクロソフトだが、デバイス分野は、家庭用ゲーム機「Xbox」以外に、目立った成果をあげられていない。
2012年10月に発売したタブレットのサーフェスは、市場シェアが2%程度と、iPadに大きく水をあけられている。最近買収が完了したノキア製品が中心のスマートフォン(スマホ)も世界シェアは3%にとどまっており、アナリストはハードウエア分野でマイクロソフトが主要な位置を確保できるか、疑問視している。
FBRキャピタルのイブス氏は、タブレット市場の中でマイクロソフトが置かれた環境は引き続き厳しいとみている。
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