〔東京 27日 ロイター〕 NTTドコモ9437.Tは27日、東京都心部などで発生した一連の通信障害を受けて、対策費として2014年度までに計1640億円を投資すると発表した。山田隆持社長ら6人の役員報酬の減額も決めた。減額幅は山田社長が20%、辻村清行副社長ら5人は10%で、いずれも3カ月間にわたり役員報酬をカットする。
ドコモは15年度以降に達するとみているスマートフォン(多機能携帯電話)5000万台に耐えうる基盤構築に向け、11─14年度にデータ通信を処理するパケット交換機に1200億円、スマホ用ネット接続サービス「spモード」システムに400億円を投じるほか、当面の対処に40億円を充てる。
同日会見した山田社長によると、計1640億円のうち、新たな追加投資分は約500億円。上積み分は既存の設備投資計画の中での配分を見直したり、コスト削減などでやりくりして年間7000億円規模の設備投資を維持する方針で「顧客の通話・データ通信料金の値上げに転嫁することはない」との考えを示した。また、ドコモはスマホの販売で11年度に850万台、15年度には4000万台に伸ばす計画を打ち出しているが、「変更しない」(山田社長)。
ドコモでは25日午前8時半ごろから、同社の携帯電話の一部で音声通話やインターネットがつながりにくくなり、最大252万人に影響が及んだ。5時間近く経った午後1時過ぎに復旧した。スマホの普及でアプリなどのデータ通信量が増加しており、発生するデータ通信量に対するドコモの見積もりが甘く、データ通信を処理するパケット交換機の処理能力を超えたのが原因だった。
同社によると、スマホのアプリは「制御信号」と呼ばれる細かな信号の通信を繰り返しており、この信号のやりとりの数を同社としては1時間当たり1200万と想定していたが、実際には1650万(推定)発生し、処理能力の1410万を超えたのが原因としている。同午前9時過ぎに起きた山手線の運転停止に伴い、通信料がさらに増加。パケット交換機の処理能力を超えた結果、通信ネットワークに自動規制がかかり、音声通話やメールなどのサービスが利用しづらい状態になったという。
会見に同席した辻村副社長によると、制御信号の増加対策に絡んで、その大部分を占めるアプリについては、アンドロイドOS(基本ソフト)を提供する米グーグルGOOG.Oともすでに話を進めているという。
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