[東京 30日 ロイター] - 富士通6702.Tは30日、2013年4―6月期の当期損益が219億円の赤字(前年同期は254億円の赤字)だったと発表した。スマートフォン(多機能携帯電話)やパソコンの販売不振が響き、4―6月期として3年連続での最終赤字となった。
4―6月期の売上高は前年同期比4.4%増の9992億円、営業損益は228億円の赤字(同267億円の赤字)だった。輸出の多い半導体・電子部品事業は円安効果も手伝い好調。半導体事業などでの構造改革やコスト削減策に伴うプラス効果もあったが、NTTドコモ9437.T向けスマホの不振に加え、パソコンの需要減少が響いた。さらに、パソコン・携帯電話ともに円安で部材調達コストが膨らんだ。
会見した加藤和彦専務によると、4―6月期の携帯電話事業は前年同期比30%の減収で、「3桁の赤字」だった。主要顧客のNTTドコモが今夏の商戦で特定のスマートフォン(多機能携帯電話)2機種を大幅に値下げして販売を強化する「ツートップ」戦略を打ち出した。この結果、ツートップから外れた富士通のスマホの販売が落ち込んだという。
ただ、品質改善や従来通り新機種開発も進めており、今秋冬商戦でドコモの重点販売機種に採用してもらえるよう取り組んでいることから、通期の携帯出荷計画の520万台は変えていない。
加藤専務は「月産30万台のベースが取れるようなモデルにいま変えようとしている。400万弱が取れれば基本的には生きていける」との見解を示し、「フラッグシップの機種が最低でも100万台さえ売れれば、テクノロジーは負けることはない。携帯の市場規模はやはり大きく、ここで逃げることはない」と述べた。
パソコン事業も同10%の減収となり、「2桁の赤字」(加藤専務)だった。個人向け市場の縮小が続いていることや、前年同期に金融分野で大型の案件があった反動もあって販売が落ち込んだ。ただ通期出荷計画は従来の535万台を維持した。
14年3月期の連結業績予想は従来のまま据え置いた。売上高は前期比3.8%増の4兆5500億円、営業利益は同58.6%増の1400億円、当期損益は450億円の黒字(前期は729億円の赤字)を見込む。トムソン・ロイター・エスティメーツによると、アナリスト15人が過去90日間に予測した当期損益の平均値は471億円で、会社予想はこれを4.5%下回っている。
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